ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

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【3】が持つ意味

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早々に会社を出て来ちゃった(汗)
でも、不思議と会社を出たら、少し落ち着いた。
私、なんで、いきなり不安になり始めちゃったんだろう?

「ミウさん、この近くで食べてから向かいますか?
それともブルータイガーの近くでランチしますか?」

「ブルータイガーの近くにしない?見慣れたところで食べるより、
新しい場所の方が面白そうじゃない?」

「そうですね。じゃ、ブルータイガーに向かいましょう」

二人で電車に乗って、ブルータイガーの最寄駅で降りた。
さぁて、何を食べようかな?食べ物のことを考えると、
自然と楽しくなってくる。まだまだ私は、色気より食い気なのかな(笑)

「ミウさん、何、食べます?何か食べたいものとかありますか?」

「そうだねぇ・・・。あまり食欲があるって感じでもないんだよね。
それに、いつもより早いしね。レオンくんは、何か食べたいものとかあるの?」

「僕は、あまり食に対して、こだわりがないので、ミウさんが食べたいものが
良いですね」

「ありがとう。レオンくんって、ホント優しいよね。食べるのもそうなんだけど、
ゆっくり話が出来るお店っていうか、静かなお店っていうか・・・。
あんまり回転が良いお店じゃない方が良いかな。

あっ、サクッと食べて、ゆっくりお茶するっていうのでも良いね。
そうだ!験を担いで、カツとかにする?(笑)」

「ミウさんの気持ちが、それで前向きになるなら、僕はカツでも良いですよ」

「よし、決まり!じゃ、カツ食べよう!
それで、サクッと食べてから、ゆっくりお茶しよう」

「はい、分かりました」

ってことで、私たちは、かつ屋さんに行った。二人でヒレカツ定食を
食べたんだけど、揚げたてのカツって、やっぱり美味しい。

私、何気にカツ、好きなんだよね。まだ、アトランティーナと出会う前だけど、
一週間、毎日、夕飯にヒレカツを食べたことがあるんだ。

もちろん、家に帰ってから揚げるんじゃなくて、ヒレカツ弁当を買って
帰ってたんだけどね(苦笑)周りからは、身体に悪いからやめた方が良いって
言われたなぁ・・・。でも、なぜか、夕方になるとカツが
食べたくなっちゃったんだよね(苦笑)

そういえば、アトランティーナと出会ってからは、カツ食べてないかも。
特に食べたいとも思わなくなってたなぁ。なんでだろう?
カツって、エネルギー的にどうなんだろうね。あんまり良くないのかな?

宣言通り、サクッと食べて、お店を出たの。それで、ブルータイガーに
向かって歩いていたら、小さな喫茶店を見つけたんだよね。
中を覗いたら、お客さんもいなかったから、そこに入ったの。

ランチをやっていない喫茶店は、ランチ前の時間、空いてるんだよね。
私たちは、12時半にロビー集合だから、お店が混み始めたくらいに出るし、
ちょうど良いんじゃないかな。

「ふぅ~、久しぶりにカツ食べたけど、美味しかったね」

「そうですね。良いお店が見つかって良かったです」

「レオンくんと私だもん。良いお店、見つかるでしょ(笑)」

「そうかもしれませんね」

「ね、レオンくん。私、朝、みんなに話した時は、無理してなかったんだ。
本当にワクワクしてたし、とにかく楽しもうって本気で思ってたの。
それなのに、なんで急に怖くなっちゃったんだろうね」

「人間らしくなろうと思ったんじゃないですか?」

「えっ、なにそれ?私は、人間だし、人間らしくって、どういうこと?」

「通常、大きなプレゼンを控えていたら、誰でも緊張するのが
普通と思われていますよね?だから、みんなも緊張していたし。
それに倣おうと、ミウの中で何かが働いたんじゃないんですか?」

「それは、私の無意識の領域ってこと?」

「今回の人生で、アトランティーナに出会う前と出会った後では、
出会う前の方が長い時間を過ごしていますよね?その中で培われたものが、
ふとした時に顔を出すということはあると思います」

「なるほどね。確かにアトランティーナに出会う前の私は、自分を大切に
していなかったし、自分には価値がないって思ってたし、今から見ると
散々だったもんね(苦笑)」

「そういう心持ちで過ごしていると、それが、いつの間にか、
その人にとっての当たり前になってしまうんです。
そして、当たり前になったことは、漏れなく無意識の領域に
ストックされていくんですよ」

「えっ、それ、怖いね」

「怖いことばかりではありません。経験によって得られる知識も
ありますからね。でも、良いものだけがストックされるわけではないので、
適宜、チェックして要らないものは、捨てる必要はあります。

そうじゃないと、今回のようなことが起こり得るんですよ。
そうなると、怖いことになるんです。だから、さっきも言いましたけど、
要らないものを捨てるために、常に自分が今、何を考え、何を思って
いるのかをチェックする必要があるんです。

そうじゃなくても世の中全体が、後ろ向きじゃないですか。
意識していないとその流れに流されていきますからね」

「なるほど、良いものだけを残して、要らないものは捨てるか・・・。
確かに、そうだよね。毎日を意識的に過ごしてる人、少ないもんね。
私もまだまだ至らないし(苦笑)」

「ミウさんが、どうなのかは分かりませんが、一般的には、そうなんです。
だから、朝、ミウさんがみんなに話したことは、最近、ミウさんが
目覚めた部分じゃないですか?だから、あれもミウさんの本心では
あるけど、怖くなるというのもミウさんの本心なんですよ」

「そっか。なんか、分かる気がする」

「それで今は、どうなんですか?」

「会社を出て、少し落ち着いたけど、プレゼン前にまた、怖いとか、
不安とかが顔を出しそうなんだよね(苦笑)」

「じゃ、ミウさん、一つ質問です。
ミウさんは、今回のプレゼンで負けた時、何を失いますか?」

「えっ!?負けた時に失うもの?」

「そうです。人は、何かをする時に得られるものにばかり目と気持ちが
行きます。どんなことでも成功すれば、何かしらを得ることは
出来るんですよ。

でも、成功しなかった時のことは、あまり考えないんですよね。
それなのに、成功しなかった時に自分を責めたりするんです」

「確かにそうだけど・・・」

「でも、成功しなかった時に何も失わない場合もあるんですよ。
いや、失わないことの方が多いですね」

「えっ、ホントに!?」

「そうです。今回のプレゼンがそうじゃないですか。
このプレゼンで負けた時、ミウさんは、何かを失いますか?」

「・・・そうだね。私、このプレゼンで負けても何も失わないかも!
失うどころか、得たものの方が多いかも!だって、こんな大きなプレゼンに
参加することが出来て、みんなでアイデア出し合って、準備して、
今まで経験したことがないようなこと、いっぱい経験できたし。
それに、メンバーの結束力も強くなって、何より楽しかったしね」

「そうですよね?実際は、成功しなかったからといって、何も失わないんですよ」

「そっか。そうなんだ」

「おそらく、そういうことって結構あるはずなんです。
でも、さっきも言ったように成功しなかった時のことまで考えないから、
成功しなかったという事実だけに目を向けて、何かを失ったような錯覚を
しているだけなんです。

でも、始める前に成功したら得るものと成功しなかったら失うものについて
考えておくと結果が出た時に冷静に対処することが出来るんです」

「さっすが、レオンくん!なんか、一気に力が抜けたみたい。ありがとう」

「それと、今回のプレゼンを楽しみなさいって、何人に言われましたか?」

「え~っと、最初に言ったのは、アトランティーナ。それから今朝、真田部長も
言ってたよね。あと・・・、あっ藤崎さんにも言われた!だから、3人だね」

「3人目はゲンでしたか・・・」

「えっ?ゲンって?」

「藤崎弦夜ですよ。ゲンヤだから、ゲンって呼んでるんです」

「あっ、なるほどね」

「じゃ、話を戻しますね。3人に、今回のプレゼンを楽しむように
言われたんですよね?」

「うん、そうだけど・・・」

「ミウさん、【3】という数字に意味があるって聞いたことは
ないですか?」

「えっ、どういうこと?聞いたことあるような気もするけど・・・
今は、思い出せないや。ねぇ、どんな意味があるの?」

「同じことを3人に言われた、同じ内容のことを3回見た、聞いたという場合、
それは、メッセージとして受け取ることが出来るんです。

2回までは偶然として片付けても問題ないでしょう。
まぁ、そもそも偶然ということもないんですけどね(苦笑)

でも、3回同じことを言われたり、見たり、聞いたり、ということは、
そんなにしょっちゅう起こることではないんです。
だから、これから3回同じことが続いた時には、メッセージが届いたと
思ってください」

「はい。分かりました。それって、私に限ったこと?」

「いいえ。ミウさんに限ったことではありません。誰にとってもそうです。
例えば、1日に3回、別の場所で虹を見たということが起こるかも
しれません。それも単に、『虹ってキレイね』で終わらせるのではなくて、
その虹にどんなメッセージが込められているのかを考えてください。

ま、虹を1日に3回見た場合、その見た人は何かしらの願い事が
あるんだと思いますけどね」

「え、どうして?」

「1日に3回虹を見た場合、そこに込められているメッセージは、
『もうすぐあなたの願い事が叶いますよ』というものだからです。
願い事がない人には起こらないことですよね?

もちろん、誰にでも願い事はあると思います。でも、自分の中で、
明確になっていない人がとても多い。だから、この場合、自分の中で、
願い事が明確になっている人に限られますね」

「なるほどね。やっぱり、願い事は、明確にしておいた方が良いって
ことだよね?」

「もちろん、そうです。アトランティーナから聞きませんでしたか?
神さまは、あっ、宇宙って言った方が良いのかな?

宇宙は、レストランと同じだという話。レストランに行って、
何も注文しなかったら、いつまで待っても料理は出てこないですよね?
きちんと自分が食べたいものを細かくオーダーする必要があります。
それと同じです。

本人の中で、明確になっていないものを提供することは出来ない、
というより、しないと言った方が良いですね。

神、じゃなかった、宇宙は、その人が何を望んでいるのか、知っています。
でも、それを察して、提供することはありません。
なぜなら、本人が求めていないのに提供することは、その人の自由意思を
無視することになるからです。

本人が求めて初めて、宇宙は、その要望に応えてくれます。
求めたから与えられる。そうすれば、その人の自由意思を尊重したことに
なりますからね」

「なるほどね。さっすが、元守護天使!あっ、バカにしてるんじゃないよ。
私なりに感動してるんだから」

「大丈夫です。ミウさんらしいですから(笑)
どうですか?少しは元気になりました?」

「うん!もう大丈夫!そうだよね。だって私、このプレゼンで負けても、
な~んにも失わないんだもん。最後に楽しまないと、後で後悔残っちゃうから、
楽しもうと思う。ありがとう、レオンくん!ホントに私、たくさんの人に
支えられてるなって思っちゃう。有り難いことだよ。ありがとね」

「いいえ。ミウさんが緊張しちゃうと他のメンバーにもその緊張が伝播して
しまうので、それは避けたかったんです。ミウさんだけでなく、
他のメンバーも後悔が残ってしまうでしょ?

ミウさんは、チームの柱なんですから、ミウさん次第で、チームは
変わるんですよ。その自覚、そろそろ持ってくださいね」

「は~い。すみませんでした。以後、気をつけま~す(笑)」

「じゃ、少し早いですけど、向かいますか?」

「そうだね。遅いより早い方が良いね。それに、ブルータイガーの空気に
慣れておきたいし」

「おそらくですけど、ウチ以外は、大きな代理店が呼ばれていると
思います。そこでまた、比べてビビったりしないでくださいね」

「レオンくんでも<ビビる>なんて言葉使うんだね。なんか新鮮!(笑)
大丈夫だよ。彼らは、負けたら失うものがありそうだけど、
私たちには、何もないから!自由にやろう!」

「はい、そうですね。じゃ、行きましょう」

「うん!いざ出陣!って感じだね(笑)」

「調子に乗りすぎです(笑)」


<次回へ続く>
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