ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

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めんどくさいのも個性!?

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いつもみたいにサクッと食べてから、ゆっくりお茶っていうパターンで、
ランチを済ませた。ゆっくりお茶できるお店も、いつもと同じお店。

そんなに通ってはいないはずなんだけど、お店の人にも覚えられちゃった
みたい。

そうそう、私、1回しか行ったことがないお店でも覚えられ
ちゃうんだよね(苦笑)別に踊ったり、歌ったりしながら、
お店に入ってるワケじゃないんだけど(笑)

いつもの席に座るとすぐにレオンくんが話し出した。レオンくんから
話し出すなんて珍しいから、よほど聞きたいことがあったんだろうね。

「ミウさん、弦夜からのメール、仕事の話だけだったんですか?」

うわっ、いきなり直球!やっぱり、そこが気になってたんだ(汗)

「ううん。個人スマホの番号が書いてあったよ。なんで?」

「なんでって・・・」

「気になるの?」

「はい。いや、別に良いんですけどね」

「気になってることがあるんだったら、言った方が良いよ。
なんか、気持ち悪いでしょ?お互いに」

「じゃ、聞きますね。なんで、個人スマホの番号が書いてあるんですか?」

「個人的に連絡を取り合いたいからなんじゃないの?」

「そうなんでしょうけど、それだけですか?」

「前にね、プレゼンが終わったら、食事に行きましょうって話してたの。
それを覚えてて、プレゼン終わったから、食事に行きましょうねって
書いてあって、それでだと思うよ」

「ほら!メールに書いてあったの、個人スマホの番号だけじゃない
じゃないですか!」

「ね、レオンくん、なんか、私のお父さんみたいになってるよ。
心配してくれるのは有り難いんだけど、それは、レオンくんとは
関係のない話でしょ?」

「そうかもしれませんけど・・・。いや、関係なくないです!」

「どうして?」

「だって、僕とは、一緒に食事に行くとかないじゃないですか?」

「ランチ、よく二人で行ってるじゃん。今もそうでしょ?」

「ランチと、食事に行くっていうのとは、少し違うでしょ?」

「何が?私にとっては、同じことなんだけど」

「だって、夜は、アトランティーナと食べたいって言ってたじゃない
ですか!だから、僕が誘ってもお茶も食事も断りましたよね?」

「そうだったっけ?(汗)」

「忘れたとは言わせません。そうでしたよ!そういえば、ハヤトとは、
デートしたんですか?」

「あっ、ハヤトくんね。忘れてた(笑)土日にデートしようって
言われてたけど、チャクラの勉強とか、プレゼントか、色々あって、
断ってたら・・・、そういえば、連絡来なくなったね(苦笑)」

「そうですか・・・。ハヤトは、お役御免になったってことですね」

「お役御免って何よ。そういう言い方は、良くないと思うけどな」

「僕もお役御免ですか・・・」

「レオンくんは、違うでしょ!」

「それは、仕事だけの関係ってことですよね?」

「藤崎さんだって、今はレオンくんと同じで、仕事だけの関係でしょ?」

「でも、個人的に連絡を取り合うんですよね?夜、一緒に食事に
行くんですよね?僕と弦夜とは、違うじゃないですか!」

「だって、取引相手だよ。無下には出来ないでしょ」

「それだけですか?」

「とりあえず、今は、それだけだけど」

「じゃ、ミウさんにとって、弦夜と僕の立ち位置は同じってことで
良いですか?」

「うん、今は、同じです。どちらもいなくなったら困る存在ということに
変わりはないかな」

「僕もいなくなったら困るんですか?」

「困るでしょ!だって、プレゼンには勝ったかもしれないけど、
これからが本番でしょ?レオンくんも藤崎さんもいなくなったら困るよ!」

「あっ、そういう理由ですね。でも、弦夜と僕の立ち位置は、変わらない。
はい、分かりました」

「ねぇ、なんなの?」

「ミウさん、僕も弦夜も、ハヤトやテルもそうですけど、
なんで、元守護天使が集められたのか、覚えていますか?」

「え~っと、私の恋の相手としての候補でしょ?」

「そうです。それで、ハヤトは早くもお役御免になったみたいですけど、
他の3人は残っているんですよね?」

「ごめん。そういう目線で、みんなのこと、見てなかったよ。
だって、恋って理屈でするものじゃないんでしょ?それは、レオンくんが
言ったことだよね?

はい、こちらが候補者です。この中から選んでくださいって言われても
選べないし、候補者の中から絶対に選ばなきゃいけないってことも
ないんじゃないの?それに相手のことをよく知りもしないうちに
恋に落ちるなんて、ないでしょ?違う?」

「ま、そうですけど・・・。僕は、少なくとも僕自身は、ミウさんに対して、
全く恋愛感情がないというわけではないので、それだけは覚えていてください。
今日、言いたかったのは、それだけです。だから、弦夜の動向が気になりました。
気になるのも不思議ではないですよね?」

「はい。分かりました。心の片隅に刻んでおきます」

「心の片隅ですか?」

「だって、心のど真ん中ってワケにはいかないでしょ?
もし、私の心のど真ん中にレオンくんが刻まれるんだとしたら、
それは、私がレオンくんに恋してる時であって、今ではないでしょ。
それは、理解してよ」

「そう言われればそうですね。じゃ、今は、心の片隅でも良いです」

「ご理解頂けて、ありがとうございます」

「なんで、いきなり他人行儀なんですか?」

「だって、そうなるでしょ?もうっ!レオンくん、めんどくさい!
それじゃ、もし、好きになり掛けてたとしても冷めちゃうよ!」

「あっ、すみません。少し暴走しすぎました」

「ううん。それくらいで良いのかも。だってさ、午前中、メンバーのみんなや
プロダクションの人、『なんで、こんなに人任せなんだろう?なんでもっと、
自己主張しないんだろう?』って思っちゃったんだよね。
それなのに、いざ、自己主張されたらされたで、めんどくさいって
思っちゃうって、私も相当めんどくさいなって思っちゃった(笑)

「そうだったんですか・・・。日本の人は、自己主張するの、
苦手な人が多いですよね?僕は、人間としても海外での生活が長いので、
自分が思ったこと、譲れないことは、しっかり主張することが
身についているので、つい言いすぎてしまうこともあるみたいです」

「ううん。言わなきゃ分かんないからね。言わないクセに察して
くださいっていう方が、もっとめんどくさいよ(笑)

でも、自己主張されないとモヤモヤして、自己主張され過ぎると
めんどくさくなるって・・・。なんでも、ほどほどが良いって言うけど、
ホントだね。でも、私には、そのほどほどっていうのが、よく分かんない。
う~ん、難しいね、人って」

「難しく考えなくても良いと思います。ミウさんは、フィーリングを
大切にする人だからなんですよ。良いじゃないですか。ミウさんには、
ミウさんの感じ方がある。他の人も同じように感じるわけでは
ありませんから。それが、ミウさんの個性なんですよ。

そんなことより、さっき、めんどくさいって言ってましたけど、僕のこと、
嫌いになったりしていませんか?」

「そんなこと呼ばわりされるのもなんだけど・・・(苦笑)
レオンくんのこと、嫌いになるワケないじゃん!面と向かって<めんどくさい!>
なんて、レオンくんにしか言えないよ(笑)それだけ、レオンくんが私にとって、
近い存在ってことなんじゃないかな」

「それは、喜ばしいことですね。ありがとうございます」

「<めんどくさい>って言って感謝されるのって、なんだかなぁって
感じだよね(笑)」

「そうかもしれませんね。でも、僕にとっては、ミウさんの近い存在って
ことが、嬉しいことなので、めんどくさいって言われることも嬉しいです」

「ありがとう。でもレオンくん、変わってるね(笑)
ま、それがレオンくんの個性なんだろうけど。それにしても、正直な気持ちを
ぶつけてくれて、感謝だよ。私も正直に言うけど、まだ、誰に対しても
恋愛には向いてないの。

でも、レオンくんに向いたら、きっと楽だし、楽しいのかなとは思う。
だって、一緒にランチしてても、話してても疲れないんだもん。
こういう人、私にとっては珍しいから、レオンくんは、私にとって、
恋愛とは違うけど、大切な人なんだよ」

「ありがとう、ミウ」

「呼び捨てはどうかと思うけどね(苦笑)調子に乗り過ぎです(笑)」

「あっ、すみません!気をつけます」

「はい、気をつけてください。海外では、敬称とかつけないで
呼ぶんでしょ?日本の文化、馴染めないところがあるのかもしれないけど、
人間として生きているんだから、ちょっとは気をつけないとね」

「そうですね」

「じゃ、そろそろ戻ろうか」


<次回へ続く>
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