白の魔法少女―届いたのは「白い封筒(不合格)」。それでも私は、血塗られた戦場に立つ―

流瑠々

文字の大きさ
50 / 109

第50話 人類最後の希望

しおりを挟む


高笑いと共に、ゼノンが腕を振り上げた。


「エンドゼロ……すべてを終わらせろ。
 まずは――その小娘を処理しろ」


その命令に応じて、巨体がうねり、再び両腕を高く上げる。


まるで地獄の審判。


瓦礫の中で動かぬライラへと向かって下される。


「ライラ!!」


クラウディアの怒号。


「間に合わない……!」


しずくの声は、焦燥と恐怖で震えていた。


誰もが間に合わないと思った、まさにその瞬間――


「っ……!」


雷鳴のような足音が響く。


ライラとマガツの間に、ふたつの影が滑り込んだ。

リサとカレン。


リサはその巨体に見合う大剣を構え、地を蹴って前へ。


空中で剣を振り下ろす軌跡が、灼けつくような赤に染まる。


まるで咲き誇る紅蓮の花のように。


赤焉葬華セキエン・ソウカ――ッ!」


触れた瞬間、炎と衝撃が絡み合い、マガツの拳を吹き飛ばした。



一方、カレンの双剣が黒と白の残光を描いて舞う。


刃黒追翔ブレイド・シーカー……!」


無数の刃が追い風のように放たれ、マガツの動きを断ち切った。



静かな声が宙に舞うとともに、斬撃の嵐が拳の進行を寸断する。



その一撃一撃は、まるで意思を持つように正確だった。


「うおおおおおおっ!!」


二人の咆哮が重なり、戦場に響いた。


爆風と火花の中、砕け散った装甲の破片が宙に舞う。



リサの瞳がぎらりと燃える。


「――あんまり、舐めるなよ」


彼女の声は、静かでありながら、雷鳴のように響いた。



続いて、カレンが一歩前へ出る。白と黒の双剣を握り締め、


「……もう、誰も殺させない」


その決意に満ちた声が、静かに刻まれた。


粉塵が舞う瓦礫の中――


轟音とともに破片を吹き飛ばし、ライラが勢いよく立ち上がった。


「いったいなー! 一瞬、気ぃ失ってたよ!」


頭から血を流しながらも、ライラはにやりと笑う。


その表情には、まだ消えていない闘志の炎が宿っていたが、


肩はわずかに揺れている。


明らかにダメージは深い。


「リサ、カレン、サンキュー……!」


リサはその言葉に、ふっと微笑を返す。


そのすぐ横、ミラが駆け出した。


「シズ! アメリー!!」


その声に応じて、影からふたりのメイドが姿を現す。


「私はユナイトアークへ。状況の説明をします」


シズが、音もなく姿を消す。


「私は退路の確保を」


アメリーもまた、踵を返して駆けていった。



「――影喰ノ饗宴シャドウ・バンケット!!」


ミラの影が揺れ、闇から生まれた獣たち――


コウモリと狼の群れが解き放たれる。


甲高い鳴き声と共に、影獣たちはマガツへと殺到し、その体に食らいつく。



腕が大木のように薙ぎ払われ、いくつもの影が霧散する。


それでもなお残った群れが、牙と爪でマガツの装甲に喰らいついた。


「……ちっ、固い……!」


ミラが歯噛みする。

クラウディアは地を蹴り、マガツの足元へと走り出す。


同時に、クラウディアが腰の鞘から細身の刀を抜き放つ。


一閃――


「氷輪・斬華《ひょうりん・ざんか》!」


刀が触れると同時に、冷気が爆発した。


両足に刀を突き立てた瞬間、


地面から吹き上がる冷気がマガツの足元を包み、


分厚い氷の檻が形成される。


巨体の動きが止まった――


マガツが唸り声のような轟音を響かせる。

背後で、眩い光が一閃した。

巨大な光弓を引き絞るエレナの姿が、

戦場の闇の中に浮かび上がる。

その弦には、圧縮された魔素が雷鳴のように唸り、蒼白い輝きが溢れ出していた。

「――翠雷龍閃すいらいりゅうせん!」

放たれた瞬間、矢は雷龍へと姿を変える。

電光のごとき速度で宙を駆け、稲妻の咆哮とともにマガツの胴体へ突き刺さった。

「……ッ!!」

轟音とともに、マガツの巨体が仰け反る。

その全身に、稲妻が奔った。

ミラが目を細め、息を吐く。

「少しは効いたかしら?」

だが、次の瞬間。

「……っ!」

しずくの右目が、異変を捉える。

彼女の視界の奥に映るのは――流れる魔素の輪郭。

(……これは、魔素が――集まっている?)

マガツの内部。深部に渦巻く魔素の流れが、

急激に増大していくのを右目は捉えていた。

まるで心臓が脈打つように、マガツの魔素がうねり、波打ち、膨張している。



「……違う! 皆さん、気を付けて――!!」


彼女の声が響いた、その刹那。


マガツの口が、獣のように開いた。


そして――絶叫。


背中から、黒い魔素が吹き上がり、無数の触手が炸裂するように飛び出した。


まるで羽化する怪物のように、次々と膨れ上がる異形の触手群。


「うそ……あんなに……!」


しずくの右目が、さらに未来を視る。


魔素の流れと波形を辿り、その動きの先――


未来数秒の展開を読んだ瞬間、



そのすべてが、標的を捕らえている。


退路も、逃げ場もない。


「まずい……!!」


だが、その声が届くよりも早く、


マガツの背から、無数の触手が爆ぜるように解き放たれた――。


マガツの背から解き放たれた触手は、咆哮とともに空間を埋め尽くし、黒い嵐となって四方八方からナンバーズに襲いかかる。

「来るぞ――! 全員、散開しろ!!」

ギルベルトの怒号が響く。刹那、仲間たちは反射的に跳ね散った。

だが、敵の動きは速すぎた。まるで意志を持った蛇の群れのように、


触手は隙間を縫い、空を裂き、地を這い、執拗に追いすがる。


リサが叫びながら大剣を振り上げ、迫る一本を弾き返す。

「……おらっ!」


刃が火花を散らす。だが、次の瞬間、視界の隅で蠢いた別の影――

横から伸びた触手が、彼女の脇腹を鋭く薙いだ。

「ッ――!」

悲鳴が喉の奥で潰れる。大剣ごと吹き飛ばされたリサの身体が、地面を滑っていく。

「リサさんっ!!」

カレンが駆け寄ろうと一歩を踏み出した、まさにその瞬間だった。

彼女の足元に、影のように伸びた触手が絡みつく。


そして、まるで獲物を見せびらかすように――空中へと、ずるりと引きずり上げた。

「くっ……、離せっ!」

双剣が閃き、鋭く斬撃が走る。

だが、その抵抗も虚しく。次の刹那、

横から振り抜かれた一撃がカレンの胸部を打ち抜いた。

「……がっ――!」


苦悶の息が漏れ、武器もろとも彼女は地面へと落ちた。


呻く間もなく、身体が地に叩きつけられる音が響く。
「リサ! カレン!」

クラウディアが二人のもとへ駆け寄る。しかし、その前に黒い影が立ちはだかった。

「邪魔をするなあッ!」

彼女は怒声と共に刀を抜き放つ。一閃――氷の刃が走り、触手を凍てつかせた。

だが、次から次へと襲い来る異形の群れに、クラウディアは刀を振るい続ける。

「っ……なんて数……!」

刃が一つ、また一つと切り払うたび、触手が再生し、増殖する。

そのとき――鈍い音が響いた。

「……なっ!」

愛刀が、根本から砕けた。冷たい破片が宙を舞う。

クラウディアの目が見開かれた次の瞬間、太い触手が彼女の胸部を叩きつけるように直撃し、吹き飛ばした。

「クラウディア!!」

ギルベルトが叫ぶ。すぐさま銃を構え、触手を次々に撃ち抜く。

「ライラ! 二人を――!」

怒号が響き、銃声が走る。その直後だった。

ギルベルトの背後に、何の気配もなく忍び寄った一本の触手。

「ぐあっ……!」

悲鳴とともに、ギルベルトの身体が宙を舞い、床へと叩きつけられた。

「チクショウ……!」

ライラは歯を食いしばり、崩れ落ちたリサとカレンを両腕で支える。そのまま必死にエレナのもとへと向かう。

「エレナ! 急いで!!」

「――わかってる!」

エレナは血の滲む唇を噛みしめながら、呪文の詠唱に入る。眩い光が彼女の手元に集まり、結界が展開される。

三人を包むその光は、一瞬だけ、凶悪な闇を退けた。

だが。

「……っ!!」

圧倒的な魔素の奔流が押し寄せた。

数えきれないほどの触手が、一斉に結界へと襲いかかる。

打撃――圧力――重撃――。

「く……ッ!!」

エレナが悲鳴を上げる間もなく、結界は砕け、光は弾け飛んだ。

ライラ、リサ、カレン――三人の身体が、光の破片とともに床に叩きつけられる。

「白封筒……!」

「あなただけでも逃げなさい!」

「ミラさん――!」


しずくが声を上げる間もなく、黒い影が背後から襲いかかる。


「――っ!」


ズドン、と何かがぶつかる音。


ミラの身体が宙に浮き、地面に叩きつけられた。


「ミラさんッ!!」


返事はない。ミラの身体は、動かない。


誰もが――


なすすべなく、倒れていく。

マガツの背から無数に放たれた触手が、咆哮とともにしずくへと襲いかかる。

「くっ……!」

しずくは最後の力を振り絞り、盾を構えて立ちはだかった。何本もの触手を必死に受け止めるが――

「はぁ……はぁ……!」

数が違いすぎた。次第に動きが鈍り、最後の一撃が彼女の身体を吹き飛ばす。

「――あっ……」

しずくの背が壁に叩きつけられ、音を立てて崩れ落ちた。仲間たちは皆、倒れ伏している。

絶望が、辺りを満たす。

「すばらしい……すばらしいぞッ!!」

ゼノン・レイブンが両腕を広げ、高笑いを上げる。

「この力……この圧倒的な力……!
 ナンバーズすら屈する完全なる存在!
 エンドゼロこそ、我らの未来だ!
こいつがいれば世界は私のものだ!!」

その狂喜に満ちた声が、崩れ落ちそうなしずくの意識に刺さる。

「さあ――あと一人だ。終わらせろ!!」

マガツの触手がうねり、最後の一撃を放つべくしずくに迫る。

「……っ!」

足を動かそうとしても、力が入らない。もう何もできない。終わりだ――

その瞬間だった。

轟音。

触手が、空中で爆ぜた。

「……えっ?」

爆風が吹き荒れ、マガツがわずかにのけぞる。何が起きたのか理解できず、


しずくは目を見開く。

「いったい……何が……?」

振り返る。

――そこに、立っていた。

整えられた銀髪が肩で揺れ、包帯で隠された瞳の奥に、確かな威圧が宿る。

その存在だけで、空気が凍りついた。

「エ、エリス……さん……?」

しずくの声が震える。

そこに立っていたのは№3エリス・ハウンド。

マガツが耳障りな咆哮を上げた。

次の瞬間、再び無数の触手がうねりを上げてエリスに襲いかかる。

だが。

何かが、ふわりと空間に舞い落ちた。

「……白い、羽?」

触手の動きが、一瞬止まる。

そして――そのまま、すべての触手が細切れに断ち斬られるように、ばらばらに崩れ落ちた。

その光景に、ゼノンでさえ言葉を失う。


「……間に合いましたわね」


聖女のような声が、静かに響いた。


その横に、そっと現れる新たな影。


純白の法衣を纏う女性―― №1セラフィナ・クレスト


「セラフィナさん……。」


しずくの声が震えた。


戦場に、光が差した。


絶望が支配したこの地に――


人類最後の希望が、降り立った。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

代わりはいると言われた私は出て行くと、代わりはいなかったようです

天宮有
恋愛
調合魔法を扱う私エミリーのポーションは有名で、アシェル王子との婚約が決まるほどだった。 その後、聖女キアラを婚約者にしたかったアシェルは、私に「代わりはいる」と婚約破棄を言い渡す。 元婚約者と家族が嫌になった私は、家を出ることを決意する。 代わりはいるのなら問題ないと考えていたけど、代わりはいなかったようです。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

吸血鬼嫌いの吸血鬼、ヴィルヘルミナ

takahiro
ファンタジー
首を落とされても心臓を突かれても一瞬にして再生する、絶対の不死性を持つ吸血鬼、ヴィルヘルミナ。 遥か古代より存在し続ける彼女は、ある時は国を動かし歴史を変え、ある時は死にかけの人間を拾い、ある時は人間の野望に巻き込まれ、気の向くままに世界を放浪していた。 人間を見境なく喰らう連中が大嫌いなヴィルヘルミナは、ことある事に吸血鬼と対立し、各地で闘争を繰り広げる。 人間と関わることを好む異端の吸血鬼は、数え切れない人間と接し、そして数多の人間の死に様を目の当たりにする。 吸血鬼ヴィルヘルミナの目が映す、数知れない人々の紡ぐ大河ファンタジーが今、幕を開ける。 ======【第一部 13世紀編】ヴィルヘルミナは吸血鬼を戦争に使っているバカがいると耳にし、400年前に魔王を倒した勇者の末裔、ポメレニア辺境伯アドルフを訪ねる。どうやら吸血鬼を投入しているのは辺境伯ではなく彼の敵、諸種族連合軍の方らしい。吸血鬼が現れた場合のみの協力を約束しつつ、ヴィルヘルミナは辺境伯アドルフと行動を共にすることにした。吸血鬼との戦いの行く末、そして辺境伯が望む未来とは…… ======お気に入りや感想など、励みになるのでどうぞよろしくお願いします。毎日一話投稿します。

「不吉な黒」と捨てられた令嬢、漆黒の竜を「痛いの飛んでいけー!」で完治させてしまう

ムラサメ
恋愛
​漆黒の髪と瞳。ただそれだけの理由で「不吉なゴミ」と虐げられてきた公爵令嬢ミア。 死の森に捨てられた彼女が出会ったのは、呪いに侵され、最期を待つ最強の黒竜と、その相棒である隣国の竜騎士ゼノだった。 しかし、ミアが無邪気に放った「おまじない」は、伝説の浄化魔法となって世界を塗り替える。 向こう見ずな天才騎士に拾われたミアは、隣国で「女神」として崇められ、徹底的に甘やかされることに。 一方、浄化の源を失った王国は、みるみるうちに泥沼へと沈んでいき……?

婚約破棄は構いませんが、私が管理していたものは全て引き上げます 〜成金伯爵家令嬢は、もう都合のいい婚約者ではありません〜

藤原遊
ファンタジー
成金と揶揄される伯爵家の令嬢である私は、 名門だが実情はジリ貧な公爵家の令息と婚約していた。 公爵家の財政管理、契約、商会との折衝―― そのすべてを私が担っていたにもかかわらず、 彼は隣国の王女と結ばれることになったと言い出す。 「まあ素敵。では、私たちは円満に婚約解消ですね」 そう思っていたのに、返ってきたのは 「婚約破棄だ。君の不出来が原因だ」という言葉だった。 ……はぁ? 有責で婚約破棄されるのなら、 私が“善意で管理していたもの”を引き上げるのは当然でしょう。 資金も、契約も、人脈も――すべて。 成金伯爵家令嬢は、 もう都合のいい婚約者ではありません。

救世の結界師マールちゃん~無能だと廃棄されましたが、敵国で傭兵のおっさん達に餌付けされてるので、今さら必要と言われても戻りません~

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
ファンタジー
「ウチの子、可愛いうえに最強すぎるんだが――!?」 魔の森の隣、辺境伯家。 そこで八歳のメイド・マールは、食事も与えられず“要らない人間”として扱われていた。 ――そしてある日ついに、毒と魔獣の禁忌領域《魔の森》へ捨てられてしまう。 「ここ……どこ?」 現れた魔獣に襲われかけたその瞬間。 救いに現れたのは――敵国の”イケオジ”傭兵隊だった。 「ほら、食え」 「……いいの?」 焚き火のそばで差し出された“温かいお粥”は、マールに初めての「安心」と「ごはん」を教えてくれた。 行き場を失った幼女は、強面のおじさん傭兵たちに餌付けされ、守られ、少しずつ笑えるようになる―― そんなシナリオだったはずなのに。 旅の途中、マールは無意識に結界を張り、猛毒の果実を「安全な食べ物」に変えてしまう。 「これもおいしいよ、おじさん!食べて食べて!」 「ウチの子は天才か!?」 ただ食べたいだけ。 だけどその力は、国境も常識もくつがえす。 これは、捨てられた欠食幼女が、敵国でお腹いっぱい幸せになりながら、秘められた力で世界を巻き込んでいく物語。 ※若干の百合風味を含みます。

処理中です...