どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ

文字の大きさ
32 / 68
1章-3

第32話

しおりを挟む
 七の鐘0時のころ。
 しんと静まり返った領主館バロンコートの廊下に蠢く影があった。

「アニキ上手くいきましたね! これで楽勝ですー!」

「まさか寝床を抜け出すとは思ってないはずッスよ~!」

「あんま大声出すなや。アホ盟主が起きてまうやろが」


 ぽかっ、ぽかっ!


「「い、痛ひぃ~~!?」」

 いつものようにげんこつをお見舞いするとドワ太もドワ助も少し静かになる。

 今三人は1階の賓客サロンを抜け出して廊下をこっそりと歩いていた。
 もちろんすべてはオーブを盗むためだ。


 あの後。
 領主館へと招かれたドワタンたちは会食堂でティムたちと晩餐をともにした。

 食事の席ではエールも振舞われたわけだが彼らは一切口をつけなかった。

 ドワーフ族にとって酒は大好物の嗜好品。
 酒を目の前にしながら飲めないというのは三人にとってかなりつらいもの。

「あのエール美味しそうでしたよねぇ。一口くらい飲んでおけばよかったかも」

「オイラたちドワーフ族にとって酒を飲めないってのは拷問に等しいッス……」

「ぜんぶオーブを手に入れるためや。このくらいなんてことないやろ。オーブさえ持ち帰ればあとでぎょうさん父上が酒を振舞ってくれるはずや」

「それはそうかもしれないですけど~」

 子分たちにそう言いながらドワタンは自分自身に言い聞かせる。

(せや酒もガマンしたんや。オーブはなんとしても持ち帰ったるで)



 ◇◇◇



 しばらくそのまま廊下を進んでいくとふとドワ太が声を上げた。

「そういえばアニキ。オーブが隠してある場所は分かってるんですかぁ?」

「んなもん簡単や。そーゆう大事なもんはいちばんドデカい部屋に保管されてるもんや」

「おぉっ、そうなんですねぇ~!」

 この点に関してもドワタンは抜かりない。
 食事の席でさりげなくこの館の構造を確認していたのだ。

(この館でいちばんでかい部屋は2階中央にある大広間や)

 物音を立てず一歩一歩廊下を歩いていくドワタン一行。
 やがて突き当りの螺旋階段にぶつかる。

 吹き抜けとなった階段をゆっくり登って三人は2階へと足を踏み入れた。
 3階にはティムの自室があるためここからはさらに慎重になる必要がある。

(とはいえあのアホ盟主は今ごろ酒がまわってぐっすり眠ってるはずやから。そこまで心配しなくてもええねんけど)

 ティムや幹部たちが全員エールを口にしたのをドワタンはしっかりと確認していた。
 
(面倒な取り巻き連中も帰ったわけやし。この館にはあのアホ盟主がひとりいびきかいて眠ってるだけや。オーブを奪うには絶好のチャンスやで)


 大広間の入口はそれからすぐに見つかった。

 豪華絢爛な装飾がなされた扉が暗闇の中できらりと光る。

(間違いないここや!)

 ドワタンはドワ太とドワ助に手で合図を送ると皆で協力して扉をゆっくりと開ける。
 目的のものはすぐに見つかった。

「アニキあれじゃないッスか!?」

「あれがオーブってやつなんですねぇ~!」

 種族のオーブは広間の祭壇に奉られる形で保管されていた。

 子分たちが手を叩いて喜ぶ中、ドワタンも煌びやかなふたつの宝珠を目にしてにやりと口元を釣り上げる。

「はは……こりゃほんまにすごいでっ!」

 ドワーフ族のオーブは何度か見たことのあるドワタンだったが、異種族のオーブを実際に目にするのはこれがはじめてだった。

 祭壇に保管されたふたつの宝珠は蒼銀色と菫銀色をしており、ドワーフ族の土色のオーブとは輝き方が少し異なった。

(これが進化を果たした種族のオーブかいな。輝きがぜんぜんちゃうやんけ)

 目的のものを目の前にしてドワタンもさすがに興奮が抑えきれない。
 これを持ち帰れば父上は間違いなく追放を取り消してくれるはずや!と確信を抱く。

「よっしゃ! すぐ入手して早いとこズラかるで」

「そうッスね!」

「アニキ! よろしくお願いしますっ~!」
 

 子分ふたりを入口に待機させるとドワタンはひとり祭壇へと近づいていく。

(しかしまぁ。こんな場所にオーブを保管しとるなんてほんまアホやな)

 実は結界が張られていてオーブが手に入らないのではないかとドワタンは心配していた。
 だが、それも取り越し苦労であったことに気づく。

(まぁ結界なんちゅーもんが張れるんは人族の中でも限られたヤツだけやろし。あのアホ盟主がそんなスキル持っとるわけないわな! わっはは!)

 ほとんど勝利を確信しつつドワタンはふたつの宝珠の前に立つ。
 間近で見るとそれはとても妖美な輝きを放っていた。

(こいつを手に入れさえすればワイらドワーフ族は蒼狼王族サファイアウルフズとオーガ族の力を引き継げるちゅーわけか! すごいでほんま!)

 今ドワタンの興奮は最高潮に達していた。

「アニキ! さっさと奪っちゃいましょうよ!」

「もたもたしてると盟主さんが起きてくるかもしれないッス」

 後方からそんな声が飛んでくる。

「そう急かすなや。落として割ったりでもしたら目も当てられんで。ここは慎重に……」

 とドワタンがオーブに触れようとしたところで。

(なっ!?)


 ズシュピーーン!!


 突如光の縄が現れ、体をぐるぐるに縛りつける。

 ドワタンはあっという間に拘束されてしまうのだった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位 転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...