レベル1の最強転生者 ~勇者パーティーを追放された錬金鍛冶師は、スキルで武器が作り放題なので、盾使いの竜姫と最強の無双神器を作ることにした~

サイダーボウイ

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2章

第27話

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 その後。
 予想通りチノは街を出て外に足を踏み入れた。

 だだっ広い平原の真ん中で立ち止まるとそこでようやく後ろを振り返る。

 夜空の下、バルハラの街が遠くに見える。
 これだけ距離が離れていたら被害を気にする必要もないだろう。

 ぞろぞろとついて来た野次馬の冒険者たちも少し離れた場所に留まってこちらに目を向ける。

「エルハルト。この辺りを追試の会場としたいと思いますのですよ。いいですか?」

「ああ、問題ない」

「ではディーネとナズナは下がってください。念のために守護結界を張りますが、ある程度距離を取っておいた方がいいと思います」

「うん分かったよ。エルハルト君、頑張ってね」

「それではマスター。近くで見守らせていただきます」

「2人ともありがとう」

 彼女たちは手を振りながら野次馬がいる位置まで下がっていった。
 
 すると。



 シュルリーーン!



 チノは手をかざしてその場に結界を張ってしまう。

(あれだけ大きな守護結界を一瞬でか。さすがだな)

 並みの魔術師じゃこんなに素早く結界を張ることはできない。
 莫大なマナが自身の内側から溢れているんだろう。

 どこかチノには底知れぬ不気味さのようなものがあった。

「それでは準備がよければさっそく始めたいと思いますがどうです?」

「その前に一つ聞いてもいいか?」

「なんですか?」

「あんた、昨日はどこへ行ってたんだ? ギルドの中にはいなかったみたいだが」

「それでしたら、定例会へ出席するために王都ビフレストへ出向いていました。チノはシグルード王国の冒険者ギルドをまとめる議会の長も務めているのです。そのほかにも、お父様のお手伝いとして領内の政策の手伝いもします。だからギルドは空けることが多いのですよ」

「そういうことか」

 チノが議会長なんてものを務めているってことは、バルハラの冒険者ギルドには難易度や報酬の高いクエストが集まりやすいってことだ。
 今回Sランク冒険者に認定されたら、裁量あるクエストを回してもらえる可能性がぐんと上がる。

 逆に追試に落ちたら、他領のギルドでさらに冒険者登録がしづらくなることが予想できた。

(行先は天国か地獄か。これは本気でやらないとだな)

 ナズナは万が一の時にって言っていたが【シルファリス竜輪】を使うタイミングは案外早いかもしれない。

「他に何か聞くことはありますか?」

「大丈夫だ。悪かったな。余計なことを聞いて」

「いえ。こういう時は緊張するものなのです。エルハルトが自然体で臨んでくれた方がチノも嬉しいのですよ。その方がこっちも本気が出しやすいです」

 チノは魔術ローブを振り払うとスッと目を据わらせる。
 その瞬間、周りの空気が一変するのが分かった。

(これが〝王国最強の女魔術師ウィッチシグルード〟チノ・アレンディオか)

 今までに見せたことのない気迫溢れるオーラに一瞬圧倒される。
 たしかに周りの冒険者たちから恐れられているわけだ。

「〝聖具発現マテリアライズ〟」

 目の前に短剣を出現させると、俺はそれを手に取った。
 こいつはレアリティC-の【韋駄天エッジ】っていう武器だ。

 ベルセルクオーディンとの戦いで【デーモンスレイヤー】は壊れてしまったからギルドを出発する際に急遽こしらえたものだった。

 【羅刹鬼鉄丸】を作った時と同じ要領でユリウス大森林で拾った素材を三つ組み合わせて完成させたから、性能としてはまずまずってところか。

「そっちの準備もいいみたいですね?」

「いつでもいいぞ」

「分かりました。では次に風が吹き抜けた瞬間、戦い開始の合図とするのですよ」
 
 俺は【韋駄天エッジ】を握り締めながらチノの言葉に頷く。

 静かな夜の平原のど真ん中で、俺とチノは少し距離を取りながら向かい合うようにして立っていた。

 ナズナもディーネも。
 その近くで指を組みながら固唾を呑んで見守ってくれている。

(そう難しく考えるな。一撃ダメージを与えるだけでいいんだ)

 とすればここは先制攻撃しかない。

 魔法を発動させるには詠唱する時間が必要だ。
 結界を張る際は無詠唱だったチノも攻撃魔法となればさすがに詠唱破棄ってわけにもいかないはず。

 短剣にグッと力を込めると、俺は風が吹き抜ける瞬間を待った。
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