神眼のカードマスター 〜パーティーを追放されてから人生の大逆転が始まった件。今さら戻って来いと言われてももう遅い〜

サイダーボウイ

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第37話

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「ふぅ。なんとかなったな」

 すべてが終わると俺はスラまるとの融合を解いた。

「助かったよスラまる。お前のおかげだ」

「すらぁ~!」

 ルーシィとリズも駆けつけてくる。

「アルディン! あんなヤバそうなヤツ倒すとかすごいじゃないっ!」

「さすがご主人様っ♡ まさか禁止カードをあんな風に扱えるなんてかっこよすぎですぅ♪」

「スラまるがいてくれたおかげだよ」

「何言ってるのよ。そのスライムもよくやったと思うけど、やっぱあなたが規格外にすごすぎるんだわ」

「というかあの男の人。顔色がすごく悪かったですけどぉ……いったい誰だったんですか?」

「うん。あいつはさ――」

 俺は2人にヒトシュラについて簡単に説明することに。
 もちろんその話を聞いてルーシィもリズも目を丸くして驚いてた。

(まぁこれまでの歴史を覆すような存在だったわけだから。驚いて当然だよね)

 とここで。
 目の前に光のウィンドウが立ち上がっていることに気づく。

 『魔王ヒトシュラ1体の討伐に成功し、EXP999999999999999999999を獲得しました。アルディン=ギルバートのレベルが523から9999に上がりました。』

 『レベル9999に達しました。【LKG|冠を戴く神威の権能】のカード効果により〈神話級改変者ルールブレイカー〉がこれより固定となります。』

『以上の結果、アルディン=ギルバートが〈神話級改変者〉に至ったことを認めます。』

「は…………?」

 また〈神話級改変者〉?
 今度は至ったとか表示されてるんだけど……いったいどういう意味なんだこれ?


 ピカーーン!


 空が一気に晴れ渡り、辺りが突然明るくなる。
 そして、その切れ間から妖精族フェアリーの美少女が舞い降りてきた。

「アルディ~ン! やったねっ♪」

「おぉ! フェイじゃん!」

「すら! すらぁ~!」

 再会を喜ぶ俺たちのそばでルーシィとリズが驚く。

「えぇっ!? なんでこんなところに妖精族が……!?」

「お姉ちゃんすごいよっ! 妖精さんだよぉ~!」

 フェイは嬉しそうに俺の周りを飛び回った。

「さすがアルディン! 本当にヒトシュラを倒しちゃうんだもん。驚いちゃったよ!」

「フェイがくれたカードのおかげだ。あれで勝てたよ」

「そんな謙遜しちゃって~」

 そんな風に話しているとべつの声が頭上から聞えてくる。

「本当にそのとおりです。謙遜なさらないでください、アルディンさん」
 
 ふと見上げれば、ひらひらと天の衣をなびかせた豊満なボディの美女が空から舞い降りてくるのが分かった。

「ちょっと今度はなによっ!?」

「ふぇぇっ~。お綺麗な女性ですぅ……」

「すらぁ……」

 俺たちの前に美女はスッと優雅に着地する。
 母性を感じさせる優しげな笑みを口元に浮かべていた。

 見るからに只者じゃない。 

「あの……どちらさまでしょうか?」

 この場にいる者たちを代表して俺は目の前の美女に訊ねる。
 
 すると。
 思ってもみなかった答えが返ってくることに。

「初めましてアルディンさん。わたくしは天上界第7聖域を管理しておりますディアーナ=オリンポスと申します」

「第7聖域……?」

「うん! こちらの方は女神様なんだよ~」

 フェイがそんな風に補足してくれる。

「ちょっと待って……女神様って? また話がいきなりすぎるんだけど」

 次から次へと想像を越える話が飛び出してくる。
 
 ルーシィとリズの騒ぎ声はますます大きくなったけど。
 俺は一度深く息を吸い込んで冷静になった。

 オッケーだ。
 受け入れよう、このとんでもない現実を。

「つまり神様ってことですよね?」

「端的に申し上げればそういうことになります」

「か、か、か……神様ぁぁ? ご主人様なに簡単に納得してるんですかぁぁ~~!?」

「ちょっとアルディン! これどーゆうことっ!?」

「すらぁ……?」

 メイド姉妹はスラまると一緒になおも混乱してる様子だ。
 気にせず話を進めることに。

「その女神様が何かご用でしょうか?」

「はい。お礼をぜひお伝えできればと思いまして。あなたは今魔王を1人倒されました。これはわたくしども神族の悲願でもありました」

「そうそう! ほんとすごいことなんだからね~♪」

「そうなんだ」

 ぶっちゃけぜんぜん実感がない。
 あまりにも呆気なく倒せたからあの男が本当に魔王だったのかって疑いたくなるくらいだ。

「フェイさんの言うとおりです。偉業を成し遂げてくださり、本当に感謝しております。わたくしども天上界の神々はこの時を300年前から待ち望んでおりました」

 300年前っていえばこの世界のすべてが一変した時だ。

(カードが落ちるようになったのも、モンスターが現れるようになったのも……。ぜんぶ300年前からなんだよな)
 
 何か関係があるのかな?
 そんなことを考えていると女神様が続きを口にする。

「300年前、この異世界に目をつけたヒトシュラがひそかに降臨しました」

「異世界……ですか?」

 たしかヒトシュラも同じ言葉を使ってた気がする。
 異世界がどうとかって。

「アルディンさん。驚かないで聞いてください。実はこの世界のほかにも似たような世界がいくつも存在するのです」

「え?」

「わたくしども天上界の者はその数多あまたの世界のことを『並列異世界』と呼んでいるのですよ」

 またも突拍子もないことを聞いてしまったぞ。

 ルーシィとリズに至ってはもはや驚くこともやめて、ぽかーんと小さく口を開けながら唖然としていた。

 なぜかスラまるも一緒に口をぽかーんと開けていた。
 どうやらうちの召喚獣は言葉も理解できるようになったみたいだなぁ。

「もちろん、アルディンさんたちがそのような反応をされるのは分かります。異世界同士は干渉できない決まりとなっていますから。存在自体を知らなくて当然です」

「ボクたち妖精族もほかの異世界に行くことはできないんだよね~。そこにはまたべつの妖精族がいるからさ」

「なんだか一気に頭が痛くなってきたよ」

 が。
 俺は首を横に振るとすぐにクールダウンする。

「分かりました。ひとまずこの話を受け入れたいと思います」

「さすがはわたくしどもの願いに応えてくださったアルディンさんですね。飲み込みが早くて助かります」

「ということはつまり。ヒトシュラもべつの異世界からやって来たってわけですか?」

「いいえ。そういうわけでもないのです。魔王とは魔族の中の王のことで、ふだんは我々と同じように天上界で暮らしています。その天上界でわたくしども神族は魔族と覇権を巡り、神魔王争エクストリーム・ブリガを繰り広げているのです。ヒトシュラは数いる魔王のうちの1人に過ぎません」

「なるほど」

 またも想像の遥か上をいく返答が飛んできたけど深くはつっこまなかった。

「どちらが先に多くの『並列異世界』を支配下に置くか。我々はそのような争いを気の遠くなるような年月をかけて行っております。こちらの異世界の場合、ヒトシュラが300年前にひっそりと忍び込んだのです」

「そこでフェイたちをドラゴンに変えて人々を襲わせたんですね」

「はい。ヒトシュラはそれだけでなくモンスターと呼ばれる存在もこの異世界へと呼び寄せました」

「ディアーナ様。それはボクが話したよー」

「たしか『異形の門』って呼ばれてるんですよね?」

 つまりダンジョンのことだ。

「そうです。そのゲートからヒトシュラは日々力を吸収し、ひっそりとこの異世界で力を蓄えてきました。どの魔族にも言えることですが彼らが完全体となるまでには、その異世界へ降り立ってから数百年ほどの年月が必要だと言われています」

 徐々に話が見えてきたぞ。
 
 けど一番引っかかることがまだ訊けていなかった。
 だから、俺は思い切ってそれを質問することに。

「あの女神様。ぶっちゃけ訊いちゃうんですけど、カードがいったい何なのかご存じなんじゃないでしょうか?」

 300年前、魔王がこの世界に降臨し、それと時を同じくしてカードが降ってきたわけだから。
 その因果関係を女神様が知っていてもぜんぜん不思議じゃなかった。

 そんな俺の予想は見事に的中することになる。

「さすがはアルディンさんですね。なんでもお見通しのようです。タネを明かしてしまうと……魔符カードはわたくしども神族がこの世界に落としていたものなんです」

「えっ? そうだったの!?」

「では女神様たちの力を私たちは使ってたってことですか!?」

「すらぁ~~」

 久しぶりにルーシィとリズが口を挟む。
 ついでにスラまるも。

「そういうことになりますね」

「でもどうしてそんな周りくどいことをする必要があったんです? カードなんてものが作れるなら、女神様たちが魔王を簡単に排除できそうなものですけど」

「いえ。わたくしども神族は魔族と違って基本的に『並列異世界』へ干渉することができないのです。ですから、下界の人々に我々の力を与えて魔王に対抗してもらおうと考えていたのですよ」

 すかさずルーシィがつっこんだ。

「けど今はこうして地上に降りて来られてるわけじゃない?」

「今回は魔王が倒されたことで一時的に舞い降りることができました。ふだんはこんな風に降りることができないのです」

「女神様もいろいろと大変なんですね~」

「たしかに。ディアーナ様がこんな風に下界に降りられてるのを見たのはボクも初めてかもー」

 リズとフェイが感心したように頷く。
 
 カードがとんでもない力を秘めたものばかりだったのも神様が作ったってことなら納得がいく。
 ただそう考えると疑問がいくつか浮かぶのもたしかだった。

 俺は改めて女神様に訊いてみることに。
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