レベル1の最強転生者 ~勇者パーティーを追放された錬金鍛冶師は、スキルで武器が作り放題なので、盾使いの竜姫と最強の無双神器を作ることにした~

サイダーボウイ

文字の大きさ
55 / 81
2章

第22話

しおりを挟む
 ディーネの周りにはあいかわらず人だかりができていたが、俺とナズナが近くまで来たことに気付くと手を挙げて呼んでくれる。

「あっ! エルハルト君、ナズナちゃん~! こっちこっち!」

 俺たちがディーネのもとへ近付くと、取り巻きの冒険者たちはヒソヒソと話しながら離れていった。

「すごい盛り上がりだな」

「う、うんっ……。ウチも何がなんだか分からなくてさ、にゃはは……。気付いたらこんな感じで」

 すると、隣りに並ぶ少女がディーネのふさふさ尻尾を触りながら声をかけてくる。

「ディーネ。この2人は誰なんです?」

「あ、そっか。チノは会うのが初めてだよね。この子たちはエルハルト君とナズナちゃん。ユリウス大森林でたまたま会ったんだよ」

「エルハルトにナズナ……覚えたのです。自分はここのギルドマスターをやっているチノって言います。よろしくなのですよ」

「ああ」

 そう言って差し出された手を俺は握り返す。
 やっぱりこの子がギルマスだったんだな。

(間近で見るとなおさら子供にしか見えないぞ)

 だが、彼女がこのギルドの屈強な冒険者たちをまとめているリーダーであるのは間違いない。
 子供なんて言うのは失礼か。

 俺がそんなことを考えていると、チノはナズナの前にスッと立った。
 
「あなたもよろしくなのです。ナズナ」

「はい。ご丁寧にどうもありがとうございます」

 お辞儀をしながらナズナが手を差し出すも、なぜかチノはそれを握り返そうとしない。
 そして、小さくこんなことを呟く。

「あなた方の間でもこうやって挨拶するのですか?」

「え? あなた方の間……?」

「いえ、なんでもないのです。ただのひとり言なのですよ。気にしないでください」

 そう口にするとチノは笑顔でナズナと握手した。
 
(まさかナズナの正体がバレたのか?)

 あの射貫くような目。
 チノにはどこか掴みどころのない雰囲気があった。

(いや、さすがにそれはないな。ナズナも今は完全に人族って言ってたくらいだし)

 だが。
 当の本人はというと、どこか警戒心を持った様子で自分のもとから離れていくチノを目で追っていた。

「ディーネが誰かと仲良くなるのはとても珍しいのです」

「そうなんだよね~。なんか気が合っちゃってさ。今、ウチら超仲良しなんだよ。ねっ、エルハルト君♪」

「まあな」

「エルハルトはなんでユリウス大森林にいたのです?」

「冒険者試験を受けていたんだ」

「うちのギルドがユリウス大森林を試験の場所に指定するのはけっこう珍しいよね。普通はもっと近場だったりするからさ」

「そうなのか?」

「巨大水晶で計測したステータスの内容によって試験の内容は変わったりするのですよ。ユリウス大森林が選ばれたってことはそれだけエルハルトが高いステータスを所有しているってことなのです」

 ギルドマスターっていうからもっと権威的なのかと思ったが、チノにはそんな素振りは一切なかった。
 まるで、友達に接するような気軽さで話しかけてくる。

 ディーネがよく懐くわけだ。
 
(孤児だったディーネを一緒に住まわせたり、人としての器が大きいんだろうな)

 広大な領地を治める貴族の令嬢がここまで人格者なのはかなり稀だ。
 それに普通はギルドマスターなんて泥臭いものを令嬢が自ら進んでやったりはしない。

 社交界でイケメンの貴族とお茶でもしていた方が遥かにマシだろう。

(チノ・アレンディオか。なかなか面白いギルマスだな)
 
 2人の輪に混じりながら、暫しの間、俺は他愛のない話に花を咲かせた。



 ◇◇◇



「それじゃ、そろそろ俺たちは帰るとするよ」

 話が一区切りしたタイミングで俺はディーネとチノにそう告げた。
 明日また別の街へ向かうってなると、早めに出発しないとならないからな。

 もうだいぶ遅くなってしまっている。

 これまで何か考えるようにずっと黙り込んでいたナズナにも肩を叩いて合図した。
 
「あっ……引き止めちゃってたね。エルハルト君と話すのが楽しいからつい。にゃはは、ごめんごめん」

「チノもエルハルトと話せて楽しかったのです。今日はお疲れ様でしたなのですよ」

「ああ。それじゃな」

「ディーネさん、チノさん。お先に失礼させていただきます」

 ナズナと一緒にその場を後にしようとしたところで、ふと声をかけられる。

「エルハルト君! 明日は朝一でギルドに来るんだよね?」

「明日?」

「だって発行されるギルドカードを貰いに来るでしょ? ウチも明日は朝からギルドの換金所に用があるんだよね~。これまで達成したクエストの報酬を精算しないとだからさ」

 そこまで言うと、ディーネは豊満な体をぴったりと寄せてきて俺に耳打ちする。

「それにベルセルクオーディンを倒した分の報酬はエルハルト君のものだって思うから。それも渡さなくちゃならないし」

「ああ……」

「にゅふふ~♪ これでウチはまた明日もエルハルト君に会えるぞ~!」

「ディーネは本当にエルハルトのことが好きみたいです」

「うんっ! こんな気の合う異性は初めてなんだよね~♪」

「チノも嫉妬してしまいそうなくらいなのですよ」

 そんな2人のやり取りを横目に見ながら、俺はあることを思い出していた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位 転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ
ファンタジー
 前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?  「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。  仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。  病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。  「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!  「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」  魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。  だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。  「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」  これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。    伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!    

料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される

向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。 アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。 普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。 白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。 そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。 剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。 だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。 おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。 俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

処理中です...