今回は絶対に婚約を回避します!~前回塩対応してきていたはずの元婚約者の様子がおかしいのは何故ですか!?~

皇 翼

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34.

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「なんで貴方がここにいるの?」
「ん?シアもこの授業を取ったのか」

切り捨てたはずの縁が意外なところでまた結ばれてしまった。
ルナフルールに武術の授業が存在するように、ヴォルフクリンゲがいくら武術に全振りしていると言っても、ペーパーテストや座学、芸術科目は存在する。前期の中盤辺りからルナフルールに混ざる感じだ。ルナフルールは逆に武術の授業に混ざってくる。1年の間だけの特別な時期。
そしてその芸術科目は選択制である。絵画、工芸、音楽から一つを選んで履修する。ちなみに一番人気は工芸らしい。授業をサボりまくったとしても、取り敢えず何かを爆発させて『芸術』と言い張れば点数を貰えるので、ヴォルフクリンゲの生徒はほぼ全員がそれを選択する。
ちなみにカインが私にどれを選択するのか聞いて来たので、絵画と答えて私は音楽の授業を履修している。嘘を吐いて怒られるよりも芸術科目の授業で一緒になるリスクをなくす方を取ったのだ。長期的な地獄よりも短期的な地獄である。

ちなみに前回は私はカインに頼み込んで一緒に音楽を履修していた。この授業ではアンサンブルでの演奏試験がある。私はそれを知って、カインが合流するまでは誰とも組まずに彼を待ち続けたのだ。
そして最後に二人ペアを組んでの演奏試験。私とカインはルナフルールの別の生徒を抑えて1位の成績で授業を終えたのだった。

そんなことを頭の片隅で思い出しながら、今の状況を見る。前回はカインがいたからヴォルフクリンゲの生徒ということで二人で組んだが、今回は一人だと思っていたから、ヴォルフクリンゲの生徒が奇数人である場合の適用が成されると思っていた。どこかのペアに混ざるのだ。
私はペアはきっとルナフルールの生徒からは『芸術なんて分からないヴォルフクリンゲの生徒』と馬鹿にはされるが、彼女らのうちの誰かのペアに混ぜてもらおうと思っていた。前の生での記憶もある。誰かしらを懐柔して組もうとしていた……していたのだ。
けれどそれは叶わなかった。

「俺と組めってさ。これからもよろしくな、相棒」
「……はあ、最悪」
「なんでだよ!?」

語尾にハートが突きそうな勢いで私とペアになることを報告してくるオルト。
今回ヴォルフクリンゲの生徒でこの音楽を選択したのは、私とオルトの二人だけだった。
最悪だという漏れてしまった感想を隠そうともせずに、オルトにぶちまける。折角ペアを解消できたと思った直後にこれだ。運がないにもほどがある。
また付きまとわれて、カインに睨まれる日々が続くと思うと溜息を吐かずにいられなかった。
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