どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ

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1章-3

第31話

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 霧丸と一緒に街を見てまわって広場へ戻るころにはあたりはすっかり暗くなってしまっていた。
   
「アニキ……疲れましたねぇ」

「こんなに街が広いとは思わなかったッス……」

「やかまし……少しは静かにせんかい。こっちまで萎えてくるで……」

 疲れ気味のドワ太ドワ助と同じくドワタンも疲労感を抱いていた。
 その理由がこれだ。

(ったくなんやねん……。こいつに終始警戒されっぱなしで気が休まらんかったわ)

 先頭を歩く霧丸の大きな背中に目を向けながらドワタンは悪態づく。

 ドワタンが街を見学したいと言ったのには理由があった。
 それは街を見て回るフリをしながら隠れて、あとでオーブを盗むために行動しようと考えていたのだ。

 だから霧丸の存在は想定外のものだった。

 結局身を隠すようなチャンスもなく三人は広場まで戻ってくる。

(けど収穫ならあったで)

 実はさりげない会話の流れで蒼狼王族サファイアウルフズとオーガ族のオーブが高台の領主館バロンコートに保管されているという話を霧丸から訊き出していたのだ。

(やっぱイヌイヌ族はイヌイヌ族や。ただ図体だけがでかくなっただけで脳なしに変わりないねん。んな大事なことぺらぺら話すとかアホの極や)

 あとはそれを盗むだけだとドワタンはひそかにほくそ笑む。


 ドワタンたちがちょうど広場に着いたタイミングでティムとルーク軍曹、ガンフーが姿を見せる。

「あれ霧丸? 今戻ってきたのか?」

「はい。街をぐるっとまわってきました。ティムさまは領主館へお戻りになられたのではなかったのですか?」

「いや、俺も暇だったからさ。久しぶりに街の様子を見てまわってたんだ。んでその帰りにルーク軍曹とガンフーにたまたま会って。みんなで帰ってきたんだよ」

 ティムの取り巻きにドワタンはいちど目を向ける。

(なんや……ほかの連中もずいぶんイカツイやないか。のわりにティムとかいうこの男、ぜんぜん盟主って感じがせーへん。なんでこんなひょろ男が盟主やってるのかほんま謎やで)

 それに一国の主というものはもっと威張り散らしているものだという印象がドワタンにはあった。
 ティムにはそれがまるでない、とドワタンは思う。

(まるで友人のようなフランクさやで。ええのかそんなんで)

 しかしすぐに首を横に振る。

(まぁこーゆうお人好し演じて取り巻きを騙してる可能性は十分あるわな。どちらにせよ警戒しておいた方がええ。人族なんぞろくでもないクズの集まりやからな)

 そこでちょうどドワタンはティムに話しかけられた。

「ずいぶんと熱心に見てまわってたな。街はどうだった?」

「あっはい。とても参考になりましたわ~。帰ったら今回の件をさっそくキングに報告したいと思いますさかい!」

「そっか。なにかの役に立ってくれたらうれしいよ」

 笑顔で口にするティムの姿を見ながらドワタンは思う。

(こいつ……ほんまにこれ言ってるなら相当おめでたいヤツや。人族でもこんなこと言うマヌケそうそうおらんで)

 演技にしろなんにしろ。
 この調子ならこっちの要求もすんなり受けてくれそうだとドワタンはほくそ笑む。

「それと盟主さま。実はもうひとつだけお願いがありまして」

「もうひとつ?」

「ええ。今晩街で一泊させていただけまへんか思いましてねぇ。今から山へ帰るとなるとデボンの森でひと晩過ごすことになりそうなんですわ」

「そうだな。もう夜だし。そんなところで寝泊まりしてモンスターに襲われると大変だ。ぜひ泊まっていってくれ」

「ほんまですか!? おおきに! この恩は忘れまへんっ! ほら、お前らも礼言わんかい」

「「ありがとうございますー!!」」

 子分たちと一緒にドワタンは頭を下げた。

「霧丸、三人が泊まれそうな場所くらいあったよな?」

「はい。広場の先に宿屋として利用できそうなところがございます。今回はそこに泊まっていただくのがよろしいかと」

 霧丸がそう言ったところでドワタンが間髪を入れずに口を挟む。

「あぁーこんなこと言うのも図々しいんやけど! もう少し安全な場所で寝泊まりできまへんか? ワイらずっと小山にこもってましたから。モンスターに襲われるのが怖くて仕方ないんや。たとえば……あの高台なんかよさそうなんやけど」

 手をもみもみしながら相手の出方を窺うドワタン。
 そんな彼に対してガンフーとルーク軍曹がなんでもなさそうに答える。

「そういうことなら心配するな。モンスターが街に侵入しないように入口には見張りをつけている」

「もしなにかあれば吾輩たちが真っ先に駆けつけますのでご安心ください」

「へ、へぇ~。さいですか。ははは……それは頼もしいわ」

 涼しげな顔で返しつつもドワタンは内心苛立っていた。
 話の流れで領主館に泊まろうと考えていたからだ。

(くそっまた取り巻きにジャマされたやないかい!)

 どうにかして領主館に入らなければとドワタンが焦りを感じていると。

「待ってくれ。ふたりとも」

 ティムの声が上がった。

「たしかに入口には見張りも立ってるし街がモンスターに襲われる可能性は低いけどさ。でもドワタンたちの気持ちも分かるんだ。三人ともこれまで小山で暮らしてきたわけだし。平地でひと晩過ごすのはやっぱ不安だって」

「ですがティムさま。そこ以外ですと客人を泊めることのできる場所がないのです。まだ街の整備を進めている最中でして……」

 手帳片手に助言する霧丸に向けてティムはこんなことを口にする。

「それなら領主館はどうかな? 空いている部屋はけっこうな数あるし。そこを賓客用のサロンとして使ってもらえばいいんじゃないか?」

「領主館ですか?」

 困惑する霧丸に対してドワタンは静かにほくそ笑む。
 
(よっしゃ! なんかよう分からんけどめちゃくちゃラッキーやで!)

 まさか相手からこんなことを言い出すとは。
 ドワタンはひそかにガッツポーズした。

「お言葉ですが主さま。あの館には大変貴重なものが保管されております。客人を泊めるのはいささか危険かと」

「そうですね……。部外者をそのような場所に招き入れるのはあまり……」

 ガンフーとルーク軍曹が反対の意思を示すもティムの考えは変わらなかった。

「危険とか部外者とかそんな言い方は失礼だよ。同じランドマン大陸で暮らしてるわけだし。ドワーフ族も俺たちの大切な仲間だ」

「……それは……」

「たしかにそうですけど……」

 ふたりが言葉を詰まらせている中ティムは続ける。

「今日こうして街を見てまわってもらったし。もう無関係ってわけじゃないだろ? それにさ。なにか悪さするつもりならもうとっくにしてると思うんだ。だから俺はドワタンたちのことを信用したい。三人もこれでどうかな?」

「ええっ! 願ってもない申し出ですわ! ぜひ領主館に泊まらせてください!」

 ドワタンが指を組んで喜ぶもドワ太とドワ助はどこか納得していない様子。

(え~。この近くの方がいいじゃないッスか~)

(あの高台まで登るの面倒ですよぉー)

(アホか! ここへ来た目的忘れてどうすんねんっ!)

 皆にバレないようにふたりを小突くと子分たちもようやく頭を下げる。

「「そ、それでよろしくお願いします……!」」

 霧丸たちはどこか不安そうな表情を残しつつも『ティムさまがそうおっしゃるのでしたら……』と最終的には納得した。
 
「んじゃ案内するから。三人ともついて来てくれ」

 こうしてドワタンたちはティムのあとに続く形で高台へと向かうのだった。
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