神眼のカードマスター 〜パーティーを追放されてから人生の大逆転が始まった件。今さら戻って来いと言われてももう遅い〜

サイダーボウイ

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第9話

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 翌朝、俺は目を覚ます。

「知らない天井だ」

 そうだ。
 昨日からヴォルフさんの屋敷で暮らし始めることになったんだっけ。

 自分がこの屋敷の主だってことに未だに違和感があったけどそれもすぐに慣れるんだろう。

 コンコン。

『失礼いたします』

「……ん? リズか?」

『ご主人様おはようございます。もう起きてらっしゃいますか?』

「ふあぁ~~。うん今起きたところー。入っていいぞ」

 リズが一礼してから部屋に入ってくる。

「昨日はよく眠れましたか?」

「すごく寝心地がよくてびっくりしたよ」

「うふふ♪ そのベッドは特注品なんですよ~。お姉ちゃんが朝食の準備をしてますから。顔を洗って着替えが終わりましたら食堂室へとお越しください」

「分かった。準備したらすぐに降りるよ」

「お待ちしておりますね」



 ◆◆◆



 サッと着替えを済ませてから1階の食堂室へと向かう。

「おはよー」

「おはようアルディン。朝はちゃんと起きられるみたいね」

「これまで冒険者として毎日ダンジョンに行ってたからね。習慣的に染み付いてるのかも」

「こっちとしても朝ちゃんと起きてくれて助かるわ」

 今朝も長テーブルには豪華な朝食がところ狭しと並んでいた。

 スクランブルエッグ、ソーセージとベイクドビーンズ、ハッシュドポテト、シーザーサラダ、ハニートースト、チーズワッフル、ココナッツミルク……。

 これだけの料理を1人で作ったってのが驚きだ。

「今日も朝から豪華だね」

「ええ。アルディンに気に入ってもらえるように今朝も愛情込めて作ったわ。わりと味の濃いのが好きそうだったから。そういうのを多めにしてるの」

「ホント俺好みって感じだ。ぜんぶ美味そうだよ」

 こうして今朝も最高の食事にありつけることになり。
 俺は腹も満たして満足した。



 ◆◆◆



 その後、朝食も一段落して3人でコーヒーを飲みながら楽しく会話していると。
 話は自然と職業ジョブの話になる。

「そういえば、2人は成人の儀はどこで迎えたの?」

「神官をこの屋敷に呼んだのよ」

「あ、そうなんだ」

「そこでお姉ちゃんと私は普通職を宣告されました。言い渡された役職も〈メイド〉です」

「そのままだね」

「それでご主人様は?」

「暗くてきちんと見えなかったのだけど、昨日のあなたの戦いぶりを見る限り戦士職なのは間違いなさそうね。〈闘拳士ファイター〉の役職といったところかしら? きっと素早くカウンターが打ち込めるようなカードを使ったんでしょ?」

「いや。昨日のあれはカードは一切使ってないんだ。それに俺普通職だし」

「え? カードを使わなかったの!? それでどうやってあんな連中倒せたのよ……?」

「あの人たち、たしか全員がCランクだったはずです。ということはご主人様のランクはそれ以上で、元々のステータスが高いのではないでしょうか?」

「ごめん。俺レベル0のFランクだから」

「「えええええええっ!?」」

 ここで姉妹は揃って同じようなリアクションをする。

「それでどうやって倒したんですか!? 相手は〈武具カード〉や〈魔法カード〉を使ってましたよね!?」

「なんかできちゃんたんだよね」

「うそっ……。信じられないわ……」

「でもそっか。上位複合職の〈魔符術士カードマスター〉って役職に昇格したんだっけ?」

「上位複合職? アルディン……まさかあなたがそれなの?」

「うん」

「上位複合職なんてこの世界で数人しかいないとされている伝説のジョブですよぉ~!」

「知ってる。父さんがそれだったから」

「「ええええええええええ!?」」

 ルーシィとリズはまたも大きく仰け反る。

 まぁたしかに驚くのも無理ないか。
 俺も未だに信じられないし。
 
「ですけど……〈魔符術士〉って役職は初耳ですね」

「だよね」

「なんなの? その〈魔符術士〉って」

「俺もよく分かってないんだ」

「……ハァ。なんか驚き疲れたわ……。とにかくアルディンがとんでもない能力の持ち主だってことは分かったけど」

「私たちとしてはご主人様がとてもお強い方で嬉しいですけどね。あんな数的にも不利な状況で、カードを一切使わずに倒されちゃったわけですから~♪」

「買いかぶりすぎだよ。昨日のはまぐれだと思うし」

 だけど、あとできちんといろいろと検証しておいた方がいいかもな。

 そんなことを考えていると。
 話題はこの後どうするかについて移った。

「ご主人様。本日はどうされますか?」

「せっかくだからこの辺りを見てみようと思うよ。昨日は暗くてよく分からなかったから」

「それなら私が案内してあげるわ」

「本当? 助かるよ」

「うふふ♪ お姉ちゃんなんだか嬉しそう~」

「そ、そんなことないけど……」

「ご主人様がいつ起きてくるかずーっとそわそわしてたよね? かわいいですっ♪」

「そうなの?」

「ち、違くて……。ただ料理を提供する時間を気にしてたの! 鮮度って大事だし」

「照れちゃってますねぇ~」

「うるさいわ……! アルディン! さっさと準備して外に出るわよ」

「うん」

「私は洗いものしてますから~。2人はごゆっくり♪」

 謎に微笑むリズに見送られながら、俺はルーシィと一緒に外の土地を見てまわることに。



 ◆◆◆



 外に出てみると改めてヴォルフさんが所有している土地の広さに驚いた。

(すごく広いなぁ……圧巻だ)

 なんでも土地の中には小山や湖、森などが含まれるらしい。

「あそこに見えるのがクロト山よ。それであっちがラケシス湖。あの先に広がっているのがアトロポスの森ね」

「すごいね。ここぜんぶ管理してるの?」

「ええそうよ」

 よくこれだけの土地を所有できたもんだ。

「この近辺にはダンジョンがいくつも点在してるから。だから比較的安く領主から土地を買うことができたみたいね」

 一応ここもザネリの親父さんの領地なわけだけど。
 特別に土地の所有が認められているようだ。

 もちろんそれには理由があるわけで。

「納める税はかなり多額ね。うちの領主は過度な税を課すことで有名だから。レネギスから来たならあなたも知ってるわよね?」

「たしかにそうだね」

 アパートに住んでいる時は俺も税を納めていたし、正直言ってかなりきつかった。
 冒険者報酬の3分の1は税金に持っていかれてたかも。

 ザネリは親父さんには頭が上がらないみたいで、この辺の件に関しては完全に見て見ぬフリをしていた。

(領民が重税に苦しんでることも知ってたはずなのにな)

 これだけ広大な土地を所有しているとなれば、かなりの税金を領主に納めているに違いない。

「今はこの土地もすべてアルディンのものよ」

「そう言ってくれるのは嬉しいんだけど。ぜんぜんピンと来ないんだよね」

「謙遜する必要なんてないわ。あなたはヴォルフ様から全権を引き継いでいるわけだし」

「うん。そのうち慣れていこうとは思うけどさ」

 そんな感じで会話しながらルーシィと平野を歩いていると。

(あれ?)

 ふと視界に何か映り込む。

(なんか空に光の線のようなものが見えるんだけど)
 
 細長い線状の光が空から地上に向かってのびている。
 
 それも一本だけじゃない。
 いくつもの光の線が見えるのが分かった。

 なんだろうあれ……。
 
 ルーシィにそのことを訊ねてみるも、何を言ってるのか分からないって顔をされてしまう。

「光の線? ぜんぜん見えないけど」

「おかしいなぁ」

「光が屈折してそんな風に見えるのかもしれないわ」

 でも。
 それからしばらく経っても空に現れた光の線は消えなかった。

 そこでハッとする。
 ある突拍子もない考えが思いついたのだ。

(ひょっとしてあれって……カードが落ちる軌跡なんじゃないか?)

 そんな考えを裏付けするように。
 キラリと光るものが線を描いて落ちていく瞬間を俺は目撃する。
 
 間違いない。

 あの光の線はカードが空から落ちる軌跡なんだ。

「それじゃ今度はラケシス湖の方まで行ってみましょうか……ってどうしたの!?」

 いきなり走り出した俺にルーシィは驚く。

「ごめん! あとはこっちで勝手に見るから大丈夫ー! ルーシィは先に屋敷へ戻っててくれー!」

「ええぇっ!?」

 ルーシィをその場に残すと俺は光の線を追いかけるのだった。
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