【堕天】スキルのせいで速攻島流しされたけど、堕天希望の天使達が割と多いので、一緒に楽園を創ることにします

ゴトー

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Falling 3

花火

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 酷いハラスメントを受けた俺は、風呂から上がり派手な外観の城へと戻ってきたのだが……。

「あ、カイネっち!ちょっと見るッス、これぇ!」

 帰ってくるなりラピスが、一点を指差して俺を呼ぶ。
 中の豪華な風呂に入り終わったであろう堕天使達は、なぜか全員外に出ている。
 よく見るとラピス達は、輪になって何かを取り囲んでいた。
 そして、その中心には何かすごい見覚えのあるやつがいる。
 
「……いや、何やってんだよ、お前?」

 それは不機嫌そうな顔で、そっぽを向いて座り込んでいるルガルだった。

「エルちゃんが何かいるって、急に外に飛び出して……。それで先程拾ってきたんですの」
「そこの草むらにいたの!エルが見つけたの!偉い?偉い!?」

 メルメルとエルの話を聞いて、大体の経緯は何となく分かった。
 あんな事があった後に拾ってくる側も、無抵抗で拾われる側も何なんだと思うが……。

「何で隠れていたのか問い詰めても、ずっとこんな感じなんスよ!?何か企んでんじゃないスか!?」

 まだ悪魔への抵抗が残るラピスは警戒している。

「あの、ルガルさん?私達と何かお話に来たんですよね、ねえ?」

 優しげなルルフェルの声には、少し耳をぴくつかせた。
 そして、一瞬ルルフェルの方を見たが、またすぐによそを向いてしまった。

「勝手に入り込んできて、何で不貞腐れてんのよ。どういう状態なのよ」
「しかも、何か湯気出てるッスよ!火でも放つつもりなんじゃないスか!?」

 こいつらが困惑するのも無理ない。
 日中は散々暴れていたくせに、今は大人しく膝を抱えて、だんまりを決め込んでいるのだ。
 さっきの感じだと、ルガルなりに歩み寄ろうとしているのは伝わった。
 まさか、風呂上がってそのまま来るとは思わなかったが、きっとルルフェル達と和解しにきたのだろう。
 ここは事情を知る人間が、素直になれない悪魔と堕天使の間を取り持ってやろう。

「あのさ、俺さっきルガルと話したんだけど、こいつお前らと……」
「わー!!わー!!わー!!お前となんか何も話とらんわぁ!!わ、わしから話すからお前は黙っとれぇ!!このぽんぽこりんがぁ!!」

 全力で抵抗された。
 何だよ、ぽんぽこりんって。
 湯船で語ったお悩み相談室みたいな内容は、なかった事にしたいらしい。
 だが、俺が黙ったら黙ったでルガルはしゅんとして、どうにも話が進まない。
 何でこいつらは、面倒くささで個性を出すんだよ。

「ちょっと、何1人でしっとりしてんのよ?こっちは羽の先っぽがチリチリになってんのよ」

 ユールの自虐に急かされるように、ルガルは口ごもりながらやっと話し始めた。


「きょ、今日のことは無かったことにしてのぉ、い、今まで通りわしと接するなら……。今後も協力してやらんこともないぞ?」


 考えに考えてその言い方なのか……。
 ルガルのどの立場から言っているのか分からないその言葉に、一番先に反応したのはルルフェルだった。

「無かった事になんてできないです、プンプン」
 
 両手でプンプンポーズをを取りながら、おどけた風にルルフェルは言った。
 よくこの空気でそんな事できたな。

「な!?話が違うぞカイネ!やっぱり、こいつら怒っとるじゃろぉ!」
「落ち着け、口でプンプン言うやつは絶対怒ってねーんだよ」

 こんなほっぺ膨らませたやつが本当に怒っている訳ないだろう。
 俺に言い寄ってくるルガルに、ルルフェルは続けて言った。

「今日の事も、いつかきっと笑って話せる日が来ます。傷付けあった事も乗り越えて、一緒に大切な思い出にしていくんです。無かった事にするなんて言わないでください」

 ルルフェルが珍しく天使みたいなことを言っている。

「むぅ、じゃあ今まで通りってところだけでいいぞ……?」

 かすかに天使味を帯びた堕天使に、悪魔は弱々しく要求を妥協する。

「あの、今まで通りってどんな感じッスか?」

 黙っていたラピスもここで口を開いた。
 最初は難しい表情をしていたが、今はいくらか柔らかな顔になっている。
 ここまでのルガルの様子を見て、警戒するのが馬鹿らしくなったのかもしれない。

「どうも何も……。別に適当よ」
「私は野花に水を撒くような感じでしたわ」

 やっぱり俺の予想通りだった。
 こいつらは何も変わらない、いつも通りだ。

「いや、だから、その……。な、な、な、なかみゃ……」

 具体的にどうして欲しいのか。
 自分の口で言わざるを得なくなったルガルは、言い辛そうにもごもごする。
 
「ナカムラ?誰よ、それ?」
「知らんわそんなやつ!!仲間として接してくれと言っとるんじゃあ!!」

 ユールの聞き間違いの勢いに助けられ、素直になれない小悪魔はようやく伝えたい事を言えた。

「ルガル。別にいちいち言わなくても、俺らは最初から……」

 俺がいい台詞をそこまで言いかけたその時だった。

 真っ赤な顔をしたルガルは、それに負けないくらい真っ赤な炎の球を口元にため始めたのだ。
 
 「何するつもりッスか!?」 

 慌てたラピスがルガルの方へ駆け出した頃には時すでに遅し、ルガルはその大きな火球を……。
 


── ヒュルヒュルヒューッ……ドーーン!!!!


 乾いた炸裂音がヘルヘイム中に響いた。
 ……と同時に、夜空を覆う大輪の花が咲いた。
 ルガルの放ったそれは完全に花火だった。
 それも、今までに見たこともないほど綺麗で大きな……。


「きょ、今日はすまんかったの!!バーカ!バーカ!」


 ありがとうの意味を込めた花火だったのだろうか。
 夏祭りの後みたいな切ない余韻と、疑う余地がない程の照れ隠しの言葉を残し、ルガルはまた逃げるように帰っていった。
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