『婚約者を大好きな自分』を演じてきた侯爵令嬢、自立しろと言われたので、好き勝手に生きていくことにしました

皇 翼

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24.

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次の日。
証拠集めを終えた私とマーカスは改めてリューガス=エルバートについて調べた。

学院の魔法理論の教師であり、最終学年のSクラスの担当教師。そして、かつてクレイヴ先生の先輩だった人物。
彼は学生時代から優秀だとされており、全ての教科で学年トップの成績を取り続けていたらしい。念のために調べてはみたものの、成績の改竄などの怪しいところは見つからなかった。
しかしながらどこを調べてみても、リューガスを讃えるような記事しか出てこなかった。
リューガスは、かつて学院史上最年少で魔法学の教授……即ち教師になった天才だった。若い頃から将来を嘱望され、誰もが彼をこの学院の最高の知性と認めていた。
しかし、少し近年の魔法雑誌を見てみると、ほぼすべての記事がクレイヴ先生の研究によって記録や魔方式が書き換えられていっていた。そのどれもが、軽く見ても圧倒的にクレイヴ先生のものの方が申し訳ないけれど素晴らしいものだった。

リューガスの栄光は、クレイヴ先生の登場によって崩れ去ったのだ。

クレイヴ先生は、リューガスよりもさらに若くして優れた魔術理論を確立し、学院に名を馳せた。その結果、リューガスの「最年少で最も優秀な魔術師」という称号は奪われ、彼の存在感はどんどん薄れていった。
リューガスは、それを決して許せなかった……のかもしれない。表面上はクレイヴ先生と仲良くしながらも、内心はずっと大きな嫉妬心と復讐心を抱えていた。一番近くで今か今かと寝首を搔くタイミングを見計らっていた。なんとなくそう感じた。悍ましい執着心である。

「つまり……リューガスは、嫉妬に狂ったってわけですか?」
「ええ。そして、あの日の夜、学院に『二人の生徒が学院の森を超えた山で魔法を乱用し、土地を損壊した』と報告したのも、リューガスだったようね」
「でも、どうやって俺たちがあの場所にいたことを知ったというんですか?備考でもしていた……とか」
「……それが問題なのよね」

クレイヴ先生が私たちを遠くに放り出したことは、少なくともその場には先生と私たちしかいなかったはず。リューガスがどうやって私たちの戦闘のことを知ったのか……?

「……クレイヴ先生の行動を、最初から監視していたのかもしれないわ。何か発信器を付けていたとか、監視する魔道具を使っていたとか。クレイヴ先生も親しい相手からもらったものであれば、調べずに身に着けたりするだろうし。なんだかんだ、あの先生、情には厚いですから」
「……っ気味の悪い話ですね」
「ええ……でも、人間なんてこれくらい醜いものだと私は思うわ」

マーカスは少しだけ悲しそうな、やるせないような顔をしたが、その表情は一瞬で消えた。マーカスも似たような感情を向けられたことがあるのかもしれない。私には何故嫉妬心なんてものを抱いて、他人の足を引っ張ろうとするのかは理解できないが、周りにはそういう人間たちはたくさんいる。だからこそ、割り切ってしまっていた。人間なんて大概そんなものだ、と。

でも、どんな悲惨な事情があろうとも、リューガスが彼を陥れたのなら、証拠を突きつけ、潔白を証明しなければならない。

「決まりですね。次は、あの教師の尻尾を掴んで、地獄の底に叩き落してやりましょう」
「ええ、必ず……!」

私たちは、お互いにうなずき合い、新たな戦いへと向かう決意を固めた。

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