【堕天】スキルのせいで速攻島流しされたけど、堕天希望の天使達が割と多いので、一緒に楽園を創ることにします

ゴトー

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Falling 3

悪魔の島

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 目の前にいる、綺麗な紫の髪の少女。
 どう見ても人間にしか見えないが、遂に俺は自主的に悪魔を助けてしまったのだ。目覚めたばかりの彼女は、戸惑いながら辺りを見回した後、俺の存在に気づき、じっと俺の顔を数秒間見つめる。
 その直後、彼女は何かに気づいたように口を開いた。

「にん……」

 しかし、その言葉はすぐに遮られた。


「わしじゃあ!!わしわし!!覚えておるかぁ!?」


 ルガルはオレオレ詐欺みたいな口調で、勢いよく彼女に飛びつく。そして、そのまま耳元でかくかくしかじかと、一生懸命説明し始めた。今までの経緯を説明しているのだろうか、俺達はそう思って、ルガルの話が終わるのを待つ事にした。
 のだが……。


「おい、ちょっと待て。長い長い長い」
「そうですね。こんな目の前で、長時間ヒソヒソ話されたの初めてです」
「あれ向こうは何も感じないのかしら?気まずくないのかしら?」


 もう10分近く経過したが、ルガルは依然として説明を続けている。何だ、あいつ?もしかして説明下手くそなやつなのか?
 何にせよ、時折こっちを指差したりしながら、ずっと耳打ちをし続けているのですごく感じが悪い。
 いい加減何か言ってやろうかと思ったところで、ルガルはやっと紫髪の悪魔から飛び降りた。どうやら、ようやく話が終わったらしい。
 そして、色々情報を叩き込まれたであろうその悪魔は、真っ直ぐ俺を指差して、にこっと笑みを浮かべながら一言。


「キミ、ボクのモノになってよ」


 全く要領を得ないその言葉に、俺は思わず硬直してしまった。
 最初絶対そんなの言おうとしてなかっただろ。
 「にん」って言ってたろうが。
 何だよ「にん」って、忍者かよ。

「そんなのダメぇ!カイ姉ぇは、エルのお姉ちゃんだよ!?」
「そうですよ!カイネさんは、みんなのものです!売り物じゃないですよぉ!」

 所有権の共有を主張するエルとルルフェル。
 ぶーぶー文句を言い続ける2人を押さえつけながら、俺はルガルに確認した。

「おいコラ、ルガル。お前、その子に何て説明したんだよ?」

 間違いなく彼女のおかしな発言の原因であるルガルを問い詰めたが、このキツネもどきは軽いノリで返してきた。

「なぁに怖い顔してるんじゃ、今の状況をありのまま全部教えただけじゃろ!まず天使に像にされた後、千年以上の時が経った事じゃろ?」

 ルガルは素直に、指を折って順を追って説明し出した。

「んで、そこにいるのが、ここに島流しされた天使を呼び込む人間じゃろ?それと、魔物を喰らった堕天使共じゃろ?んで、ここを堕天使の楽園だとか言って、乗っ取るんじゃろ?」

 ん?何だ、心なしか悪い感じに言われてるような気が……。


「お前らは悪魔の島への侵入者、わしらの敵じゃろ?」


 ルガルははっきりと言い切った、俺達をだと。
 いつの間にか、ルガルの顔から笑みは消えていた。
 言葉を失った俺達に向かって、紫髪の悪魔は沈黙を切り裂くような明るい声で話しかける。

「ここも人間が沢山いたはずなんだけどさぁ、天使も本当酷い事するよね?ボク、人間の事が大好きだからとても悲しいんだ」

 に、人間がここに……?
 いや、でも今はそれどころじゃない。
 混乱している俺の様子を、紫の悪魔が楽しそうに見ている。


「フフ、ねえカイネ。もっと近くで顔を見せてよ?」


 心の隙間に入ってくるような声で悪魔はそう呟くと、目にも留まらぬスピードで俺の方へ向かってきた。

「カイネさんッ!」

 瞬時にルルフェルが間に入り、悪魔が近づくのを食い止めてくれた。それでも悪魔は、品定めをするような目で俺を見続けている。
 俺は全く動けなかった。
 俺はまたこいつに守られてんのか……?

「ルプ姉ぇ!どういう事なの!?」
「そうよ!お互い手を出さないって、そういう約束だったじゃない!」

 エルとユールは、すっかり手のひらを返したルガルを責め立てる。未だにルガルが敵だという事を、俺は飲み込めない。
 だが、あいつは本気らしい。
 返ってきた言葉は、俺達を突き放すだけだった。

「うるさいわ!!ここは元々わしらの島じゃぞ!!それを燃えカスみたいな土地にされたと思ったら、今度はお前らの自由のための楽園じゃと?人間も人間で、勝手に流刑地扱いじゃと?どいつもこいつも舐め腐りおってぇ!」

 俺達と出会ってから、いや、もしかしたら千年前の事も含めて全部かもしれない。
 ルガルは今までの事を思い返しながら、わなわなと震えている。
 そして…。

「どっちが悪魔じゃ!?この外来種共がぁ!!」

 今まで溜め込んでいた感情を爆発させるかのような、激しい怒声をあげる。

「でも、私達!一緒に協力して、ここをみんなの居場所にするって……!!」

 ルルフェルは、聞いているこっちが辛くなるような声で必死に追い縋った。

「ふん、勝手な事ばかり言いおって!さすがに、1人でこの人数は手に余るからの。仲間が増えるまで、道化を演じてただけの事。仲良しごっこはもう終わりじゃ、哀れな元大天使」
「そんな……」

 失意、絶望、色々な感情が入り混じったような表情を浮かべるルルフェル。
 こいつのこんな顔、初めて見た……。
 そんなルルフェルを気にも留めず、ルガルは追い打ちをかけるように無慈悲な宣告をした。

「像にされた連中を戻せるカイネは生け捕り、残りは全員始末じゃ」

 ルガルが悪魔だと初めて知った時、俺は正直信じられなかった。昔話の中に出てくる伝説上の悪魔とは、似ても似つかない面白いやつだったから……。
 でも、今は違う。
 いつもとは違う冷たい声で、刃のような眼光でこちらを睨んでいる。まさに悪魔そのものだ。

「くそ、お前は嘘つけねえタイプのやつだと思ってたのによ」

 人間不信になったばっかりだってのに、今度はイヌ科まで信じられなくなりそうだ。


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