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ももか編 2
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前日の夜。
スマホが震えた。
ももか「明日はよろしくお願いします」
その一文を見た瞬間、脳裏にフラッシュバックするのは、過去の苦い記憶の数々。
約束して、待って、来ない。
その繰り返しで心はだいぶ擦り減っていた。
気づけば、俺はとんでもないメッセージを送っていた。
「こんにちわ。バックれていい?」
送信ボタンを押したあとで、
いや何言ってんだ俺
と我に返る。
案の定、返事は。
ももか「え!」
だろうな。
「今若干心が荒んでるんだけど(笑)」
半分本音、半分冗談。
すると彼女は、
ももか「やめときますか? 怒られたりしたら怖いから嫌だし」
――あ、まともな反応だ。
「ももかさんは関係ないし怒る気はないけど。約束守らない子多すぎて嫌なんだよね。どうする?」
ももか「いや私は守りますよー!」
「じゃあ、会いますか?」
ももか「はい」
なんだこの素直さ。
逆にこっちが悪者みたいじゃないか。
条件の再確認をして、いつもの“追加請求しないでください宣言”をする俺。
すると彼女は笑いながら、
ももか「とゆうか会いすぎですよ!笑」
……その通りである。
最後に「楽しみにしてるね」と送って、スマホを置いた。
面倒くさいおっさんムーブ全開だったが、
それでも彼女は嫌な顔ひとつしない。
――もしかして、今回は当たりか?
そんな期待を少しだけ抱きながら眠りについた。
当日。
空は、俺の心を映したかのような微妙な天気だった。
雨が降ったり止んだり。決断力ゼロの空模様。
10時半過ぎ。
ももかから「今日はよろしくお願いします」とメールが来る。
ちゃんとしてるな、この子。
13時まで仕事を片付け、13時半に家を出る。
出る直前、なんとなく聞いてみた。
「あの~移動ってバスですか?」
すぐに返事。
「違いますよ!!」
さらに「電車?」と聞くと、
「ん?何でですか?」
俺の中では明確な理由がある。
バス移動の子はだいたい遅刻する。
謎の統計データだ。
駅に着き、電車に飛び乗る。
時間はほぼ予定通り。
車内で服装を確認すると、
「スカートにアウターです」
……広すぎる。
日本中の女性の7割が該当する情報量だ。
山手線に乗り換えた頃、
「もう五反田には居て避難してます」
おお、早い。
これは珍しいパターンだ。
15時の5分前、五反田駅に到着。
メッセージを送り、待ち合わせ場所へ向かう。
雨よけの外付けエレベーター前。
人が少なくて妙に目立つ。
こういう場所、どうにも落ち着かない。
通り過ぎる人をぼんやり眺めながら10分ほど。
白いアウターの若い女性がこちらへ歩いてくる。
目が合った。
「こうさんですか?」
「あ、そうですよ」
――会えた。
その瞬間、
“とりあえず第一関門突破”
という文字が頭の中に浮かんだのは言うまでもない。
スマホが震えた。
ももか「明日はよろしくお願いします」
その一文を見た瞬間、脳裏にフラッシュバックするのは、過去の苦い記憶の数々。
約束して、待って、来ない。
その繰り返しで心はだいぶ擦り減っていた。
気づけば、俺はとんでもないメッセージを送っていた。
「こんにちわ。バックれていい?」
送信ボタンを押したあとで、
いや何言ってんだ俺
と我に返る。
案の定、返事は。
ももか「え!」
だろうな。
「今若干心が荒んでるんだけど(笑)」
半分本音、半分冗談。
すると彼女は、
ももか「やめときますか? 怒られたりしたら怖いから嫌だし」
――あ、まともな反応だ。
「ももかさんは関係ないし怒る気はないけど。約束守らない子多すぎて嫌なんだよね。どうする?」
ももか「いや私は守りますよー!」
「じゃあ、会いますか?」
ももか「はい」
なんだこの素直さ。
逆にこっちが悪者みたいじゃないか。
条件の再確認をして、いつもの“追加請求しないでください宣言”をする俺。
すると彼女は笑いながら、
ももか「とゆうか会いすぎですよ!笑」
……その通りである。
最後に「楽しみにしてるね」と送って、スマホを置いた。
面倒くさいおっさんムーブ全開だったが、
それでも彼女は嫌な顔ひとつしない。
――もしかして、今回は当たりか?
そんな期待を少しだけ抱きながら眠りについた。
当日。
空は、俺の心を映したかのような微妙な天気だった。
雨が降ったり止んだり。決断力ゼロの空模様。
10時半過ぎ。
ももかから「今日はよろしくお願いします」とメールが来る。
ちゃんとしてるな、この子。
13時まで仕事を片付け、13時半に家を出る。
出る直前、なんとなく聞いてみた。
「あの~移動ってバスですか?」
すぐに返事。
「違いますよ!!」
さらに「電車?」と聞くと、
「ん?何でですか?」
俺の中では明確な理由がある。
バス移動の子はだいたい遅刻する。
謎の統計データだ。
駅に着き、電車に飛び乗る。
時間はほぼ予定通り。
車内で服装を確認すると、
「スカートにアウターです」
……広すぎる。
日本中の女性の7割が該当する情報量だ。
山手線に乗り換えた頃、
「もう五反田には居て避難してます」
おお、早い。
これは珍しいパターンだ。
15時の5分前、五反田駅に到着。
メッセージを送り、待ち合わせ場所へ向かう。
雨よけの外付けエレベーター前。
人が少なくて妙に目立つ。
こういう場所、どうにも落ち着かない。
通り過ぎる人をぼんやり眺めながら10分ほど。
白いアウターの若い女性がこちらへ歩いてくる。
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「こうさんですか?」
「あ、そうですよ」
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という文字が頭の中に浮かんだのは言うまでもない。
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