宇宙戦士ギンガレオン

第10話：論理の迷宮、運命の流れ

滞留の恐怖

堂坂 吠（ほえる）は、本部（仮）で、イーグルガールダ（風谷早香）の言葉を必死に解析していた。
「『滞留』…私の論理は、常に最適解を計算し、固定された答えを求める。それが、『流れ』を止めている、というのか？」
佐々波 海香（うみか）もまた、早香の言葉に内心動揺していた。彼女の孤独な効率もまた、「誰にも頼らない」という強固な固定概念の上に成り立っている。
「彼女の言う『流動』は、効率とは別の次元の概念だ。」海香は認める。「だが、次のカプセルの反応は、ゾディアック・ゾーンのスコーピオン・カプセル。場所は、巨大なカジノ跡地だ。」
青波 穂乃果が直感的に警告する。「そこは、『運命』や『賭け』に対する、強い不安や執着が渦巻いていた場所よ。気を付けて、吠える。今回は、目に見えないものが敵になるわ。」

確率の闇

二人がカジノ跡地に到着すると、コマンダー・ゾルは、運命の不確実性に絶望した元ギャンブラー、ユウタをダーク・アニマに変貌させていた。怪人は、フェイト・テラー（運命を告げる者）。その体から放たれる波動は、周囲の確率そのものを歪ませる力を持っていた。
「ハッハッハ！優等生め！貴様が信じる『論理』も『確率』も、このフェイト・テラーの前では、無意味だ！」ゾルが高笑いする。
吠は、ギンガレオン・スターレオに変身し、怪人に対峙した。しかし、彼の攻撃はすべて、「ありえない偶然」**で逸らされる。
怪人の能力は、論理では説明できない『不運』を現実化させていた。
「くそっ！攻撃の角度、出力、風速…すべての計算が、『非論理的な偶然』によって打ち消される！」
吠は、その場で動きを止めた。彼の脳内では、論理が『非論理』という無限の迷宮に陥り、計算が停止していた。
（この状況では…どの行動も非効率的で、無意味だ。答えは…見つからない…）
吠は、まさに早香が指摘した「論理の滞留」に陥っていた。

シャークバルドの行動

「貴様！」
シャークバルド（アビスシャーク）に変身した海香は、吠の「静止」を見て激怒した。
「貴様の論理が非効率に陥るのを見るのは、もう飽きた！」
海香は、水流の力で自分自身を高速移動させ、フェイト・テラーの攻撃を回避しながら、吠の前に躍り出た。そして、水流の剣の切っ先を、吠のギンガレオン・スターレオのヘルメットに突きつけた。
「目を覚ませ、堂坂吠！『流動』とは、『答えがない時こそ、固定概念を捨てて動くこと』だ！貴様の論理の滞留が、私を、そして世界を破滅させる！」
海香の行動は、論理を超越した「強制的な行動（効率）」だった。その衝撃が、吠の停止していた思考を打ち破る。
「佐々波海香…君は…」

運命を支配するカプセル

吠は、シャークバルドの「孤独な効率」が、「流れの停止」という最大の危機を乗り越えさせたことを理解した。
「ありがとう、佐々波海香。君の『行動の論理』が、私の計算を再起動させた。」
吠は、論理の壁を破り、フェイト・テラーの確率操作を逆手に取るという、非論理的な発想に至った。
「奴の力は、不運を確定させる力だ。ならば、その力の源を奪い、運命を支配する！」
吠と海香は、連携して怪人の動きを封じ、吠はスコーピオン・カプセルを回収した。
「カプセル・ライド！ギンガレオン！」
宇宙戦士ギンガレオンは、スコーピオン・ゾディアックの形態へと変化する。金と紫のアーマーは、運命の支配者を思わせた。
スコーピオン・レオンは、確率操作を「予測」という形で利用し、フェイト・テラーの次の攻撃を完全に無力化。そして、猛毒の尾を、怪人の心の闇の核に突き刺し、運命を確定させた。
怪人は浄化され、ユウタは救出された。
コマンダー・ゾルは、予想外の協力と、カプセルの奪取に激怒し、撤退した。
吠は、スコーピオン・カプセルを手に、勝利を確信する。彼の論理は、海香の行動と早香の哲学を取り込み、「流動する論理」へと進化し始めた。