【堕天】スキルのせいで速攻島流しされたけど、堕天希望の天使達が割と多いので、一緒に楽園を創ることにします

ゴトー

文字の大きさ
4 / 74
Falling 1

堕天の影響

しおりを挟む
 俺は無事にヘルヘイムで、最初の朝を迎えることができた。
 突然俺の前に現れた、この島流しの元凶である元天使のおかげで……。

 あの後ルルフェルは、下界の空気は汚くて気分が悪くなってきた、もう寝るとか言い出したので、それ以上の事は聞けなかった。
 ちなみに、俺はよく眠れなかった。
 理由は、またモンスターが襲ってくるのではないかという不安が半分、目の前で無防備に寝てるこいつが妙に気になったのが半分……。

 という訳で、俺は今この堕天使から聞けるだけ情報を得ようと、個人面談を行っているところなのだ。


「という事は、お前みたいなはぐれ天使が、これから続々俺のところに堕天しにやってくる……ってことか?」
「はい!天界に不満を持ってる天使は結構いますからね。私、力になってくれそうな子に声かけてきましたので!」
「で、そんな堕天使達が自由に暮らせる場所が欲しいと」
「はい!」
「それでここ人もいないし、ちょうどいいです!ここにみんなで暮らしましょう!……ってことか?」
「はい!」

 内容を確認する俺の質問に、ルルフェルは支給された食料を頬張りながら元気に肯定する。

「はい!……じゃないだろ!こんな危険な所に住むなんて、命がいくつあっても足りないだろうがッ!」
「大丈夫ですよぉ。私、強かったでしょう?他のみんなも色んな能力を持っているので、ここでの生活もきっと快適になっていきますよ!」

 返ってきたのは、あくまで楽観的な回答だった。

「それに、ここ以外にカイネさん行くあてあるんですか?もう帰る場所もないんですよね?」
「ぐ、それは……」

 お前のせいだろと言いたくなったが、ここで生き延びていくには、悲しいがこいつの力が必要だ。
 あまり機嫌を損ねないようにしなくては。

「……それよりルルフェル。お前、ちょっと食べ過ぎだぞ?まだろくに水も食料も確保できていないのに」
「あ、すいません!堕天してからやけに食べたい欲求が……。前は人間の祈りとか懺悔だけで満たされていたんですけどねぇ……」

 どうも堕天したことで体にどんな影響があるのか、自分自身でも把握しきれていないらしい。変な影響がなければいいのだが。
 とりあえず今は、堕天希望の天使達がくるのを待ちつつ、こいつが全てを消費し尽くす前に水と食料を探すべきだろう。
 危険ではあるが、可能な範囲でヘルヘイムの探索もしなくてはならない。

「…あの、カイネさん?ちょっといいですか?」
「え、どうした?」

 急に緊迫した表情をしたルルフェルに、俺もつられて不安になる。

「何だか…お腹の辺りに今まで感じた事のない違和感があるんです…。わ、私、死んじゃうんでしょうか……?下界の空気が汚いから……?」

 今にも泣き出しそうな顔の堕天使を、俺はあたふたするばかりだ。

「お、落ち着けよ。今まで大丈夫だったろ?違和感って……どんな感じだ?」
「な、何というか……ムズムズするというか、体の中から大切な何かが出ていってしまうような……」

 この世の終わりのような顔したルルフェルには申し訳ないが、その情報と彼女が手で押さえている位置から俺が考えられる可能性は一つだけだった。


「……それ催しただけだろ。ガブガブ水飲んでたし」


 デリカシーがなかったかもしれないが、不自然に動揺しているこいつを落ち着かせる方が先決だろう。
 

「も、催す……?何のイベントをですか?ふざけないでくださいぉ!」
「いや、ふざけてないから。いいから行ってこいよ、ここで待ってるから」
「行く……?どこへ?何をしに?」

 いまいち会話が噛み合わない。
 何だ、こいつ?
 そこまで言わせる気か?

「出すんだよ、飲み食いした物を」

 できるだけオブラートに包んだ言い方のつもりだったが、目の前の堕天使は硬直する。



「な!?ま、まさか俗に言う排泄ってやつですかぁ!?人間がするやつですよね!?そんなはしたないこと、天使の私がする訳ないじゃないですかぁ!!」



 ……そうか、そういう事か。
 どうやら、天使には排泄という現象がないらしい。
 さっきも天使は人間の祈りだけで、どうのこうのと言っていたし。

 だが、恐らく堕天使はじゃないのだろう。
 違う体質になって、初めての体験。
 恐らくそういう事だろう。

「そ、そんな……!ありえないです!天使は決して排泄なんてしない……子供でも知ってる常識なのに!」
「大人も知らねえよ。てかお前、昨日天使やめただろ」

 羽を世話しなく動かしていた堕天使の動きが、ぴたっと止まる。


「そ、そうでしたぁ!!」


 一瞬で納得したルルフェルは、慌てて小屋を出ようとする。
 絶対ついてこないでくださいねと、何度も念を押してやっと出ていくかと思ったら、心配そうな顔で最後に振り返って一言。


「わ、私、上手くできるでしょうか……?」
「知るか!!さっさと行ってこいッ!!」



 多感な年頃に変な性癖を植え付けられそうになり、取り乱しまくる俺だった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。 この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。 これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...