乙女ゲームか悪役令嬢転生ラノベの世界に転生?したようだが…

琳太

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5章 嵐は…

7話 嵐?失礼な、春のそよ風でしてよ

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「この辺で終わりにしましょう」
「うーん、やっぱり雷魔法むずかしいな。ウリュはなんでできるんだ?」
「なんでって言われても困る」

   何度か初級雷魔法を見せたりしたけどアレクス君の雷魔法は発動に至らずでした。

「見てわからないなら受けてみればいいとおもう…」

   ぼそりと呟くウリュ君、ある意味正解ではあるな。体験して理解できることもある。

「ええ~、シビシビすんの?オレ」

   アレクス君が露骨に嫌そうな顔をする。当然と言えば当然だ。話をしながら訓練所をあとにする。

「私、レイディにご飯あげてくるから、2人とも先に戻っててくれる?」
「オレ、受け付けに訓練所使い終わったって知らせてくるよ」
「僕も、いっちょにいきまちゅ」

   というわけで二手に別れました。

   昨日、今日と半日だけでも依頼で外に出たのでレイディはさほど退屈はしていないだろう。厩舎に入ってレイディに…

   アレ、見間違いかな。眼をこすってもう一度見る。レイディの横にヒッポグリフがいる。この大型従魔用厩舎にレイディ以外がいるの初めて見たな。ヒッポグリフか…
   レイディが楽しげにして…

   ……

   ……………

「…カルラ?」

   ええええええっ、なんでカルラがここに!!って言うことは。

「エル姉、なんかエル姉を探してる冒険者がいるって受け付けの人が教えてくれたぞ」

   ギルドハウスの裏口から厩舎に向かって、アレクス君とウリュ君が駆けてくる。
   2人は近くに来るとさらに説明してくれた。

「グリフォン連れた女の冒険ちゃってオネーちゃんの事だと思うの」

「…それって、私を探してる人、どんな人かきいた?」
「綺麗な女の人だって言ってたぞ」

   マズイ、マズイマズイマズイマズイマズイ…絶対お母…



「あら、あら、まあまあなんて可愛らしい」
「うぐっ」
「ア、アレクちゅっ」

   なんの気配も感じられなかった。突然目の前からアレクス君の姿が掻き消えた。
   ウリュ君と2人周りを見回すと5メートルほど離れた厩舎の扉横にアレクス君を抱きかかえてスリスリする女性……

「エレーニア、いえ、今はエルと名乗っているのよね、貴女いつの間にこんな可愛い子を捕まえたの。1人ワタクシに……貴女、その髪…」

「おっ、お母様っ」

   ママンはエルの方を見て言葉を詰まらせる。あ、髪切っちゃったし、色も変えてるから。え、なんだか瞳潤ませてません?再会に感涙?そんなタイプでしたっけ?

「その……髪の色似合ってるわ…」

   お互い呆然と見合いしばし動かず。ママンの腕の中でもがくアレクス君だがふんわり抱きしめてる様に見えて、一向に抜け出せずにいる。

「くそっ、離せ、なんで、くっ」

「ア、アレクちゅ、オネーちゃん?」

   オタオタするウリュ君の声にハッと我にかえる。

「お母様、とりあえずアレクス君を離してください」

   私の問いかけにママンも我にかえる。

「えー、この子ちょうだい」
「アレクス君はものじゃありません」
「ん~、仕方ないわね」

   ちゅっ

    頬にキスをしてからアレクス君を離すママン。突然の事にボーゼンとするアレクス君は、次に真っ赤になって駆け出し私の後ろに回る。ウリュ君も危険を察知して後ろに回った。

「なななんだよ、あんた!ナニモンだよ」

「あら、わたくしのことかしら」

   シナっとポーズをとるママン。

「…ごめんなさい。アレクス君、ウリュ君。この人私の…「姉なの」ってえええぇぇっ」

   堂々と被せてきたよこの人。

「ちゃっき、『お母ちゃま』って呼びまちたよ?」

   ママンが『あっ!』って顔をした後『チッ』って舌打ち…舌打ちしやがりましたよ、この人。
   さっきのことはなかったことのようににっこり微笑む。

「とりあえずどこかでお話ししましょう」

   ママンの提案に一旦宿の部屋に戻る事にした。はあ、どうしよう。








   テーブルと椅子は出したままだったので勧めると3つしかない椅子を見てママンがウリュ君に声をかける。

「お膝にいらっしゃいな」
「もう1つ出すから、その必要ないからね」
「チッ」

   あ、また舌打ちした。本当にこの人侯爵夫人かよ。インベントリから予備の椅子を出す。このテーブルセットだったので椅子は4個買ってあるんだよ。
   お茶をいれてそれぞれの前に置く。ウリュ君とアレクス君にはパンナコッタも。
   ママンは小指を立ててカップ(木製のマグカップでインベントリの陶器の茶器は使わなかった)お茶を一口。

「ん、まあまあかしら。蒸らしが足らないけど」

「「……」」

   アレクス君とウリュ君が気まづげに眼を泳がす。それを見てママンが口を開いた。

「まずは自己紹介をしましょう」

   言いながら胸元から金色のカードを取り出しテーブルに置く。

エルこの娘の母親でリッサと言うの、よろしくね」

   2人はテーブル置かれたカード、Aランクの冒険者ギルドカードを見て眼を見開く。

(ちょっと、どうしてお母様が冒険者ギルドカードをお持ちなんですか、しかもAランクの!)
(貴女は何を言っているの、学園では最終学年でギルド登録をして実習に出るでしょう。その時登録したのよ)
(なん年前の話ですかっ、それに学園の実習程度でAランクに上がれるはずないでしょう!)
(それは卒業してからもときどき、ねっ。)
(何が『ねっ』ですか。卒業と同時に侯爵家に嫁いだんじゃなかったんですか。もしかしてお父様に内緒で…)

「「!!」」

   ずっとヒソヒソ声でやり取りをしていたが、突然冷気が辺りを包んだ。アレクス君とウリュ君が飛び上がる。

(あの人にバラそうと言うなら、いますぐ連れて帰るわよ)
(わかりました、絶対言いませんから、と言うかお父様に会うつもりないし、それやめてください。2人が怯えるから、怯えてるからぁ)

「あら、ごめんなさいね」

   2人の青ざめた表情にママンはすぐさま威圧を引っ込める。

「初めて会った時のエル姉よりこえーよ」

   アレクス君のセリフにその時いなかったウリュ君はきょとんとする。


「オレはアレクス、こっちはウリュ。オレ達エル姉のチームにいれてもらった」
「怪我ちてたところをたちゅけてもらいまちた」

   2人もそれぞれのギルドカードをテーブルに置く。

「まあ、チームを組んでるのね、どんな依頼を受けてるの?」

「依頼はFやGのだけど、明日からはダンジョンに行くんだ」
「まあ、ダンジョンに行くの楽しそうね……エル、私も行きたいわ、チームに入れなさい」

「「「え?」」」


ーーエルの心のうち

   何言ってるのこの人、連れ戻しに来たんじゃないの?あ、ダンジョンか、ダンジョンなのね。去年の夏もそもそも行こうと言い出したのはお母様の方。私を探してここまで来た理由よりダンジョンが優先されるのね、はあ。



ーーアレクス君の心のうち

   すっげー、エル姉の母親Aランクの冒険者なんだ。すっごい美人なのに。強いんだろうな、だいたいさっきも近づいて来てたの全然わからなかったし、抱えられた時も《魔力纏》までしたのに抜け出せなかったんだよ。


ーーウリュ君の心のうち

   この女の人、凄いでちゅ、近づいて来たの全然わかりまちぇんでちた。さっきの威圧もすごくて僕動けまちぇんでちた。だからかな、オネーちゃんに上から「入れなさい」って命令ちてまちゅよ。





「私たち【転移水晶柱】でダンジョンの6階層から始められるのだけど、お母さ「リッサ」ま?」

「リッサって呼んでちょうだい」

   ニッコリ微笑むが眼は笑っていない、あこれ逆らっちゃダメなやつだ。

「…えっと、リッサは【四季ダンジョン】は行ったことが無いから1階層からしか始められないと思うの…です、が」

   ママンはコテンと小首を傾げ顎を人差し指でポンポンと叩く。

「従魔、連れて行けるんでしょ?」
「ええ、私達レイディと一緒に潜ってるわ」
「じゃあレイディとカルラですっとばしたら5階層まであっという間でしょう」

「カルラって?」

   ウリュ君から質問。

「ワタクシの従魔のヒッポグリフよ、レイディの育ての親でもあるから。2頭は仲良しだから、一緒でも問題ないわ」

「お姉さん、ヒッポグリフ従魔にしてるの?あ、厩舎でレイディといたやつ?」
「そうよ」
「すっげー、いいな、俺もいつか飛行タイプの従魔欲しいな」

   キラッキラッの眼でママンに話しかけるアレクス君。お姉さん呼びにママンはニッコリ。

「エル姉、いいじゃん。5階層まで飛んでいけばあっという間だよ」
「中ボスいるよ」
「大丈夫だって、中ボスだってオレ達とヒッポグリフも増えるんだぜ」

   アレクス君はノリノリです、ウリュ君はやや緊張気味と言うか…

「オネーちゃんがいいなら僕いいでちゅ」
「まあ、ありがとう」

   おい、ママン、私まだ返事してないんですけど。





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