ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

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大きな勘違い?

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この後は、和やかな雰囲気の中、楽しいランチ会になったの。
何事もなく、平和にね。お店を出た後、藤崎さんも会社に戻ったし、
私たちも会社に戻って、現場で見てきたことを踏まえて、
各自、作業を進めたって感じ。

一応、私は、真田部長にシネコンで、藤崎さんに偶然、遭遇して、
メンバーも含め、みんなでランチしたことを報告した。
部長は、驚いていたけど、クライアントの担当者と親睦を深めることが
出来て良かったと本気で喜んでいた・・・と思う。

真田部長もどこが本心なのか、分かんないところあるからね。
いつもニコニコしてるけど、絶対、何か考えてるでしょ?
って思っちゃうんだよね。正体を知ってるから、そう思うのかも
しれないけどね。

それにしても、今日のランチ会は、分からないことが多すぎ。
なんで、藤崎さんは、私がハンバーグを好きなことを知っている理由を
私が夢に出てきて言ってたなんて言ったんだろう?そんなことを
言うより、前に話した時に、たまたま話したってことにした方が
平和的解決に導けたと思うんだよね。

そして、次の謎は、ご機嫌斜めだったレオンくんが、いきなり優しい笑顔を
浮かべて、毎日、私の夢を見るなんて言ったんだろう?

まあ、そのお陰で、藤崎さんが、私のハンバーグ好きをなんで知ってるのか
ってことからは、大きく話が逸れたから良かったっちゃあ、
良かったんだけどね。

よく女性は分かりづらいって言われてるけど、男性も充分、分かりづらいです。
少なくとも、私にとっては。ていうか、女性とか、男性とかっていう性別に
関係なく、人って、何考えてるのか、分かんないよね。って思わない?
私は、午前中で、一気に疲れ果てました。

みんながそれぞれ作業を進めてる中、私は、プロダクションに連絡を
入れたの。突然、思い立って、午前中、シネコンに行っちゃったでしょ?
直接、シネコンとのやりとりをしてるのはプロダクションだから、
それを飛び越えちゃったワケじゃない。もし、プロダクションに
連絡が入ってたら、マズイなぁって思ったんだよね(苦笑)

悪い予感が当たって、私が連絡を入れた時には、既にシネコンからの連絡が
入った後だった。でも、特に怒られはしなかったんだけど、やれやれって
感じで、半ば呆れられてる感があるのは、否めなかったね(苦笑)

「久遠さん、今朝、思い立っちゃったんでしょ?思い立っちゃうと
行かずにはいられないタチだもんね(笑)」

「分かります?(笑)」

「チームのメンバーと話してて、『こりゃ、話すより行っちゃって、
直接見た方が良いなって思ったんだろうなって、すぐに分かったよ。
何年一緒に仕事してると思うの。そのくらいのこと、分かるよ。
でも、事後報告でも、こうして連絡をくれるようになっただけ、
成長したね。久遠チーフ(笑)』

「すみません。いつもご迷惑をおかけして・・・」

「いや、迷惑じゃないよ。ところで、何か新しい発見はあった?」

「それが、偶然なんですけど、向こうで、ブルータイガーの担当者と
遭遇したんですよ!それで、以前、話してたサンプル配布の件、
上からの了承を得られたらしくて、サンプル配布が決定しました。

もう、サンプル配布の件は、ホームページで告知済みらしいので、
配布前に何かを仕掛けることは出来ないんですけど、配布するだけじゃ
なくて、何かプラスアルファ的なことが出来たら良いなと思ってまして、
何か過去例で、良いの、ありませんか?」

「そうなんだ!だったら、サンプル配布が出来るって、決まった時点で
教えて欲しかったよね」

「まあ、そうなんですけど・・・。こちらの仕事を増やしたら悪いって
思われたみたいで(苦笑)なので、サンプル配布に何か付加価値を
つけましょうって、お話しした時も<大変じゃないですか?>って
気遣ってくださって」

「へぇ~、おっきな会社の人なのに、珍しいね。お大臣じゃないんだ!(笑)
そういう人が担当で良かったね。頑張り甲斐があるってもんだ!あはは」。
じゃ、ちょっと過去にどんなことをやったのか、こっちでも調べてみるね」

「はい!お願いします!お仕事、増やしちゃってすみません」

「な~に言ってるんだよ!このくらい、お安い御用だよ。そんなことより、
小さなところでも、こんだけのことが出来るんだってこと、見せつけて
やろうじゃないの。な!」

「はい!よろしくお願いします!」

「任せとけって。他にも何か出てきたら、遠慮なく言ってよね。
出来る限り、協力するからさ」

「はい!心強いです。ありがとうございます」

メンバーにもプロダクションとの会話を報告した。
それで、プロダクションの人にも、今日のランチで話題になった
私について、同じようなことを言われたってことも、ついでに
報告したの。

「チーフにとっては、寝耳に水的な話だったかもしれないんです
けど、みんな、知ってることだし、思ってることは一緒だと思いますよ(笑)
それに、誰も、そういうチーフのことが嫌いじゃないってこと、って言うより、
好きだっていうことも一緒だと思います。良いじゃないですか!
それが、チーフの個性なんですから!チーフもよく言ってるでしょ?
個性は、大事にしなきゃ!

いきなり、これからは、しっかり者になります!的な宣言は勘弁して
くださいね。しっかり者のチーフも良いのかもしれないですけど、
そうなっちゃうとチーフの元々の魅力が半減しちゃって、それはそれで
勿体ない気がするんで。ってことで、作業、続けても良いですか?」

「はい。続けてください」

「なんで、そんなに暗くなるんですか?レオンっていう、チョー頼りに
なるお守り係もいることですし、チーフは、これからも遠慮なく
飛び出してください!」

「は~い、分かりました(汗)」

「ちょっと待ってください!僕は、ミウさんのお守り係になるために、
この会社に来たわけではないんですよ!」

「そうかもしれないけど・・・。
じゃ、レオンくんは、チーフのお守り係は不満なの?」

「いや、別に不満というわけではありませんが・・・」

「じゃ、いいじゃない!だって、私たちの中で、チーフのお守り係が
出来る人、他にはいないと思わない?いつもチーフと一緒に行動するには、
仕事のこともしっかり理解している必要もあるし、その上で、的確な
アドバイスが出来る経験と実力が求められると思うんだよね。
そう考えるとレオンくんしかいないって私は思うんだけど、どうかな?
みんなもだけど、チーフもそう思いますよね?」

「ま、まぁ、そうなのかもしれないけど・・・。
でも、やっぱり私のお守り係っていうのをレオンくんに
押しつけてるような気がしないでもないっていうか(苦笑)

レオンくん、ごめんね。私、もう少し、しっかりするっていうか、
気をつけるから、お守り係っていうのではなくて、これからも私のサポートを
お願いできるかな?」

「もちろん、これからもミウさんのサポートは、していくつもりです。
あと、気をつけなくて良いです。ただ、行動する前に、先に僕に言って
くれますか?基本的には、止めないので。ただ、いきなり走り出されると、
さすがに困ってしまうこともあるので(苦笑)」

「うん、分かった!そこは、これから気をつけるようにするね。
じゃ、これからもよろしく!レオンくんだけじゃなくて、みんなもよろしくね」

「もちろんですよ!こちらこそ、よろしくお願いします!」

なんか、ちょっとショックだよね(汗)貶されてるワケではないってこと、
それは分かるんだけど、結構、しっかり者だと、自分のこと思ってた
からね(苦笑)それが、大きな勘違いだったってことでしょ?

それと、レオンくんにも面倒かけちゃってるってことなんだよね。
レオンくんが、迷惑そうではなかったことが唯一の救いかな(笑)
動く前に言ってくださいか・・・。確かにそうだよね。逆の立場だったら、
そう言いたくなるよね。って、逆の立場になったことないけど(笑)

そっか!そういうことか!みんなが、っていうか、谷潤也が言うように、
それが私の個性なんだね。呆れるくらい、チョー前向きかもしれないけど、
それが私の個性なんだったら、その個性を活かして、次に繋げて
いかなくちゃだよね。

そうそう!下を向いてても始まらないし、前向いて、周りに極力、迷惑を
かけないように気をつけながら、進んで行くか!っていうか、それを気に
してたら、私の場合、何も出来なくなっちゃいそうだよね(苦笑)
じゃ、そこは考えないでおこうかな。

一人で背負い込まないで、みんなで協力して、みんなで創っていくって
決めたんだもん。そのみんなが、今のままで良いって言ってくれてるんだから、
今のままで突っ走りましょうかね(笑)帰ったら、アトランティーナにも
聞いてみよう。

アトランティーナと言えば、会社帰りに待ち合わせして、お買い物しようって
話をしてたんだっけ。いつだったら、大丈夫かなぁ?なんか、みんなを見てても
大丈夫そうだよね。明日以降、いつでも良いかな。

それにしても良かった、無茶しちゃったとはいえ、今日の午前中、現場に
行って。お陰で、いろんなことが好転したような気がしてる。私も自分に対する
認識が変わったし(笑)何より、時間的、気持ち的に余裕が出来たことが
一番の収穫かな。

そんなこんなで、考え事をするくらい余裕を持って仕事をしていたんだけど、
時間が経つのは早くて、あっという間に定時近くになっちゃった。
みんなは、どんな感じかな?出来れば、残業はして欲しくないんだよね。

「みんな、どんな感じ?残業とかに、ならないよね?」

「あっ、僕は大丈夫です。プロダクションとも話して、発注しといた方が
良いものリスト、さっき、チーフに見せたじゃないですか?あの発注も
済んでますから、今日も定時で帰れます」

「僕も大丈夫ですね。今日、現場を見てきたお陰で、イメージも
バッチリなんで、残りは明日で大丈夫です」

「私も定時で帰れるので、安心してください」

「私は・・・少しだけ残っても良いですか?」

「えっ、智ちゃん、何か問題でもあるの?」

「いいえ、そういうわけではないんですが、少し、静かなところで
見直したいっていうか・・・。そんなに時間はかかりません。
30分以内で終わらせるので」

「そう・・・。私も30分くらいだったら、残ってようかな」

「いいえ、大丈夫です!チーフは、帰って頂いて」

「あ、そうなの?うん、分かった。じゃ、私は、終業チャイムが
鳴ったら帰るけど、あまり無理しないでね」

「はい、分かりました!チーフ、ありがとうございます!」

そんな話をしてると、終業のチャイムが鳴った。鐘が鳴り終わったら
帰る。これが私のモットーでもあるし。って、どんなモットーだよって
感じでもあるけど(笑)ま、今日は帰るかな。

「じゃ、鐘も鳴り終わったので、私は帰ります。お先に失礼しま~す。
みんな、お疲れ!」

「お疲れさまでした!」

ふぅ~、なんだか今日は、ちょっと疲れたな。でも、良い1日だったと
思う。帰ったら、アトランティーナに報告しようっと。


<次回へ続く>
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