神眼のカードマスター 〜パーティーを追放されてから人生の大逆転が始まった件。今さら戻って来いと言われてももう遅い〜

サイダーボウイ

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第20話

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 連れて来られたのはギルドマスター専用の部屋だった。
 適当に椅子に座るようにと口にすると、シエラさんは咳ばらいを一つしてから話し始める。

「張り出している『ノーフューチャー』っていうクエストは……実は隠しクエストなんだ」

「やっぱそうなんですね」

「これまで数百年に及ぶうちのギルドの歴史の中で、あの隠しクエストが見えた者はキミが初めてだ。うちのギルド職員も誰も見ることができないんだよ。特殊なカードを使って張り出しているからね」

「てことは、そんな大昔からあのクエストって張り出されてるんですか?」

「私も先代のギルドマスターである両親からこのことを言われて伝え聞いてきたんだ。あのクエストはずっとひそかに張り出されてきたんだよ」

 予想もしてなかった答えに俺は驚きを隠せない。

「それで。どうしてキミはあれが見えたんだい?」
「俺には《神眼》があるんで。たぶんそれで視えたんだと思います」

「《神眼》?」

「俺もよく分かってないんですけど最近この才能ギフトが覚醒してそれからいろんなものが視えるようになったんです。空からカードが落ちてくる軌跡とか、〈罠カード〉が見抜けるようになったりとか」

「な、なんだって……?」

「そういうこともあって〈魔素カード〉が簡単に集められるようになったんです。こいつもすごくてめちゃくちゃ速く動き回ることができるんですよ。空も飛べたりしますし」

「すらぁ~」
 
 スラまるはパタパタと宙を飛び回る。

「こんな召喚獣を連れて歩いてるなんて……いったいキミは何者なんだ?」

 まあ《神眼》やスラまるのことを言えばこんな反応にもなるよね。
 それからシエラさんが落ち着くのを待ってから俺は改めて訊ねた。



「それで今度はこっちから質問いいですか? 『ノーフューチャー』のクエスト内容なんですけど」

「あれはね。氷剣竜ミラジェネシス討伐の依頼なんだよ」

「氷剣竜ミラジェネシス? それって……あの天災級って呼ばれたドラゴンの1体ですよね?」

「そのとおり」

「でも三竜は勇者様たちが封印したんじゃ」

 王立学院の歴史の授業じゃそんな風に習ってきた。

 300年前、突如現れた天災級ドラゴン――鋼炎竜レッドアイズ、氷剣竜ミラジェネシス、超雷竜サンダードラゴンを3人の勇者様がそれぞれ三つのダンジョンに封印したのだ。

 その後。
 3人の勇者様はそれぞれの国を建国し、それが現在の三国の起源だって言われている。

(でも三竜がどこのダンジョンに封印されてるのかは明かされてないんだよな)

 そもそも封印されている三竜をわざわざ討伐する理由が分からない。

 が。
 そんな疑問よりもシエラさんの続きの言葉に意識は向くことに。

「私はね。その勇者の末裔なんだよ」

「えぇっ? けど、ミハグサールの勇者様はこの国を建国したはずですよね?」

「本家と分家みたいなもんさ。私たち分家の人間は代々この地でひっそりとギルドマスターを務めてきたんだよ。というのもダリ領にはね。氷剣竜ミラジェネシスを封印したダンジョンがあるから」

「初耳です」

 まさか天災級ドラゴンを封印したダンジョンがこんな近くにあるとは思ってなかった。

「私たちは長い間ずっとこの地でダンジョンの監視を続けてきたんだ。これはオルブス帝国やトゥーン自由市国でも同じだよ。勇者の末裔がダンジョンの近くでギルドマスターとしてずっと監視を続けているのさ」

「どうして監視なんかする必要があるんですか?」

「簡単な話だよ。三竜がいつ封印を解いて地上に出てくるか分からないからさ」

「え? 三竜って永遠に封印されたんじゃないんですか?」

 王立学院では勇者様たちは三竜を永久にダンジョンの奥深くに封じ込めたって教えられてきた。
 けど事実はどうやら違うらしい。

「300年前の勇者たちは三竜を封印することだけで精一杯だったようだね。3人ともあるカードを使って封印したみたいなんだけど、その効果がもうすぐ切れるようなんだ」

「だから数百年なんて長い間、討伐依頼のクエストが張り出されていたってわけですか」

「そういうことさ」

 勇者様たちの子孫は三竜討伐を達成できる者を探すため、あえて隠しクエストとして張り出すことで、真に実力を持った者が現れるのを待っていたってことみたいだ。

「でも言い伝えは本当だったみたいだ。実際にキミが現れたんだからね」

「その言い伝えってなんなんですか?」

「すら?」

 スラまるも不思議そうに目をぱちくりとさせる。

「〝三竜の封印解かれし危機訪れるとき。〈真の勇者ルミナス〉現れ世界を救うべし〟 それが私たち一族に伝わる言い伝えなんだ」

「まさかそのルミナスってのが俺って言いたいわけじゃないですよね?」

「私はそうだと信じている」

「ええ……」

 なんだか話がどんどんややこしい方向へ飛んできたぞ。

 ルミナスなんて言われてもまるでピンとこない。

(《神眼》のおかげでいろいろと視えるものが増えたのはたしかだけど)

 でも俺がその言い伝えの勇者とは思えなかった。
 ほんの数日前まで特になんの取り柄もないただの冒険者だったんだ。

「というわけだ。キミにお願いがある。氷剣竜ミラジェネシスを倒してほしいんだ」

「ですよねー」

「すらぁ」

「これはキミにしか頼めないクエストなんだよ」

「あの……俺にそんな力ないと思いますけど」

「そんな風に謙遜しないでくれ。あの巨大水晶が割れたってことはキミはものすごい能力を秘めてるってことだ。どうせ隠してるんだろう?」

 たしかに『アビリティ』はめちゃくちゃ盛れてるけど。
 
「けど、俺は本当にレベル0でFランクなんですよ」

「またまた。冗談キツいなぁキミは」

 ドンドンドンと盛大に背中を叩かれてしまう。
 どうやら逃がしてくれるつもりはないらしい。

(まあけど。放っておくわけにはいかないよな)

 300年前、三竜が現れたことにより世界は一変した。
 三竜にはモンスターを引き寄せる力があるって言われていて、それによって世界にはたくさんのモンスターが現れることになった。

 依然としてその脅威は消えてない。
 父さんもそれが原因で死んでしまったわけだから。

 三竜がふたたび地上に現れたら次はどんな脅威が人々に襲いかかるか分からない。

(困っている人がいたら助ける。父さんなら絶対そうしたはずだ)

 スラまるもいるわけだし。
 なんとかなるさ。

「分かりました。俺がその『ノーフューチャー』のクエスト。引き受けたいと思います」

「おぉっ! 本当かい? 私の見込んだとおりだ。キミならそう言ってくれるって思ってたよ」

「俺はただ父さんの教えを守ろうとしただけですよ」

「お父さん? そっか。キミをこんな立派な青年に育てたお父さんもきっと立派な方なんだろうね」

 そこで話は一段落する。

「それじゃいろいろと修練や対策用の準備もあるだろうから。今後の日程を詳しく決めて……」

「いえ。この後すぐ行ってきます」

「えええっ? これから氷剣竜を倒すのかい……?」

「あれ、ダメですか? 倒すならなるべく早い方がいいかなって思ったんですけど」

「ううん! こっちは全然問題ないんだ。キミさえよければ」

「俺なら大丈夫です。それじゃ場所を教えてもらってもいいですか?」

「ふむ……。キミのフットワークの軽さには恐れいったよ。せめてもの助けとなるようにダンジョンがあるカンブリア大森林までは私のカードで送ることにしよう」

「ありがとうございます。助かります」

「すら~!」

 それからシエラさんから詳しいダンジョンの詳細を聞くと、すぐに氷剣竜ミラジェネシスの討伐へと向かった。
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