ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

文字の大きさ
上 下
199 / 297

見て見ぬフリしてない?

しおりを挟む
洋服のこと、アトランティーナが納得してくれて良かった。
これで、安心して寝られる。あとは、明日、何事もなく平和に過ぎて、
いつも通り定時に会社を出られるって、イメージして眠れば良いかな。

いや、違う!定時に会社を出られるってイメージじゃなくて、定時に会社を
出るって、心を決めるんだった!最近、なんとなく流れに乗ることばっかり
考えてたから、忘れちゃった(汗)

そう!明日は、面倒なことは、何も起こらないで、定時に会社を出て、
久しぶりにハヤトくんがいるカフェに向かう。そして、アトランティーナと
合流して、買い物をしてから、美味しいご飯を食べて帰る。買い物も楽しくて、
満足感に溢れるものになる。アトランティーナも私も、二人が気に入ったものが
見つかるから。二人で、<良いものが見つかって良かったね>って、言い合うの。

うん、なんか楽しくなってきた。幸せも楽しむことも先取りするって、
アトランティーナが言ってたけど、こんな感じなんだよね、きっと。
だって、明日が楽しみになって来たもん。今夜は、ぐっすり眠れそう。
って、毎晩、ぐっすり眠ってるか(笑)

なんか、夢も楽しかったみたい。目が覚めた時、自分が微笑んでたのが
分かったから(笑)どんな夢だったんだろう?起きると忘れちゃうって
メカニズム、なんとかならないのかな?っていうか、たまに起きてからも
覚えてる夢ってあるよね?この違いって、何なんだろう?
ま、とりあえず今はいっか。会社に行く準備しよう。

今朝もアトランティーナは、出て来なかったな。約束があったから、
今日は、顔を出すかなって、ちょっとだけ思ってたから、少し残念な気も
するけど・・・。でも、顔を出してくれたら、また、話し込んじゃってた
ような気もする(汗)ほら、起きた時に覚えてる夢と忘れちゃう夢の違いって、
なんだろう?って、聞きたくなっちゃったかもだし。それが分かってたから、
きっと顔を出さなかったのかもしれない。アトランティーナは、いつも私のこと、
お見通しだから。

今朝もゆったりと座りながら、会社に向かう。それにしても不思議だよね。
アトランティーナに出会う前は、座れることもあったけど、座れないことも
あったんだもん。今は、どんなに混んでても必ず座れるんだよね。

もしかしたら、私の中で、朝は座れるもんだって信じてるっていうか、
それが、私にとっての当たり前になったからなのかもしれない。

信じるっていうと、なんか、もの凄い決意をするようなイメージだけど、
そうじゃないのかもしれないね。もっと自然体っていうのかなぁ。
そうなることが当たり前みたいな感じ?だから、自分を信じることも
そうなのかもしれない!

『出来るかなぁ?いや、出来るかなぁじゃなくて、出来るんだよ!』って
感じじゃなくて、『あっ、それ?私なら出来るでしょ』みたいな?(笑)
そういう気軽さが大切なような気がするけど、合ってるのかな?

「おはよう、ミウ。今ので合ってるよ」

「あっ、チェリー、おはよう。私の心の声、ダダ漏れだった?(笑)」

「うん、とってもよく聞こえたよ(笑)それにしても、よく自分一人で
気づけたね。やっぱり、ミウってスゴイ!」

「えっ、そんなことないよ!っていうか、チェリーもアトランティーナも
私のこと、褒め過ぎ!」

「そんなことないよ。ミウが自分のことを褒めなさ過ぎなだけ。
だから、アトランティーナを私が、代わりに褒めているんだよ」

「う~ん・・・それを言われてしまうと・・・何も返せません(苦笑)」

「ところで、アトランティーナとの買い物、今日なんでしょ?ミウは、どんな服に
しようと思っているの?アトランティーナは、金星牡牛座の弦夜くん仕様で、
花柄のワンピースを推していたよね?でも、ミウは、それを却下したでしょ?
何か代案はあるんだよね?」

「う~ん、そこも苦しいところなんだよね(苦笑)」

「ということは、特に代案はないってことかしら?
それでよくアトランティーナは、受け容れてくれたね」

「うん。確かに花柄のワンピでも仕事は出来るけど、今まで、そういう感じの服
なんて着たことないから、明らかに会社帰りに何かあるってバレバレだし、
しかも花柄のワンピなんて、デートを連想させるでしょ?

レオンくんもそうだけど、藤崎さん狙いの五十嵐智美にも勘繰られる恐れが
あるからね(苦笑)予想できる面倒事は避けようってことで、
アトランティーナと合意に達したの」

「なるほどね。面倒なことが起こった場合、ミウのことだから、
『恋愛なんて、やっぱり、や~めた』って言い出しかねないものね(笑)」

「なんだ、アトランティーナだけじゃなくて、チェリーも私のこと、
お見通しだったか(笑)『恋愛なんて、や~めた』って思うかどうかは
分かんないけど、例え、そのまま恋していたとしても、引いちゃうことは
確かかもしれない。

恋愛に限らず、誰かと争うとか、競うとかって、あんまり好きじゃ
ないんだよね(苦笑)だから、そういう場面に遭遇すると身を引いた方が
平和だよねって思っちゃうところはあるかな」

「それが、ミウの良いところでもあり、そうじゃないところでもあるのよね。
確かに無駄な争いは避けた方が懸命だけど、そこで諦めることは、違うからね。
例えば、恋愛の場合、弦夜くんはミウと仲良くなりたいと思っているのに、
レオンや他の女性が関与することで、ミウが引いてしまったら、弦夜くんは
悲しいよね?そうは思わない?

もし、逆に、ミウは弦夜君と仲良くなりたいと思っているのに、
弦夜くんサイドに弦夜くんとミウが仲良くなることを快く思わない女性と、
ミウのことを狙っている男性がいて、面倒なことは避けたいという理由で、
本当は、ミウと仲良くなりたいなって思っているのに、弦夜くんが身を引いて
しまったら、ミウは悲しくない?」

「確かに、『もう少し粘ってよ!』って思うかもしれない(笑)いや、違うな。
たぶんだけど、『私への気持ちは、その程度だったんだな』って、
悲しくなるかな(苦笑)」

「だとしたら、弦夜くんも同じだと思うよ。ミウは、とっても思いやりのある人。
でも、こういう時には、その思いやりが発揮されないのは変だよね?
それも、ミウの自信の無さなのかな?だとしたら、そこは改善の余地が
あるんじゃない?

さっきの独り言じゃないけど、『愛されて当たり前』って、愛されることを
受け容れられるようにならないと、恋愛だけじゃなくて、どんなことも前には
進んで行かないよ。

なんで、ミウは、愛されることに、そんなに臆病なの?アトラン国に
いた頃のミウは、みんなに愛されていたのにね。今のミウが、ここまで
愛されることに後ろ向きな理由が私には分からないよ」

「愛されることに後ろ向きか・・・。確かにそうなのかもしれないね(苦笑)
でも、アトランティーナとチェリーが私のことを愛してくれていることは
分かるし、嬉しいとも思ってるよ。あと、レオンくんが私のことを気にかけて
くれて、面倒を見てくれてることも分かってるし、それも有り難いなって
思ってる。それも愛だよね?」

「そうね。確かに、それも愛ね。ということは、恋愛に関する愛を別物だと
認識しているということなのかしら?」

「う~ん、それはあると思う。女性として愛されないって思ってるとこが、
私の中にあるのかもしれない。原因は、不明だけどね(苦笑)」

「でも、その原因を探ることが出来るのは、ミウだけだよ。他の人には、
ミウの心の奥に何があるのかは分からないもの。もちろん、アトランティーナや
私が探ることは出来るけど、自分で見つけないと本当の意味での解決には
ならないと思うから。そこは、ちゃんと自分で探って欲しいと思う」

「そうだよね。今まで放置して来ちゃったのは、私だしね(苦笑)
たぶん、自分でも気がついてたんだと思う。でも、見て見ぬフリをしてきた
というか、フタしちゃって、無かったことにしようとしてたんだと思う。
でも、それじゃあダメだよね(苦笑)」

「うん。ダメだね(苦笑)良い機会だから、今回、その答えを探ってみたら
良いと思う。そうじゃないと、一生、同じことを繰り返すことになるよ。
アトランティーナも言ったと思うけど、神さまは、人間を悩ませるつもりは
ないの。ただ、課題を提示しているだけ。

でもね、その課題をクリアしないと、何度でも同じ課題を提示してくるの。
だからミウ、今まで恋愛が上手く行かなかった原因もそこにあるんだと思うよ。
それなのに、ミウは、その恋愛から逃げ回っていたでしょ?
でも、もう逃げられないわよ。だって、アトランティーナと私が傍に
いるんだから(笑)」

「確かに!逃してもらえなさそう(笑)」
「ええ。私もアトランティーナも逃がさないわよ(笑)」

「ひぇ~(笑)今回ばかりは、腹を据えて、しっかり取り組みたいと思います」

「それが良いと思う。もうそろそろ着くと思うから、もう一つだけ。どんな服を
買うのか、ミウの中で、しっかりとイメージした方が良い!イメージが出来れば、
そのイメージ通りの服に出会えるから。服も人も出来事も、みんな同じ。
イメージが出来ないと出会えないよ!じゃ、ミウ、行ってらっしゃい。
今日もステキな1日になりますように」

「チェリー、ありがとう!イメージしてみるね。行ってきま~す」


<次回へ続く>
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:4,032pt お気に入り:3,817

転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:120pt お気に入り:3,737

余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:37,722pt お気に入り:29,915

不死王はスローライフを希望します

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:41,990pt お気に入り:17,456

聖女の紋章 閑話集 ファリカの冒険

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:34

趣味を極めて自由に生きろ! ただし、神々は愛し子に異世界改革をお望みです

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:26,505pt お気に入り:11,868

突然の契約結婚は……楽、でした。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:118,509pt お気に入り:3,191

処理中です...