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4章 ダンジョンに行きます
2話 春の階層でハニーハント
しおりを挟む扉をくぐると教室ほどの広いスペース。まず目につくのはど真ん中にある直径2メートル高さ3メートルの水晶の柱。これは『転移水晶柱』と呼ばれるもの。この【四季ダンジョン】では5階層毎の中ボスを倒すと現れる階段部屋には真ん中に同じ様な『転移水晶柱』があり、『セーフティゾーン』になっていてモンスター達は入って来ない。
ただ稀に例外がある。魔物大発生の時とか、なぜか『転移水晶柱』が使用不能になるのでこの『転移水晶柱』が魔物避けになっていると考えられている。各階層の『転移水晶柱』に触れるとこの入り口に転移でもどってこれる。反対に入り口の『転移水晶柱』から使ったことのある『転移水晶柱』へも転移できるシステムだ。
2度目以降無駄に1階から再出発しなくていいから便利だね。
ちなみに1~4階は小ボスを倒さなくとも階段部屋に行けるらしいのだが5階毎の中ボスはモンスターをスルーして進めない作りになっている。正面の下り坂になっている通路を進むと【四季ダンジョン】1階だ。5階層までは春エリアになっている。
通路の中は向こうの出口から差し込む光でほんのり明るかった。
通路を抜けるとそこはーー
そこは一面花畑だった。かなりの広さで反対側の壁が見えない。情報では25㎢くらいと聞いていたが天井には空が見える、うん、深く考えるのはよそう。考えても無駄、ダンジョンはこういうものとして捉えておこう。花畑はそれなりに起伏があり所々に木が生えている。
「オネーちゃん、花畑には【ハニービー】ってモンスターがいて巣から蜂蜜が取れるんだって」
ウリュ君が早速図鑑を調べてます。広げて見せてくれたページには【ハニービー】と巣がカラーで描かれている。。
【ハニービー】は見た目ミツバチだが体長20センチもある。針には麻痺毒があり刺されると暫く痺れて動けない。大量に刺されると心停止するので要注意とな。これは魔法&飛び道具で遠距離攻撃だ。
「《領域検索》&《地形探索》」
私の《探索》範囲は半径1キロほど(ちょっと延びた)情報では階段部屋は入り口の対になる位置と思われる。ぽつぽつと小物&薬草各種ある様なのでレイディに周囲の警戒をしてもらいながら3人で採取しつつ進む事にする。
「Gyua!」『ご主人、なんかきたのなのヨ』
レイディの鳴き声にアレクス君が反応し、辺りを窺う。
「エル姉ちゃん、多分ゴブリン、3匹だからオレやっちゃうね」
タタタタタッ
シュパッ
「グェ」
ドサ
「ギュエェ」「ギャギャ」
ザシュッ、シュバッ
「「ギャァァ……」」
ドサドサ
テクテク…ブシュ
「エル姉ちゃん、このブロードソードよく切れるよ~」
ええ、斬性強化しましたから、切れ味抜群です。しかしアレクス君腕あげましたね。解説しましょう。
タタタタタッと走りながらスローイングナイフをシュパッと投擲、一匹目のゴブリンの喉に命中すると、ゴブリンは「グェ」と呻いて倒れました。背中のブロードソードを抜くと残り2匹のうち1匹を胴のところで一刀両断、返す刃でもう1匹を袈裟がけに両断、「ギャァァ…」と叫びながら倒れるゴブリン達を尻目に、最初の喉をやられたゴブリンの元へ行き留めの心臓への一撃で終了です。
ゴブリンの右耳を切り落とし、額の部分を削り魔石を採取。死骸はダンジョン内では放置するとダンジョンに吸収されるので埋める手間いらずです。耳は小袋に入れポーチにしまって魔石も別の小袋に入れポーチにしまった。
人型の魔物に対する忌避はない様ですね、私もゴブリンはサクッとやれましたが。
剣に着いた血糊を《ウォーター》で洗い流し布で拭くアレクス君。チョットした手入れで武器の寿命が変わるのでこれを面倒くさがる剣士は一流になれない。
もう、立派な剣士だね。
ゴブリンの持ってた武器は錆びたナイフや棍棒なので放置しました。
この後1時間ほど採取を続ける間にレイディがゴブリン11匹、ハニービー15匹、角兎3匹。
アレクス君はゴブリン8匹、ハニービー5匹、角兎2匹を討伐。ハニービーはスローイングナイフで落としてからトドメを差す。討伐証明部位は針で、これは鏃とかに加工されるのだ。
ウリュ君もクロスボウで角兎2匹、ハニービーを3匹ほどやっつけた。うん、命中率上がったね。
さてそろそろ下にいく階段があってもいいと思うのだが、目の前に小山があるだけだ。しかしその小山から『ブブブ、ブブ』って音が聞こえる。
「オネーちゃん、これハニービーの巣でちゅ」
え、図鑑のイラストよりデカくないかい?近づき過ぎてしまい途端にブブブブワーっとハニービーが大量に出てきた。これは個別にはむりだ。
「二人とも下がって《炎の竜巻》」
火魔法の《ファイヤーウォール》だと上が空いてしまうので上級炎魔法で一気に殲滅。炎の竜巻に吸い込まれる様にあっという間に50匹ほどのハニービーの丸焼きが出来上がった。あ、討伐証明部位残ってるかな?巣の表面は焦げたけどそのままある。蜂蜜採れるかな。
これで終わりかと思いきや巣に近づくと『チキチキ、ブブブ』と言う音が聞こえてきた。
「【クイーンハニービー】でちゅ」
現れたのは体長50センチ程の【クイーンハニービー】。キバをチキチキ鳴らして威嚇しながらお尻をこっちに突き出す。
シュッ、シュッ
「危ない!」
カンカン!
ウリュ君を狙って【クイーンハニービー】が針を飛ばしてきた。それをアレクス君がショートソードで弾く。クレイブで飛んでる【クイーンハニービー】を斬り落とそうと思ったが、
シュシュッ、トストスドスッ
あ~、アレクス君のスローイングナイフが2本【クイーンハニービー】の胴体に、ウリュ君のボルトが眉間に刺さりあっけなく落ちた。しばらくウゴウゴしてた【クイーンハニービー】が徐々に動きが少なくなり、パタリと力つきるとなぜか小山の様な巣がごごっごごごっと音を立てて崩れ出した。崩れていく巣の向こうに階段部屋へ続く通路が現れる。【クイーンハニービー】がこの階の小ボスだ。あれ?小ボス倒さなくとも階段部屋へ行けるはず…と思ったら巣と通路に結構距離がありました。裏に回れば戦わなくとも良かったのか?
ハニービーの巣が無くなった後にはなぜか某黄色いクマの縫いぐるみが抱えてそうな陶器のツボが3つポツンと残っていた。蓋をあけると中には蜂蜜、しかも《鑑定》すると1つは【マジェスティハニーゼリー】となっていた。ドロップ品ゲットだぜ。
みんなで取れそうなハニービーの針と魔石を回収してから階段を降りた。階段部屋でお昼ご飯にしよう。そう言うと二人は手を繋いで
「「ごっはん、ごっはん、きょーおのおっかずは、なーにっかなぁ」」
と歌いながら階段を降りる。
二人の歌に合わせてレイディが時々「Gyua!Gyua!」と、合いの手を入れていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1階の獲得品
ヒール草55本、マナ草89本、ロキ草43本、ゴブリンの耳22、ハニービーの針53本、クイーンハニービーの針1本、角兎5匹、蜂蜜2壺、マジェスティハニーゼリー1壺
魔石
ゴブリン22個、ハニービー59個、クイーンハニービー1個、角兎5個
追記:【ロイヤルハニーゼリー】の名称を【マジェスティハニーゼリー】に変更します。蜂蜜系のレアファンタジー食品だと思ってください。
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