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第一章 増える黒柴犬
3話 黒柴犬
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食事を取って人心地ついてから、俺はPCを起動した。
ネット中がダンジョンの話で一色だった。
どうやら俺の家以外にも沢山のダンジョンが出現したようだ。
把握されているだけで、日本で275。世界全体では5000箇所を超えている。
発生は全て同時刻で、日本時間の4月11日3時6分25秒。
その時間にダンジョン発生地点の近く、推定で半径50メートル圏内に居た15歳以上60歳以下の人間の約半数が、謎の力でダンジョン内に拉致された。
拉致された全員が、衣服や靴を着用した状態になり、近くにあった武器になる物をランダムで所持。
運のいい人は銃器や牛刀で、運が悪いとプラッチックバットという格差社会が形成されていたようだ。
ダンジョンの入口は、地下鉄の下り階段のような形状をしている。
変哲のないコンクリートの下り階段だが、ダンジョン自体は異空間にあるようだ。
大手IT企業のロビーにダンジョンの入り口が出現したそうだが、その下の地下フロアは一切の影響を受けずに存在し続けている。
ダンジョンは拉致されなった人も出入り可能。ただし武器の支給はないので、自分で用意する必要あり。不用意に踏み入って、犠牲になった者もいるようだ。
ダンジョンの内装は、石畳の通路と、石室。
出現するモンスターも、全てのダンジョンで俺が遭遇したあの怪物の一種類。
誰も踏み入ってない下層は不明だが、全ての第1階層と僅かに確認されている第2階層は、全て石畳の通路と石室で、あの怪物だけが出現する。
仮称ながら怪物にはゴブリンという名が定着しかけているので、俺も以降はゴブリンと呼ぶ。
ゴブリンの身体能力は、成人男性より少し劣る程度。
ただし耐久力と殺意が普通の動物では考えられないぐらい高い。
そのせいで拉致された人間だけではなく、初期の救助に従事した警察官にも、多くの犠牲が出たようだ。
腹を出刃包丁で貫通破壊して内蔵半分溢れるような状態でも、噛み付いてきたくらいだからなぁ。
鉛玉を打ち込んでも、止まらないかもな。
現在日本の場合は警察を下げて、特殊部隊や自衛隊が救助活動に投入されている。
1匹でもとどめを刺すと祝福を授かるが、ヒーローや救世主、剣士や魔術士、膂力や健康、念力や祈り、超越神や永劫魔人、アッパーカットや豚バラ肉など、レパートリーに富んだ祝福があるようだ。
ただ、祝福は他人には見えないようで。自己申告通りの祝福を授かっているか、確認するすべは無い。嘘も多く混じっているだろう。むしろ嘘の中に僅かな真実が混じっている程度かもしれない。
祝福のランクはGR、LR、HR、UR、SSSR、SSR、SR、R、UC、C。A、B、Xなどなど。漢字や謎言語の表記もあった。
まあこのランクも自己申告だ。
ぶっちゃけ確認が取れないネット情報なんて、丸ごとネタだと思ったほうが良いかもな。実際、祝福を授かった時の発光が何色だったかが、同じランクを主張する人でてんでバラバラだ。
面白くもない冗談を面白いつもりで書けるのが、俺も含めたネット住民の悪癖だからな。俺も実際に祝福を授かってなかったら、適当なことを書いてたさ。祝福名もランクも、9割9分まで祝福を持ってない人のイタズラだろう。
で、俺が経験した大怪我の回復だが。
他にも大勢の人が経験していて、映像まであった。
回復のタイミングは、ダンジョンから出る瞬間。
回復しなかった人もいる。
その差の推測も立っていて、おそらくはゴブリンの討伐数。
複数討伐していた人は大きな怪我も回復し、全く倒していない人は、かすり傷すら治っていないようだった。
俺自身は1体しか倒してないけど、黒柴犬は俺の召喚した戦力なので、俺の手柄になる。一蓮托生の関係なのだ。
本当にありがとう黒柴犬さんたち。
お礼は餌でええでと以心伝心してきたので、通販サイトに移動。
ダンジョン災害の影響で商品到着が遅れる可能性がございます、と注意書きがある。
ダンジョン発生から時間が経っているので、食料品や防災関連のグッズは、ほぼ品切れ状態だった。
防災品や発電機は家に完備されているし、保存食の備蓄も大量にあるので、まあ問題はあるまい。
とりあえず残っているドッグフードを、高い順からカートに放り込み、情報収集に戻る。
普段は見ない大手メディアのサイトも確認。
マスコミと政府はダンジョンの危なさを繰り返し訴え、入らないように警告している。
また、ダンジョンを発見したら速やかに報告するよう繰り返している。
警告だけではなく公権力でダンジョン周辺を閉鎖して、侵入を防いでいる。
しかし人手は足りず、体制は整っていない。
ダンジョンに入ってゴブリンを倒すと異能が授かれると、夢を見る人類が知ってしまったのだ。日用品的武器を片手に、ネットで示し合わせて押しかける者たちが続出。そこそこ、突破されているようだ。
更に突貫で作られたダンジョン関連まとめサイトを巡回していて気になる情報を2つ発見。
どちらも海外の翻訳だ。
ダンジョン内に女神っぽい石像があるらしい。
その石像に祈ると、貯めている経験値的な何かを対価にして、傷の回復や、MPの回復、またはLvアップが可能になるらしい。複数の国で報告があり、女神像の写真もある。
やっぱりダンジョン脱出時の傷の回復も、それを消費してるんだろう。
経験値的な何かの存在は、俺も感覚で理解できていた。
ちょっとずつだが今も貯まってきてるんよな。
気になる情報の2つ目は、ゴブリンを倒した時に、オーブがドロップしたとの報告だ。
このオーブを使って、アイテムボックスを覚えられたそうだ。
報告が1件だけで民間人からなので、信憑性はあまりない。映像もない。しかし夢はある。
まあ今のところはこんな感じかな。
さあどうしようか。自宅のダンジョンを国に報告するか、否か。
突然現れ、俺を拉致して痛めつけてくれたダンジョンだ。
また拉致されるかもしれないし、ゴブリンが外に出てくるかもしれない。
脈略のない現象すぎて、この先に何が起こるかを、正確に予想するなんて不可能だよな。
重い責任を背負いたくないし、安全を求めるなら、とっとと報告すべきなんだけど。
しかしせっかく私有地に俺しか知らないダンジョンがあって、黒柴犬も居るわけで。
手放すのは惜しい気もするんだよ。
一生遊んで暮らせる金はあるけど、それは世界が平穏だったらの話。
ファンタジーなダンジョン災害の影響で、マネーの価値は将来まで保証されるものじゃ無くなった可能性がある。
黒柴犬は独占しようぜ、俺達に任せてくれと以心伝心で言っている。ダンジョンは黒柴犬が強くなるために必要で、取り上げられたくないようだ。これからは金の時代じゃなく、暴力の時代だとも黒柴犬は言っていて、そうなりそうな予感は俺も感じているよ。
うーーん。
そうだな。
日和ってダンジョンの報告しちゃうか、隠蔽するか決める前に、まずは黒柴犬の把握が先だな。まあ、俺自身の祝福だから、識っては居るんだけど。
黒柴犬。
黒柴犬という愛嬌のある肉体を持っているが、それは仮の姿。
俺自身に与えられた権能であり、神霊的な存在。
この世界で活動するためには黒柴犬という器に宿る制約があるが、器が壊されても個体が死ぬわけではない。
一にして全。全にして一の存在。
俺が死なない限り、黒柴犬は不滅の存在なのだ。
次元をまたいでふんわりと存在していて、一匹の経験は全体に共有される。
俺の思考や五感は離れた黒柴犬に常に伝わっている。
逆に離れた黒柴犬の状況を、俺が把握することも可能だ。
黒柴犬の視界を借りたり、音を聞くことすら出来るのだ。
ただしこっちは常時ではない。俺が意識した時だけ。
同時に複数箇所を把握することも可能だが、その場合は注意力が散漫になってしまう。能力の制約ではなく、人間の脳の限界だな。
推しのゲーム画面を複窓で並べても、結局は1人ずつ順番に見ていくだけで、疲れる割には名場面を見逃してしまうあの現象になってしまうのだ。
とりあえず、1匹とだけ視界共有を試してみるか。
やってみた。
うん。犬の視点だから低いな。
ただ、見え方は人間の時と変わらない。むしろ自前の視力より鮮明だ。まあ犬であって犬でないしな。犬型オカルト兵器って感じだしな。
少し歩いて貰う。
ちょっとブレるな。
走ってみて。うん。無理。酔う。
高速移動や戦闘中の視界共有は無理だな。黒柴犬の戦闘を見るためには、動かないカメラ役を用意する必要がありそうだ。まあ俺が戦闘行為でアドバイス出来ることはないだろうから、見る必要はないんだけど。
黒柴犬の実績は、俺の実績となり、俺のLvが上昇すれば、黒柴犬もまた強くなる。
つまり黒柴犬がダンジョンで魔物を倒すほど、俺は強くなるし、黒柴犬も強くなる。
そんな黒柴犬はとても勤勉だ。
怠惰の権能がなぜ勤勉? と一瞬思うがよく考えれば納得できる。
誰かが怠惰に暮らすためには、誰かが勤勉に働く必要があるのだ。
怠惰な俺が怠惰なままに強くなってダンジョンを攻略するには、俺の代わりに経験値を稼いでダンジョンを攻略してくれる勤勉者が必要だったのだ。
黒芝犬は、俺のそばに付いていた1匹を除いて、今も1階層の探索範囲を拡大しながら、ゴブリンを狩り続けている。
俺が寝ている間も働いてくれている。
それを苦にしないと言うか、むしろ喜んでやってくれている。
俺の冒険は寝ながらにして前進していたのだ。
そして黒柴犬は、ダンジョン内で女神な石像を発見していた。
ただ女神像は、黒柴犬には反応しないようで。
たぶん俺が直接出向く必要があるんだろうな。
今も、早く早く。行こうわん。と以心伝心で黒柴犬に急かされている。
うーーん。どうするか。
ネット中がダンジョンの話で一色だった。
どうやら俺の家以外にも沢山のダンジョンが出現したようだ。
把握されているだけで、日本で275。世界全体では5000箇所を超えている。
発生は全て同時刻で、日本時間の4月11日3時6分25秒。
その時間にダンジョン発生地点の近く、推定で半径50メートル圏内に居た15歳以上60歳以下の人間の約半数が、謎の力でダンジョン内に拉致された。
拉致された全員が、衣服や靴を着用した状態になり、近くにあった武器になる物をランダムで所持。
運のいい人は銃器や牛刀で、運が悪いとプラッチックバットという格差社会が形成されていたようだ。
ダンジョンの入口は、地下鉄の下り階段のような形状をしている。
変哲のないコンクリートの下り階段だが、ダンジョン自体は異空間にあるようだ。
大手IT企業のロビーにダンジョンの入り口が出現したそうだが、その下の地下フロアは一切の影響を受けずに存在し続けている。
ダンジョンは拉致されなった人も出入り可能。ただし武器の支給はないので、自分で用意する必要あり。不用意に踏み入って、犠牲になった者もいるようだ。
ダンジョンの内装は、石畳の通路と、石室。
出現するモンスターも、全てのダンジョンで俺が遭遇したあの怪物の一種類。
誰も踏み入ってない下層は不明だが、全ての第1階層と僅かに確認されている第2階層は、全て石畳の通路と石室で、あの怪物だけが出現する。
仮称ながら怪物にはゴブリンという名が定着しかけているので、俺も以降はゴブリンと呼ぶ。
ゴブリンの身体能力は、成人男性より少し劣る程度。
ただし耐久力と殺意が普通の動物では考えられないぐらい高い。
そのせいで拉致された人間だけではなく、初期の救助に従事した警察官にも、多くの犠牲が出たようだ。
腹を出刃包丁で貫通破壊して内蔵半分溢れるような状態でも、噛み付いてきたくらいだからなぁ。
鉛玉を打ち込んでも、止まらないかもな。
現在日本の場合は警察を下げて、特殊部隊や自衛隊が救助活動に投入されている。
1匹でもとどめを刺すと祝福を授かるが、ヒーローや救世主、剣士や魔術士、膂力や健康、念力や祈り、超越神や永劫魔人、アッパーカットや豚バラ肉など、レパートリーに富んだ祝福があるようだ。
ただ、祝福は他人には見えないようで。自己申告通りの祝福を授かっているか、確認するすべは無い。嘘も多く混じっているだろう。むしろ嘘の中に僅かな真実が混じっている程度かもしれない。
祝福のランクはGR、LR、HR、UR、SSSR、SSR、SR、R、UC、C。A、B、Xなどなど。漢字や謎言語の表記もあった。
まあこのランクも自己申告だ。
ぶっちゃけ確認が取れないネット情報なんて、丸ごとネタだと思ったほうが良いかもな。実際、祝福を授かった時の発光が何色だったかが、同じランクを主張する人でてんでバラバラだ。
面白くもない冗談を面白いつもりで書けるのが、俺も含めたネット住民の悪癖だからな。俺も実際に祝福を授かってなかったら、適当なことを書いてたさ。祝福名もランクも、9割9分まで祝福を持ってない人のイタズラだろう。
で、俺が経験した大怪我の回復だが。
他にも大勢の人が経験していて、映像まであった。
回復のタイミングは、ダンジョンから出る瞬間。
回復しなかった人もいる。
その差の推測も立っていて、おそらくはゴブリンの討伐数。
複数討伐していた人は大きな怪我も回復し、全く倒していない人は、かすり傷すら治っていないようだった。
俺自身は1体しか倒してないけど、黒柴犬は俺の召喚した戦力なので、俺の手柄になる。一蓮托生の関係なのだ。
本当にありがとう黒柴犬さんたち。
お礼は餌でええでと以心伝心してきたので、通販サイトに移動。
ダンジョン災害の影響で商品到着が遅れる可能性がございます、と注意書きがある。
ダンジョン発生から時間が経っているので、食料品や防災関連のグッズは、ほぼ品切れ状態だった。
防災品や発電機は家に完備されているし、保存食の備蓄も大量にあるので、まあ問題はあるまい。
とりあえず残っているドッグフードを、高い順からカートに放り込み、情報収集に戻る。
普段は見ない大手メディアのサイトも確認。
マスコミと政府はダンジョンの危なさを繰り返し訴え、入らないように警告している。
また、ダンジョンを発見したら速やかに報告するよう繰り返している。
警告だけではなく公権力でダンジョン周辺を閉鎖して、侵入を防いでいる。
しかし人手は足りず、体制は整っていない。
ダンジョンに入ってゴブリンを倒すと異能が授かれると、夢を見る人類が知ってしまったのだ。日用品的武器を片手に、ネットで示し合わせて押しかける者たちが続出。そこそこ、突破されているようだ。
更に突貫で作られたダンジョン関連まとめサイトを巡回していて気になる情報を2つ発見。
どちらも海外の翻訳だ。
ダンジョン内に女神っぽい石像があるらしい。
その石像に祈ると、貯めている経験値的な何かを対価にして、傷の回復や、MPの回復、またはLvアップが可能になるらしい。複数の国で報告があり、女神像の写真もある。
やっぱりダンジョン脱出時の傷の回復も、それを消費してるんだろう。
経験値的な何かの存在は、俺も感覚で理解できていた。
ちょっとずつだが今も貯まってきてるんよな。
気になる情報の2つ目は、ゴブリンを倒した時に、オーブがドロップしたとの報告だ。
このオーブを使って、アイテムボックスを覚えられたそうだ。
報告が1件だけで民間人からなので、信憑性はあまりない。映像もない。しかし夢はある。
まあ今のところはこんな感じかな。
さあどうしようか。自宅のダンジョンを国に報告するか、否か。
突然現れ、俺を拉致して痛めつけてくれたダンジョンだ。
また拉致されるかもしれないし、ゴブリンが外に出てくるかもしれない。
脈略のない現象すぎて、この先に何が起こるかを、正確に予想するなんて不可能だよな。
重い責任を背負いたくないし、安全を求めるなら、とっとと報告すべきなんだけど。
しかしせっかく私有地に俺しか知らないダンジョンがあって、黒柴犬も居るわけで。
手放すのは惜しい気もするんだよ。
一生遊んで暮らせる金はあるけど、それは世界が平穏だったらの話。
ファンタジーなダンジョン災害の影響で、マネーの価値は将来まで保証されるものじゃ無くなった可能性がある。
黒柴犬は独占しようぜ、俺達に任せてくれと以心伝心で言っている。ダンジョンは黒柴犬が強くなるために必要で、取り上げられたくないようだ。これからは金の時代じゃなく、暴力の時代だとも黒柴犬は言っていて、そうなりそうな予感は俺も感じているよ。
うーーん。
そうだな。
日和ってダンジョンの報告しちゃうか、隠蔽するか決める前に、まずは黒柴犬の把握が先だな。まあ、俺自身の祝福だから、識っては居るんだけど。
黒柴犬。
黒柴犬という愛嬌のある肉体を持っているが、それは仮の姿。
俺自身に与えられた権能であり、神霊的な存在。
この世界で活動するためには黒柴犬という器に宿る制約があるが、器が壊されても個体が死ぬわけではない。
一にして全。全にして一の存在。
俺が死なない限り、黒柴犬は不滅の存在なのだ。
次元をまたいでふんわりと存在していて、一匹の経験は全体に共有される。
俺の思考や五感は離れた黒柴犬に常に伝わっている。
逆に離れた黒柴犬の状況を、俺が把握することも可能だ。
黒柴犬の視界を借りたり、音を聞くことすら出来るのだ。
ただしこっちは常時ではない。俺が意識した時だけ。
同時に複数箇所を把握することも可能だが、その場合は注意力が散漫になってしまう。能力の制約ではなく、人間の脳の限界だな。
推しのゲーム画面を複窓で並べても、結局は1人ずつ順番に見ていくだけで、疲れる割には名場面を見逃してしまうあの現象になってしまうのだ。
とりあえず、1匹とだけ視界共有を試してみるか。
やってみた。
うん。犬の視点だから低いな。
ただ、見え方は人間の時と変わらない。むしろ自前の視力より鮮明だ。まあ犬であって犬でないしな。犬型オカルト兵器って感じだしな。
少し歩いて貰う。
ちょっとブレるな。
走ってみて。うん。無理。酔う。
高速移動や戦闘中の視界共有は無理だな。黒柴犬の戦闘を見るためには、動かないカメラ役を用意する必要がありそうだ。まあ俺が戦闘行為でアドバイス出来ることはないだろうから、見る必要はないんだけど。
黒柴犬の実績は、俺の実績となり、俺のLvが上昇すれば、黒柴犬もまた強くなる。
つまり黒柴犬がダンジョンで魔物を倒すほど、俺は強くなるし、黒柴犬も強くなる。
そんな黒柴犬はとても勤勉だ。
怠惰の権能がなぜ勤勉? と一瞬思うがよく考えれば納得できる。
誰かが怠惰に暮らすためには、誰かが勤勉に働く必要があるのだ。
怠惰な俺が怠惰なままに強くなってダンジョンを攻略するには、俺の代わりに経験値を稼いでダンジョンを攻略してくれる勤勉者が必要だったのだ。
黒芝犬は、俺のそばに付いていた1匹を除いて、今も1階層の探索範囲を拡大しながら、ゴブリンを狩り続けている。
俺が寝ている間も働いてくれている。
それを苦にしないと言うか、むしろ喜んでやってくれている。
俺の冒険は寝ながらにして前進していたのだ。
そして黒柴犬は、ダンジョン内で女神な石像を発見していた。
ただ女神像は、黒柴犬には反応しないようで。
たぶん俺が直接出向く必要があるんだろうな。
今も、早く早く。行こうわん。と以心伝心で黒柴犬に急かされている。
うーーん。どうするか。
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