ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

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長い道のりの始まり

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家に着いた途端、一気に疲れがドッと出て、グッタリしてしまった。
そんな私を見て、アトランティーナは驚いたらしく、駆け寄ってきた。

「おかえり、ミウ。どうしたの?何かあった?」

「ただいま、アトランティーナ。もう・・・めっちゃ濃くて疲れちゃった」

「えっ、なになに?どうしたの?」

「今日ね、龍崎 礼音くんが来たよ。
当初、ウチの部じゃないって話だったのが、ウチの部に配属になってね。
しかも、チームの入れ替えもあって、私のチームに来ることになったの」

「それで疲れたの?」

「まぁ、それが原因っちゃあ原因かな」

「なんでよ!他のメンバーは?」

「谷 潤也、三神 優一、中川 理沙子、五十嵐 智美」

「ほぅ~(笑)谷くんって、とりあえず何でも言っちゃう子でしょ?
三神くんも様子を伺いながら、言っても大丈夫そうな相手だと
ズケズケ言っちゃうタイプだし、中川さんは、仕切りたがり屋よね。
でも、なかなか良い仕切りをするから、任せて安心ってタイプだし、
五十嵐さんは、普段は、あんまり発言しないけど、周りのことをよ~く見てて、
口数は少ないけど、ズバッと切るって感じ。
なかなかの武闘派が揃ったって感じね。チーフ、しっかりしなきゃね」

「はぁ~。でもね、『あ~、こういうところなんだなぁ』って、
自分のことで気づいたことがあったの」

「何に気づいたの?」

「メンバーを見て、「なんか、優秀な人が集まったね。
私なんかがチーフで良いのかなって思っちゃう」って言ったら、
そんなことないですって。私のチームに来たいって思ってたから
嬉しいって言われたのね。でも、その言葉を真っ直ぐ受け取れなくて・・・。

きっと、これがアトランティーナが言う、
自信の無さとか、自分を信じてないってことになるんだろうなって思ったワケよ」

「良い気づきだったわね。その通りよ。
特に優秀な人を集めたチームってことでもないと思うわよ。
ただ、他のチーフだと持て余してしまいそうだなとは思うけど(笑)」

「それは、彼らも自覚があるみたい。
私だから、自分たちのことを優秀だと思うんであって、他のチーフから見たら、
自分たちは優秀じゃないと思うって言ってた」

「さすが、みんな自分のこと、分かってるのね。その通りだと思うわよ。
だって、自由に言いたいことを言ってくるメンバーって、ミウにとっては、
やりやすいかもしれないけど、他のチーフたちは、
やりづらいって思うでしょうからね」

「そうなんだね・・・。あっ、そんなことより!
もっと大切なことを聞きたかったんだ!」

「えっ、何よ、いきなり」

「真田部長が言ってたんだけど、龍崎 礼音くんがメディア部に来る経緯を
話してくれたの。龍崎くんをメディア部に迎えたのは、
阿刀田部長が海外進出の地盤を作って、真田部長がその後を
引き継ぐということになって、語学が堪能な龍崎くんに来てもらったって。
それ本当なの!?」

「あ~、その話ね。別に地盤を作ったってほどのことじゃないんだけど、
将来的に国外にも広げられたら良いよねぇ~、みたいな話はしたかな?」

「えっ、そうなの!?」

「ほら、真田部長って真面目でしょ?それと、ミウの力を感じたんだと思うよ。
彼は、日本を救いに来たんじゃなくて、地球を救いに来た人だから、
ミウのハッピー・タイフーンを日本だけじゃなくて、
世界中に巻き起こしたいって思ったんじゃない?」

「え~っ!何それ!?」

「まぁ、今すぐってことでもないと思うから、
その辺は、あまり気にしなくて良いと思うわよ」

「確かに真田部長も今すぐ海外出張があるとかっていう話じゃないとは
言ってたけどね」

「でしょ?ミウは、今まで通り、楽しく仕事すれば良いのよ。
それより、レオンはどんな感じだった?」

「あ~、局会で登場した時は、若い女の子たちが
キャアキャア言ってたよ(苦笑)」

「そうよねぇ。あのルックスだもんね。で、ミウは?」

「私!?私は、別に・・・」

「何よ、ちょっと赤くなってるじゃない。タイプだった?」

「そうじゃなくて!いちいち距離が近いんだよ、彼。
あっ、あとね、苗字で呼ばれるの、慣れてないから、
下の名前で呼び合おうってことになったよ」

「スペインでの生活が長いからね。彼にとっては、近いとは思っていないと
思うわよ。文化が違うだけで、価値観も変わる。
良い体験が出来たんじゃない?これから先もミウが驚くような発見が
あるかもしれない。楽しみね。

あと、苗字じゃなくて、名前で呼ぶっていうのは、良いじゃない。
本人のエネルギーが宿るのは、苗字じゃなくて名前の方だものね。」

「スペインって、人と人の距離が近いの?
あと、名前にエネルギーって宿るもんなの?」

「スペインだけじゃなくて、日本みたいに相手のテリトリーに気を遣う文化は、
多くないと思うわよ。イタリアなんて、もっと近いしね(笑)
だって、西洋文化ではキスは挨拶と同じだけど、日本では違うでしょ?
レオンも日本に住んだことはあるけど、基本的には日本人ではないからね。

あと、名前には、その人のエネルギーが宿るものなの。
だから、名前を見ただけで、その人がどういう人なのかも分かるし、
その時の状態も名前を見れば分かるのよ。

体調の良し悪しもそうだし、悩み事があるとか、恋愛が上手くいっているとか、
いないとか、人と人の関係性も名前を見れば、大体、掴めるのよ。

だから、離れていても名前を見れば、その人のことが分かるの。
それで、もちろん、相手の了解をとる必要はあるけど、
名前にエネルギーを送ってあげることも出来るのよ。
で、レオンは、ミウのこと、なんて呼んだの?」

「へぇ~!名前ってスゴイんだね!知らなかった・・・。っていうことは、
むやみやたらに自分の名前を教えない方が良いってことだよね?気をつけよう。

あっ、私のことはね、他の子は、「チーフ」って言うけど、
レオンくんには「ミウさん」って言われた」

「名前のことは、そんなに神経質にならなくても大丈夫よ。
みんながみんな、名前からエネルギーを読み取れるわけではないから。

レオン以外は、ミウのこと、「チーフ」って呼ぶんだ。
それじゃ、前と変わらないんじゃない?

まぁ、レオン以外は、名前で呼ぶなんて慣れていないものね。
でも、レオンはさすがね!初日から「ミウさん」なんて。
なに?ミウ、照れてるの?(笑)名前で呼ばれることなんて、
ほとんどないものねぇ。しかも、あんなイケメンくんに♪」

「もう、からかわないでよ!でも、レオンくんって、
人間になる時、毎回、顔とか、スタイルとか変えるの?」

「基本的には、いつも同じだと思うわよ。
別に道楽で人間になっているわけではないからね。
それにしても・・・ちょっと楽しくなりそうね。じゃ、ご飯にしようか」

「そりゃそうだよね。
人間になりたいから人間になってるワケじゃないもんね。
人間になるには、それ相応の理由もあるんだろうし・・・。
ま、いいや。ご飯、ご飯♪お腹空いた」

「そうそう、仕事帰りに疲れたら、真っ直ぐ帰って来るんじゃなくて、
軽くお茶してから帰って来ても良いからね。
その方が、疲れが少し和らぐから。
私のことは気にしないで、今度、寄り道してみたら?」

「うん、考えとく」

ご飯食べて、シャワー浴びて、今日は疲れただろうからって、
アトランティーナが早めにベッドに入ることを勧めてくれた。
確かに疲れてはいるんだけど、なんか、眠れそうにないような気もするんだよね。
本当に濃い一日で、身体は疲れてるんだけど、頭は冴えてるっていうか、
ちょっと変な感じ。でも、身体を横にするだけでも
疲れが取れそうな気がしたから、とりあえず、横になることにしたんだけど・・・
やっぱり、頭が冴えてて、すぐには眠れなさそう。

そうだ!アトランティーナを待ってた時みたいにしたら良いのかも!?
アトランティーナ・モードって名付けてたやつ、やってみよう。
まず、深呼吸して、身体に入った力を抜いて、軽く目を閉じて・・・。

うわっ、レオンくんの超アップの顔が浮かんだ!あの顔は、犯罪だよね。
あんなにキレイな顔の男子、リアルで見たことないもん。
アトランティーナもそうなんだけど、元々人間じゃない人って、美しいのかなぁ?

人間になったことが過去にもあって、見た目も変わらないって、
アトランティーナが言ってたけど、毎回、あんな感じだったら、
いつもモテてたんだろうなぁ。

元々人間ではないっていっても、今は人間なんだし、
女性のことをバカにしちゃったりとかってないのかなぁ?
『女なんて、チョロいぜ』とかって、思ってたりして(汗)
さすがに、それはないか(苦笑)

あれっ?ちょっと待って。
レオンくんって、アトランティーナに聞かれた時に答えた、
私のタイプの人に当てはまってない?確か、あの時・・・

<175cm以上で、痩せ型で、色白で、お尻と顔は小さい人が良いな。
あと、唇は薄めで、目は切長じゃなくって、まん丸の人が良い!
あっ、あと、サラリーマンっぽくない人が良いかも。
会社の言うなりになってる人はイヤだね。それと趣味を持ってる人が良いなぁ>

って言ったよね、私。あ~、もう!また、アトランティーナの策略なの!?
レオンくんが早めに来られたのは、私の好みのタイプを思ったよりも
早めに知ることが出来たからとか?アトランティーナに確認しようかな?
いや、でも、見た目が美しい人が傍に居る方が気分は良いよね。
もし、アトランティーナに抗議して、違う人が来たら、
それはそれで、ちょっと残念な気もするよね。え~、どうしよう。

あれっ?でも、レオンくんは、人間になる時、いつも同じ感じって、
アトランティーナ、言ってたよね?ってことは、私の好みに近いタイプになる人を
探したってことなのかな?そんな、面倒なことするかなぁ?
いや、アトランティーナなら、やりそう(苦笑)

でも、もしそうだったら、アトランティーナに感謝しなきゃいけない感じ?
どうなんだろう?でも、見た目が全てってことでもないしなぁ・・・。
レオンくんがどういう人なのか、まだ分かんないワケだし、
レオンくんに恋しなきゃいけないってことでもないだろうし・・・。

ただ、熟睡状態だった私の恋愛モードが目覚めるキッカケには、なったのかな?
だとしたら、スムーズに課題に進めるワケだから、レオンくんで良いのか。

っていうか、私、ベッドに入ってからずっとレオンくんのこと考えてる(汗)
レオンくんのこと考えるの、やめる!レオンくん、お願いだから消えて!
もうっ!余計、目も頭も冴えちゃったじゃん!どーしてくれるのよ!
レオンくんのバカ!

って、レオンくんのせいじゃないよね。私のせい。
でも、自分を責めちゃダメだよ。

それにしても・・・こんな気持ち、久しぶりだ。
恋愛が、今の課題だから、そのためにレオンくんなんだよね。
恋愛モードに目覚めるためにレオンくんは必要だったんだよ、きっと。
だから、アトランティーナは、レオンくんを選んだんだよ、私のために。

余計なことは考えないで、頭の中を真っ白にするぞ!もう、私は寝るんだから!
そう、私は寝るの!寝るんだよ、私!

でも・・・これが制御不能になったってことになるのかな?
確かに、アトランティーナが言った通りかも・・・。
でも、まだ私、レオンくんに恋してるワケじゃないのに・・・。
もし、本当に誰かに恋しちゃったら、これよりひどくなるかもしれないってこと?
なんか・・・恋愛するの、ちょっと怖くなってきちゃったかも(汗)
大丈夫なのかな、私。

こういう時こそ、自分を信じることが大切なんだよ!気がついて良かった。
あとは、自信かぁ・・・。
あっ、もし、このままアトランティーナの思惑通りに私がレオンくんに
恋したとして、レオンくんも私のことを好きになるって保証は
どこにもないんだよね?っていうか、アトランティーナの思惑通りかどうかは
分かんないんだけどね(苦笑)

レオンくんなら、どんな女の子でも選び放題なワケでしょ?
その中で、私がレオンくんに選ばれる確率って・・・高くはないよなぁって
思っちゃうよね(苦笑)アトランティーナもチェリーも私のことを
褒めてくれるけど、女性目線と男性目線って、やっぱり違うじゃない?
私、男性目線で見た時、モテるとは言えないもんなぁ・・・。
もっと、女の子らしくって、可愛らしくって、守ってあげたくなる子の方が
良いに決まってるよね。はぁ~。となると、私じゃない気がする。

私、ホントに自信がないんだね。それに、

<男の人は、女の子らしくって、可愛らしくって、守ってあげたくなる子が良いに
決まってるよね>

とかって決めつけてるし(汗)私、そう思ってたんだって、
今、気がついたかも・・・。

こうやって、一つずつ検証していったら、今まで気がつかなかった、
いろんなことに気がつきそうだよね。確かに勉強になるかも。

でも、気がつくことは出来ても、自分のこと信じるのも簡単には出来ないし、
自信を持つのなんて、信じる以上に難しい気がしてきた(汗)
ホント、いろんなことが学べるんだね、アトランティーナ。
恋愛が大切な課題だって、今やっと気がついた気がするよ。
アトランティーナ、成長する機会を与えてくれて、ありがとう。
でも、長~い道のりになりそうだよ(苦笑)

「ミウ、新しい扉が開いたみたいね。ちょっと苦しい思いを
するかもしれないけど、あなたなら、きっと乗り越えて、
今まで見たことがないステキな景色を見ることが出来るはずよ。

でも、しばらく人間のままでいる必要がありそうね。
今は、まだ私が近くに居た方が良さそうだものね。
ね、チェリーもそう思わない?」

「ええ。もちろん、私もサポートするけど、傍に居て、
ミウを見守りながら、ミウを支える<人>が、今のミウには必要だと思う」

ドアの前で、アトランティーナが微笑みながらも、
小さなため息を吐いていたことに気がつく余裕は、
この時の私には無かったんだよね(苦笑)


<次回へ続く>
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