彼の事はもう諦めようと思います 【完結済み】

皇 翼

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幸せな温もり

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今はレイの通っている魔導院の春休み。彼の魔導院での予定や私の体調を鑑みて予定を組み、今日ようやく彼との結婚式を挙げる。


あのお見合い騒動から半年――。今日、この時まで色々なことがあった。
レイが私がいない学校なんて通いたくないと駄々をこねたり、休みでもないのに授業を数日単位でサボって帰ってきてしまったり、反省したかと思えば魔法で一時的なコピーを作りこっそりと帰還してきたり……正直彼が一時的なものとはいえ自身のコピーを作ってきた騒動には少し呆れた。なにせ完璧なコピー過ぎて、そのコピーも私へ会うがために授業を受けず、レイを追って帰還してきたのだ。
まさに魔法の才能の無駄遣い。学院で私とレイの担任を務めていた先生も手紙で”こんなに才能があるのに、使い道が非常に残念だ!”と嘆いていた。


そしてそんな騒動の中、私のお腹の中に新たな命が芽生えていることが判明した。

あの時は大変だった。
私達が既に致していた事は気恥ずかしさから両親にも誰にも言ってはいなかったし、レイも全く同じだったようで、妊娠が判明した時は”レイナルドはまだ結婚もしていないのに中出ししやがったのか!!?”、”下半身がだらしない!!”とどちらの両親からも怒られ、丁度学院をサボって帰ってきていたレイが二重の意味で針の筵と化していた。レイの自業自得とはいえ、あの時の彼は哀れだった。

そこでもう一つ問題が発生する。両方の両親に散々責められながらも全く反省していなかったレイ。何かをこそこそやっているとは思っていたが、彼はなんと学院に退学届けを出そうとしていたのだ。”イリアが心配だ”、”勉強なんかよりもイリアとお腹の子供の方が大事だ”などと言って――。
最終的には毎日2時間、魔導通信機で連絡をとるという事で落ち着いてくれたが、説得には中々の時間を要した。


大変だった……本当に大変だったのだ。主にレイのせいで。けれどどれも今思い出してみるととても嬉しくて楽しい、暖かく優しい思い出になっている。だってどれも彼が素直に私への気持ちを表してくれた結果だから。

あと直近では昨日。私もレイと同じ”不破の誓い”をした。だから今はレイの左上半身の模様と対になるように私の右上半身にも同じ模様が浮かび上がっている。
レイはギリギリまで、”女の子の身体にこんな模様が浮き出るのは……”や”破れば死を伴ってしまう”という部分で自分の事は棚に上げて反対を続けていたが、私自身がと伝えると折れてくれた。

今も敢えて模様を見せるように、レイが選んでくれたマーメイドラインのウェディングドレスを少し膨らんだお腹で着用している。元々不破の誓いの模様が浮かび上がる前に選んでもらったドレスだったが、今となっては肩と背中が大きく空いているこのデザインは丁度良い。だってレイとお揃いなのだ。嬉しくないわけがない。それに私はレイが大好きなのだと見せびらかしたかった。


そうして私はレイに続いて誓う。

「私イリア=ヴェスベールはレイナルド=シュトリーゲル夫とし、共に人生を歩みながら、彼を生涯の伴侶としてお腹のこの子と彼を愛し続けることをここに誓います」


教会の天井から花が舞う。教会の鐘が鳴り響き、私達を祝福する。

私達は幸せの中、口付けを交わした。



-Fin-

***

あとがき:
完結です!ここまで読んでくださった方、有難うございました!!
途中途中かなり長い期間を空けたりなど、待っていてくれた方には大変申し訳ない事をしてしまいましたが、ブクマや近況ボードへのコメント等々、応援いただけたおかげで完結までたどり着くことができました。
本当にありがとうございました!
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