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桜木廉

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あまりにも、綺麗で時が止まった。

桜の木の下で、桜を見ている女を見てすべてが遅く感じた。

朝から、機嫌が悪かった。
今日は、高校の入学式だ。この高校は、兄も通っていた高校だ。
小さい頃から、何かと兄と比べられて育った。誰も、俺を見てなかった。

今日も朝から、お前も兄のように。くれぐれもうちの顔を潰すなよ。と、父と母から言われ、機嫌が悪く入学式をサボってやろうと綺麗な桜の木につられそこに向かった。


でも、そこにいた女に目を惹かれた。
綺麗で、今にも消えそうな女に思わず話しかける。

「おい。お前、って、泣いているのか。」

振り向いた女が泣いてるのに気づきそう語りかける。

泣いている姿も、綺麗なんておかしいよな俺。
でも、女が今にも消えそうでもう一度問いかけようとしたらごめんなさいと言ってどこかへと走っていく。

走っていった女を思いながら、少し高校生活が楽しくなりそうだと思った。

覚悟しとけよ?女。



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