【堕天】スキルのせいで速攻島流しされたけど、堕天希望の天使達が割と多いので、一緒に楽園を創ることにします

ゴトー

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Falling 2

天使と悪魔と

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── わおおおん!!!


 俺が半ば強制的にお姉ちゃんにされた直後、遠くの方から聞き慣れた遠吠えが響いた。


「お前達ぃ、待たせたのぉ!今日も色々焼きに来てやったぞ!」


 その遠吠えから間髪を入れずに、数頭のヘルウルフとそれに乗ったルプスルガルが勢いよく飛び出してきた。
 こいつも段々遠慮のない登場の仕方になってきたな……。

「わしらも暇じゃないんじゃがの、たまたま近くを通ったから寄ってやったぞ!たまたまの!」

 最近のこいつらは、いつも食事の時間が近くなるとどこからともなくやってくる。
 そして、俺達に火を提供して、がっつり食事をしていって、どっさりお土産を持って巣へと帰っていく。
 メルメルの能力のおかげで、今は野菜や果物もたくさん収穫できるし、食料的には問題ないのだが、こいつら的にはそれでいいのだろうか。
 こっちには仲間の仇みたいなやつが、何人かいるのに……。

「わしが眠ってる間、ここらは荒れ放題じゃったからの。この辺一帯を治める者としては、今かなり忙しいんじゃがのぉ、お前らが困ってると思ってのぉ、こうして様子を見に来てやってるんじゃがのぉ……?」

 昼飯食いに来ただけのくせに、物凄い恩着せがましく言ってくる。
 でも、こいつがこの辺りのエリアを統治しているのは本当らしい。
 立ちふるまいのせいで軽視しがちだが、意外と見た目に似合わずスペックが高い。
 他の種族の魔物とも意思疎通ができるし、こいつの言うことには素直に従う。
 魔王の右腕を自称していたが、でたらめを言っていた訳ではないようだ。

「って何じゃ、そのちっこいの!?どこから出してきた!?」

  長々と語った後、ルガルはようやくエルの存在に気づいた。
 ルガルも小柄だが、エルはそれよりも更に少し小さい。 

「ああ、この子はエルって言うんだ。ついさっき、ここに来た天使で……」

 別に隠すこともないと思い、俺はエルについて説明しようとしたのだが……。



「ああ!ワンちゃんがいっぱい!本物のワンちゃん初めて見た!」



 ヘルウルフを見て興奮したエルは、臆すること無く駆け寄って行ってしまった。

「こら、エル!危険だから戻ってきなさい!エル!!」

 ユールの制止も空しく、エルは好奇心のままに狼達と触れ合おうとする。


「はい、どんぐりあげる!」


 そして、エルは両手からどんぐりをじゃらじゃらと出し、笑顔でヘルウルフ達に差し出す。
 この子なりのお近づきの印なのだろうが、相手の受け取り方次第では、挑発にもなり得そうだ。

「バカ、そんなことしたら噛まれるぞ!変な病気になるかもしれないぞ!」

 野生の動物はどんな病原菌を持っててもおかしくないからな、狂犬病とか。
 予防接種とかしていない動物の危険性は侮れない。

「そ、そんなもん持っとらんわ!わしらを何だと思ってるんじゃ!?」

 何気に今までで一番ショックな顔をしたルガル。
 そんなケモ耳をよそに、俺は慌ててエルの元へ駆け寄ったが、ヘルウルフ達の様子を見てその足はピタッと止まる。

「ぐるるる」

 ヘルウルフ達は喉を鳴らして、どんぐりを美味しそうに食べている。
 予想外の反応に、俺は呆然としてしまった。
 その光景は、普通に飼い犬に餌付けをしているようにしか見えない。

「頭撫でてあげる、よしよし」 

 そのままエルは、どんぐりを食べる狼達の頭を撫で始めた。
 ヘルウルフ達も驚くほど無抵抗だ。

「な、何じゃあ!?獰猛なヘルウルフ達をこうも容易く手懐けて……!天使のくせにぃ!」 

 仲間をあっという間に手懐けられたルガルは、わなわなと悔しそうな声をあげる。
 ふと、食用の家畜にどんぐりを食べさせる飼育法があったことを思い出したが、これは言わなくていいな……。


「こっちもモフモフ!」


 エルの好奇心は止まらない。
 こっちの世界は初めて見るものだらけで、わくわくしているのだろうか。
 何と今度はルガルに抱き着き、すりすり頬ずりをし始めた。

「や、やめんかぁ!!このどんぐり天使が!わしを誰じゃと……!な、何じゃあ?このあったかい感じ……。何かわし、久しぶりに誰かに優しくされた気が……」

 牙を剥き出して威嚇したのも束の間、ルガルも一瞬で懐柔され腑抜けた表情を浮かべる。
 確かにこいつに優しく接したことなかったかもなぁ……。



「……この子を見てると、どんな種族でも手を取り合って生きていけるって。何だかそんな気がしてきます」



 その様子を一部始終見ていたルルフェルが、独り言のようにそう呟いた。
 
「ああ、動物が徐々に心を開いていくドキュメンタリーみたいだな」
「……あんた、涼しい顔で結構なこと言うのね」  

 このやり取りだけを見てそう思うのは早計かもしれないが、少なくとも悪魔や魔物とも、共存できる可能性くらいはあると思えた。


「かと言って、争いはいつの世も無くならないんですけどね。絶対に」 
「いきなり急降下させんなよ……」 


 急に現実的になるルルフェル。
 こいつの言うことは、どこまでが本気なのかよく分からない。

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