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Falling 3
お泊まり会みたいでワクワクしますね!
しおりを挟む「何でこのクソデカいベッドが1つだけなんだよ!?」
ルガルの打ち上げ花火の後、俺はやっと城の中を詳しく見たのだが、その内装はかなり質素なものだった。
正確には広いし作りも立派なのだが、それだけだ。
中には何も家具がない、あるのはやたら気合の入ったデカいベッドだけなのだ。
「仕方ないッスよ、1日でこんなお城建てたんスよ?インテリアまで手が回らないッスよぉ」
それは確かにそうだが、さすがにベッド1つだけは如何なものか。
「それに家具はメルっちの担当ッスよ。木材とか綿とか出せるし、宝石じゃベッドなんか作れないッスもん」
クレームはあっちにどうぞと、ラピスはメルメルに視線を移す。
「私は素材しか出せませんので、家具作りは人手が必要で……。それで、天界のお花ちゃん達を生やしたのですが、あの子達も慣れない作業に時間がかかって……」
あの顔だけ花の筋肉モンスター、力仕事じゃなくてそんな繊細な作業させられてたのか……。
天使とか悪魔よりも、あれの存在の方がよっぽど受け入れ難い。
何なんだ、あれ。
「そう言えば、あいつらどこにやったんだよ?戻ってくる時、見かけなかったんだけど」
「夜はみんな向こうの花畑で休んでますわ、カイネ様もお暇な時に遊んであげてくださいね」
絶対に近寄らないようにしよう。
特に夜中はダメだ、突然出会ったら怖すぎる。
「とにかくもう疲れたわ。ユールはベッドで寝るからね?羽焦がされたり、一番ダメージ食らったんだから」
そう言ってユールは、倒れるようにベッドの中央を陣取る。
「あ、ずるいです!私もベッドがいいですぅ!!」
ルルフェルも続いてベッドにダイブする。
ベッドはちゃんとふかふかのようだ、飛び込んだルルフェルがバウンドしている。
中々いい仕事するな、あの花……。
「俺は床でいいよ、この冷たい宝石の床で」
今まで一緒に雑魚寝をしていた仲だが、ベッドとなると憚られるものがある。
「もう!カイネさんったら卑屈なんだから!広いんだからみんなで寝ましょうよ!」
そんな俺をルルフェルが、自分の隣をポンポンと叩いてベッドへ誘ってくる。
紳士な俺は、それはちょっとと躊躇っていると……。
「ええーいですわ!」
「うおっ!?」
メルメルがトンっとベッドに突き飛ばす。
「エルはここー!」
そして、すかさずエルが腹の上に乗っかる。
見事な連携で、あっという間にベッドに固定されてしまった。
ど真ん中にいたユールは、いつの間にか一番端へ転がされている。
「お前ら、日に日に俺に遠慮がなくなって……」
強引なやり方だったが、ベッドのふかふかさに包まれた俺は、もうそんな事どうでもよくなっていた。
ベッドで寝るなんて何日ぶりだろう?
本当いい仕事するなぁ、あの花のやつ……。
そんな事を考えていると、横から何やら熱い視線を感じる。
「……何だよ?」
ルルフェルがじっとこっちを見ていた。
「えへへ、何だか照れちゃいますね」
自分から誘っておいて何言い出すんだ、こいつは。
えへへじゃないんだよ。
「えい、えい!堕天使の戯れ!堕天使の戯れ!」
変なテンションのままルルフェルは、俺の脇腹を肘でツンツンしてくる。
「うざ!いつもの2割増しでうぜえ!」
「私もツンツンしてよろしいでしょうか?」
「お前ははしゃぐと花粉出るからやめとけ!あと、エルは腹の上にどんぐり並べるな!」
そんなこんなで、いつも通りどたばたしていたが、睡魔には抗えない。
次第に皆うとうとしてきて、今度こそ眠りにつこうとする。
そして、全員がベッドに着き、完全に寝る空気になって暫くしての事だ。
「カイネ様、もう寝ました?」
「ん、まだ」
左からメルメルが、お泊まり会みたいな事を言ってきた。
もう少しで眠れそうだったのにと、再び目を瞑っていると……。
「カイ姉ぇ、もう寝た?」
「……寝たよ」
今度は腹の方からエルが問いかけてきた。
「またかよ」と適当に返事をする。
さらに時間が経過し、もう意識がかなり薄れてきた頃……。
「カイネさん、もう寝ま……」
「うるせえな、お前ら!5分おきに寝たか確認すんなよ!色んな方向からよぉ!」
右からルルフェルが、囁くような声で聞いてきた。
さすがに3度目は我慢ならず、大きな声を出してしまった。
「うっさいわね、バカイネ!永遠に眠らすわよ!」
そして、俺だけがユールに怒られてしまった。
……こいつらへの文句は明日言うとして、いい加減もう寝よう。
「悪い」と平謝りして、今度こそ正真正銘の静寂に包まれる。
だが、静かになればなるほど、今度は冷静に今の状況を意識してしまう。
我ながら何考えてんだと思うが、異性と同じベッドでなんて、10年以上前に母親と寝て以来だ。
静かに寝ていれば、こいつらはかなり綺麗な方だし、尚更変な感じになってしまう。
人の眠りを妨げたくせに、すーすー気持ちよさそうに寝息立てやがって……。
くそ、こっち向いて寝るんじゃねえよ。
結局俺が眠れたのは、ヘルヘイムの子怪鳥がチュンチュンと鳴き始める頃だった。
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