恋愛経験ゼロの俺が、一目惚れした天使にストーカーと勘違いされた挙句、男女比1対9のハーレム・シェアハウスで一緒に住むことになった話

永遠光(とわのひかり)

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第3章 揺れる想い

第71話 王様ゲーム(1)

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 里緒奈が提案した王様ゲームに、一同は戦々恐々としていた。

「あれ、なんでそんなに警戒してるの?
 大丈夫大丈夫……
 とっても楽しいゲームなんだから、やってみれば分かるって!」

 彼女は、10本のスティックと30枚のカードをテーブルに置いた。

「改めてルールを説明するね。
 この10本のうち、1本が『王様』で、残りの9本には、1から9までの番号が書いてあるからね。
 王様を引いた人が、その回の決定権を持つことになるの。
 それ以外の人は、スティックに書かれたのが自分の番号になるよ!」

 里緒奈はテーブルの上でカードの束を扇型に広げた。

「カードには30種類のお楽しみイベントが書いてあるの。
 王様になった人は、カードを1枚引いて、その命令を読み上げて、何番の人がやるか指名するの!」

「へ~、命令の内容はカードで決まるんだ。
 王様が命令を考えるんじゃないんだね」
 朱音が感心したように頷いた。

「カードの内容は運任せだけど、誰にやらせるかは王様が決めるのよ!
 もちろん、王様が自分を指名して、オイシイ思いをするのもアリなの……
 一度使ったカードはもう使えないから、同じ命令は2度と出ないよ。
 もちろん命令は絶対で拒否権ないからね! 」

「ちょっと待ってくださいよ、里緒奈さん!
『お楽しみイベント』って……どんなことが書かれてるんですか!」

「そうよ、カードに何が書いてあるのか、先に見せてくださいよ……」
 琴葉が未来に同意した。

「もぉ~、疑い深いなぁ……キミたちは……。
 ほら、見てみなよ」
 里緒奈はカードの中から数枚抜き出して、テーブルの上に並べて見せた。

 そこには『ポッキーゲーム』『膝枕』『王様の好きなところを3つ言う』といった文字が書かれていた。

「ほら、『ポッキーゲーム』なんて王道中の王道だし、『膝枕』はただの癒やしじゃん。
 至って健全なパーティーゲームでしょ?」
 里緒奈は得意気に胸を張った。

「う~ん……まあ、それくらいなら問題ないか……」
 未来と琴葉は顔を見合わせてお互いに頷いた。

 アルコールの勢いを借りたノリノリの里緒奈のプレゼンに負け、みんなは渋々王様ゲームをやることになった。

「それじゃあ1回目いくよ~! 
 せ~の、王様だ~れだ!」

 全員が順番にスティックを引くと、里緒奈が高らかに声を上げた。

「は~い! いきなり私が王様で~す!」
 里緒奈は王様スティックを掲げ、早速カードを引いた。

「命令は……『異性の身体のパーツを褒めながら触る』
 これをやるのは……3番の人!
 もし3番が女子なら、相手は祐希だからね!」

「あ、私だ」
 手を挙げたのは、ほんのり頬を染めた瑞希だった。
 ほろ酔い加減の瑞希は、にこやかな笑みを浮かべて祐希に近づいた。

「祐希ってばさ、細そうに見えるけど意外といい身体してるんだよね~」
 瑞希はシャツの上から、祐希の厚みのある胸板や引き締まった二の腕を確かめるように撫で回した。

「ん~、やっぱり硬い。
 さすがは空手やってただけのことはあるわね」

「ちょ、瑞希さん、そんなベタベタ触らないでくださいよ……」 

 女性の手の感触と気恥ずかしさに、祐希は身体を強張らせた。
 その様子を、さくらは顔を赤くして、恥ずかしそうに見つめていた。

 続いてスティックを引くと、沙織が小悪魔的な笑みを浮かべた。

「やった~、今度は私が王様よ~♪」
 早速、沙織がカードを引くと、不敵な視線を祐希に向けた。

「命令は『指名された番号の人がポッキーゲーム』!
 え~っと、その人は……私と2番の人!」

「げっ、僕だ……」
 祐希が恐る恐るスティックを見せた。
 沙織は祐希がスティックを引く瞬間に数字を見ていたのだ。

「えっ、祐希くんなの!?」

「ちょっと沙織、まさか狙い撃ちしたんでしょ……」
 明日奈と里緒奈が呆れた声を上げ、未来は「信じられない!」といった表情をした。

「先輩、早く早く」
 沙織は勝ち誇ったように笑い、ポッキーを咥えて祐希の隣へ移動した。
 祐希が、渋々反対側を咥えた。

 ポリ、ポリ、ポリ……。
 沙織がリズムよく食べ進め、二人の唇の距離が数センチまで迫った。
 周囲の誰もが息を呑み、未来が悲鳴を上げそうになったその瞬間。

 パキッ。

 極限の緊張の中、ポッキーが真ん中で折れて落下した。

 その瞬間、未来は胸を押さえ、深い安堵の溜息とともにソファへ倒れ込んだ。

「もぉ~、あと少しでキスできたのに。残念」
 沙織は唇を舐め、悪戯っぽく微笑んだ。

 運命の第3ラウンド。
 一斉にスティックを引くと、祐希がガッツポーズをした。

「よし! 今回は僕が王様だ!」
 これでようやく理不尽な命令から逃れられる。
 祐希は安堵しながらカードを引いた。

「命令は……『ラップ3枚越しに10秒間キスをする』
 えっ、マジか。えっと対象は……じゃあ、2番と8番!」

 祐希が適当に番号を告げると、おずおずと手を挙げたのは未来、そしてもう1人は朱音だった。

「ちょっと里緒奈さん! 話が違うじゃないですか!
 さっき『健全なカードしかない』って言いましたよね!?
 これのどこが健全なんですか!」

「え~? 何言ってるの未来ちゃん。
 直接触れないんだから、十分『健全』でしょ」
 里緒奈はしらばっくれ、手際よく食品用ラップを3枚重ねて2人の間に広げた。

「うぅ……相手が男子じゃなくて良かったけど……朱音さんが相手って……」
 未来が躊躇していると、朱音はニコニコしながら顔を近づけた。

「未来ちゃん、唇柔らかそう~」

「ちょ、朱音さん、顔近いです!」

 観念した未来が目を閉じると、透明なラップを挟んで、2人の唇が重なった。
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 部屋に響くのは、生唾を飲み込む音だけ。

「……なにこれ、めっちゃエロいんですけど……」
 里緒奈は、予想を超える生々しさに思わず本音を漏らした。

「見てるこっちがドキドキしちゃう……」
 琴葉は頬を染めながら、その禁断の光景から目が離せなかった。

 祐希も、目の前で繰り広げられる美少女同士の口づけから目を離すことができなかった。

「……んっ」

 10秒後、唇が離れると未来は魂が抜けたように脱力し、朱音は余裕の表情を浮かべていた。

「ん~、未来ちゃんの唇柔らか~い、癖になりそう」
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