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第二章 セカンドシーズン
50話 11階層
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我が家ダンジョンの10階層には、鎖で閉じられた扉が3つ出現していた。
扉のマークは『和風』『科学』『森林』
セカンドシーズンが始まってから5日が経ってる。
何だかかんだで俺も日本人だから、救助優先で一段落するまでダンジョン探索を控えたけど、そんなの関係ないって人も外国には多いからな。
すでに先行者情報がネットに上がっている。
このどれかを空けると、残り2つの扉は消滅するそうだ。
つまり先頭を走る人が、ダンジョンの構造を決定するのだ。
ちなみにこの扉の鎖はプレイヤーが直接触れる事で壊せる仕様で、召喚獣では壊せない。だから遠方のダンジョンは、誰か人間が開くまで黒柴犬は進めない。
どれ選ぶ? と黒柴犬に尋ねる。
この選択はマップや敵の選択と同時に、獲得できるオーブにも影響を与えるかもしれない。
完全なゲームなら『科学』を選ぶんだけどな。
ここは科学者である親父のダンジョンだしな。シチュエーションは大事だ。
ただ、感知系の能力が欲しいなら『森林』だろうな。
『和風』も陰陽術的なのがあるかもしれない。
『科学』だろ? と黒柴犬。
『森林』や『和風』は別のダンジョンでもありそうだしな。『科学』もあるかもだけど。
この場に向いているって意味では、やっぱり『科学』だよな。
お前らが良いなら『科学』を選ぶか。
オーブの獲得数に1日10個までの制限がかけられたのは痛いが、マップも獲得できるオーブも多彩になるのはわくわくするよな。やっぱゲームには自由と選択が大事なんよ。始まったなって感じがしてくるぜ。
20匹の黒柴犬に先導されて、『科学』の扉に向かう。
俺たちの姿は、5匹の黒柴犬が闇の手を器用に使ってカメラ撮影している。
闇の手は本当に便利です。
上からでも下からでも自由なアングルで撮影できる。
ドローン空撮に近い動きのある撮り方も出来るしな。
今は見やすさ優先のおとなしい映像だが、母さんに付けている黒柴犬が撮影技術を学んでいるので、いずれは映画的な技法も取り入れれるだろう。
扉は、病院なんかでフロアを区切る横開きのシャッターのような形をしていた。
俺が扉に指をかけて、開ける意志を示すと、鎖がエフェクトとともに砕け散った。
横開きの扉は、黒柴犬でも開けれるようになった。
開けた扉の向こうは、ワープゾーン的にうにうにしていて、向こう側は見えない。
「じゃあ頑張ってこいよ」
俺はもちろん行かない。
此処から先はいつものように黒柴犬だけが進む。
黒柴犬の視界を借りて見学はするけどね。
20匹の黒柴犬先行調査隊が、扉を潜っていく。
こいつらはセカンドシーズン以降に新しく召喚した黒柴犬だ。
初見の階層は何があるか分からないので、ファーストシーズン産のスキルを盛りまくっている黒芝犬は、初手では出さない。
先行調査隊のコストも10で統一している。
称号全てを【無償付与5】に変えたので、コスト10でも85個分のスキルを取得している。
バランスよく取得させたり、闇の手に特化させたり、体術に特化させたりと、得意分野は分散させている。
先行調査隊が11階層に降り立った。
もちろん撮影部隊も同行している。
中は研究室の廊下のような、病院の廊下のような。
真っ白い壁紙で、天井には蛍光灯が輝いているし、床は凹凸がなくツルツルだ。
明るいな。
省エネ時代には考えにくい、ギラついた明るさだ。
ちょっと闇魔法的には不利な明るさだな。
空気は澄んでいて、冷えている。
とても静か。
廊下の形状が気持ち悪い。
横幅が6メートル高さが3メートル。
窓がない。
でもって30メートル先は相変わらず闇になっていて見通せない。
わくわくするぜ。
この歪さが、ゲームっぽくて俺は好きだな。
石畳と石室のダンジョンも、嫌いじゃないんだけどな。
初っ端な拉致から死にかけたんで、感動する余裕なんてなかったからな。
調査隊が慎重に進んでいく。
突き当りが、横開きのドアになっていた。
一匹が進み出て、後ろ足で立って前足でドアを開ける。
可愛いがちらりと後ろを向く仕草がさすがにあざとすぎないか?
ああ、どくろさんの指導ね。
黒芝犬はVチューバーも含めて業界人の護衛を今も続けているので、諸先輩から色々とアドバイスを受けているようだ。コラボ依頼も沢山来ているが今はまだ早いと俺の方で止めている。
横開きの扉を開くと、中は研究室のようになっていた。
複雑な構造をした謎のガラス器具があるが、アイテムボックスに収納は出来ないようだ。
ビーカーや試験管も、収納どころか闇の手で動かせない。
力をくわえると割れたので、破壊は可能。移動や持ち出しは不可。
大きなテーブルの上にあった、大きな青い液体の入ったビーカーが音を立てて溢れ出した。
黒柴犬がびくっと驚いた仕草をした。
青い液体、というより粘体がテーブルを這いずって黒柴犬に飛びかかってきた。
黒芝犬はバク転で飛び退きながら、闇の刃でぶった斬る。
シュタッと忍者っぽいポーズで着地。
真っ二つになった粘体は、瞬間、透明度を上げて、核のようなものが見えた。その核を別の黒柴犬が闇の刃で破壊する。
粘体は溶けるように消えていった。その後には、魔石と小さな青い豆粒を残した。
黒柴犬たちが、前足でハイタッチしている。
スライムっぽいね。
今のところ敵は弱いか?
室内には目ぼしいものもなく、他に敵も居なかった。
部屋の向こうに続いている廊下に調査隊が進む。
お、廊下の広さが変わったな。
幅3メートルで高さが2メートルになった。
蛍光灯の明るさも少し暗くなった?
歪だなぁ。この歪さと清潔感で、ちょっとホラー風味になってるね。
進んでいく。
廊下の向こうから、白衣を着た青白いゴブリンが3匹歩いてくる。
動きが鈍く、唸るように低い声。
ゾンビか?
よだれとか紫だし、変な病気を持ってそうなので、闇の刃でサクッと処理。
黒柴犬たちがハイタッチ。
調査隊が探索を続けていく。
マップは歪な廊下と歪な研究室で構成されていた。
廊下をスライムが這っていることもあるし、天井に張り付いていることもあった。
部屋の中にゴブリンゾンビが居ることもあった。
黒柴犬たちは明らかに気づいているのに気づいていない振りをして直前で驚いたりと、わざとらしい撮れ高を増やしながら、40分が経過した。
スライムは2つに切り分けても這いずって本体と合流する。
闇の手で触れると闇の手にダメージが発生した。酸かアルカリか不思議属性か不明だけど溶かす特性があるようだ。
攻撃すると一時的に透明になって、見えた核を壊すと消滅する。
ドロップアイテムは魔石と青い豆粒。
ゴブリンゾンビは動きが遅いし、触れてもダメージはない。ただし紫のよだれは毒性が強いようで、ぶっ掛けられた闇の手の耐久が、ゴリゴリと削られた。
倒すと魔石とゴブリンの牙を落とす。
どちらも強さ自体はそんなでもない。10階層よりも弱いんじゃないか?
ただし遠距離攻撃がないとリスクが大きいが。
先行調査隊の闇の刃担当は、そろそろMPが尽きる。
慎重すぎても効率が悪いし、追加部隊を派遣して捜索範囲を広げようか。
先行調査隊を戻して、ファーストシーズン産の黒柴犬たちを、10匹1チームにして200匹送り込んだ。
扉のマークは『和風』『科学』『森林』
セカンドシーズンが始まってから5日が経ってる。
何だかかんだで俺も日本人だから、救助優先で一段落するまでダンジョン探索を控えたけど、そんなの関係ないって人も外国には多いからな。
すでに先行者情報がネットに上がっている。
このどれかを空けると、残り2つの扉は消滅するそうだ。
つまり先頭を走る人が、ダンジョンの構造を決定するのだ。
ちなみにこの扉の鎖はプレイヤーが直接触れる事で壊せる仕様で、召喚獣では壊せない。だから遠方のダンジョンは、誰か人間が開くまで黒柴犬は進めない。
どれ選ぶ? と黒柴犬に尋ねる。
この選択はマップや敵の選択と同時に、獲得できるオーブにも影響を与えるかもしれない。
完全なゲームなら『科学』を選ぶんだけどな。
ここは科学者である親父のダンジョンだしな。シチュエーションは大事だ。
ただ、感知系の能力が欲しいなら『森林』だろうな。
『和風』も陰陽術的なのがあるかもしれない。
『科学』だろ? と黒柴犬。
『森林』や『和風』は別のダンジョンでもありそうだしな。『科学』もあるかもだけど。
この場に向いているって意味では、やっぱり『科学』だよな。
お前らが良いなら『科学』を選ぶか。
オーブの獲得数に1日10個までの制限がかけられたのは痛いが、マップも獲得できるオーブも多彩になるのはわくわくするよな。やっぱゲームには自由と選択が大事なんよ。始まったなって感じがしてくるぜ。
20匹の黒柴犬に先導されて、『科学』の扉に向かう。
俺たちの姿は、5匹の黒柴犬が闇の手を器用に使ってカメラ撮影している。
闇の手は本当に便利です。
上からでも下からでも自由なアングルで撮影できる。
ドローン空撮に近い動きのある撮り方も出来るしな。
今は見やすさ優先のおとなしい映像だが、母さんに付けている黒柴犬が撮影技術を学んでいるので、いずれは映画的な技法も取り入れれるだろう。
扉は、病院なんかでフロアを区切る横開きのシャッターのような形をしていた。
俺が扉に指をかけて、開ける意志を示すと、鎖がエフェクトとともに砕け散った。
横開きの扉は、黒柴犬でも開けれるようになった。
開けた扉の向こうは、ワープゾーン的にうにうにしていて、向こう側は見えない。
「じゃあ頑張ってこいよ」
俺はもちろん行かない。
此処から先はいつものように黒柴犬だけが進む。
黒柴犬の視界を借りて見学はするけどね。
20匹の黒柴犬先行調査隊が、扉を潜っていく。
こいつらはセカンドシーズン以降に新しく召喚した黒柴犬だ。
初見の階層は何があるか分からないので、ファーストシーズン産のスキルを盛りまくっている黒芝犬は、初手では出さない。
先行調査隊のコストも10で統一している。
称号全てを【無償付与5】に変えたので、コスト10でも85個分のスキルを取得している。
バランスよく取得させたり、闇の手に特化させたり、体術に特化させたりと、得意分野は分散させている。
先行調査隊が11階層に降り立った。
もちろん撮影部隊も同行している。
中は研究室の廊下のような、病院の廊下のような。
真っ白い壁紙で、天井には蛍光灯が輝いているし、床は凹凸がなくツルツルだ。
明るいな。
省エネ時代には考えにくい、ギラついた明るさだ。
ちょっと闇魔法的には不利な明るさだな。
空気は澄んでいて、冷えている。
とても静か。
廊下の形状が気持ち悪い。
横幅が6メートル高さが3メートル。
窓がない。
でもって30メートル先は相変わらず闇になっていて見通せない。
わくわくするぜ。
この歪さが、ゲームっぽくて俺は好きだな。
石畳と石室のダンジョンも、嫌いじゃないんだけどな。
初っ端な拉致から死にかけたんで、感動する余裕なんてなかったからな。
調査隊が慎重に進んでいく。
突き当りが、横開きのドアになっていた。
一匹が進み出て、後ろ足で立って前足でドアを開ける。
可愛いがちらりと後ろを向く仕草がさすがにあざとすぎないか?
ああ、どくろさんの指導ね。
黒芝犬はVチューバーも含めて業界人の護衛を今も続けているので、諸先輩から色々とアドバイスを受けているようだ。コラボ依頼も沢山来ているが今はまだ早いと俺の方で止めている。
横開きの扉を開くと、中は研究室のようになっていた。
複雑な構造をした謎のガラス器具があるが、アイテムボックスに収納は出来ないようだ。
ビーカーや試験管も、収納どころか闇の手で動かせない。
力をくわえると割れたので、破壊は可能。移動や持ち出しは不可。
大きなテーブルの上にあった、大きな青い液体の入ったビーカーが音を立てて溢れ出した。
黒柴犬がびくっと驚いた仕草をした。
青い液体、というより粘体がテーブルを這いずって黒柴犬に飛びかかってきた。
黒芝犬はバク転で飛び退きながら、闇の刃でぶった斬る。
シュタッと忍者っぽいポーズで着地。
真っ二つになった粘体は、瞬間、透明度を上げて、核のようなものが見えた。その核を別の黒柴犬が闇の刃で破壊する。
粘体は溶けるように消えていった。その後には、魔石と小さな青い豆粒を残した。
黒柴犬たちが、前足でハイタッチしている。
スライムっぽいね。
今のところ敵は弱いか?
室内には目ぼしいものもなく、他に敵も居なかった。
部屋の向こうに続いている廊下に調査隊が進む。
お、廊下の広さが変わったな。
幅3メートルで高さが2メートルになった。
蛍光灯の明るさも少し暗くなった?
歪だなぁ。この歪さと清潔感で、ちょっとホラー風味になってるね。
進んでいく。
廊下の向こうから、白衣を着た青白いゴブリンが3匹歩いてくる。
動きが鈍く、唸るように低い声。
ゾンビか?
よだれとか紫だし、変な病気を持ってそうなので、闇の刃でサクッと処理。
黒柴犬たちがハイタッチ。
調査隊が探索を続けていく。
マップは歪な廊下と歪な研究室で構成されていた。
廊下をスライムが這っていることもあるし、天井に張り付いていることもあった。
部屋の中にゴブリンゾンビが居ることもあった。
黒柴犬たちは明らかに気づいているのに気づいていない振りをして直前で驚いたりと、わざとらしい撮れ高を増やしながら、40分が経過した。
スライムは2つに切り分けても這いずって本体と合流する。
闇の手で触れると闇の手にダメージが発生した。酸かアルカリか不思議属性か不明だけど溶かす特性があるようだ。
攻撃すると一時的に透明になって、見えた核を壊すと消滅する。
ドロップアイテムは魔石と青い豆粒。
ゴブリンゾンビは動きが遅いし、触れてもダメージはない。ただし紫のよだれは毒性が強いようで、ぶっ掛けられた闇の手の耐久が、ゴリゴリと削られた。
倒すと魔石とゴブリンの牙を落とす。
どちらも強さ自体はそんなでもない。10階層よりも弱いんじゃないか?
ただし遠距離攻撃がないとリスクが大きいが。
先行調査隊の闇の刃担当は、そろそろMPが尽きる。
慎重すぎても効率が悪いし、追加部隊を派遣して捜索範囲を広げようか。
先行調査隊を戻して、ファーストシーズン産の黒柴犬たちを、10匹1チームにして200匹送り込んだ。
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