ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

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成功への近道

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冗談抜きで、親戚のお兄ちゃんと一緒にランチを食べたような
気分になって、ランチから帰って来た(笑)

レオンくん的には、ちょっと複雑だったのかもしれないけど、仕事のこと、
プライベートのこと、全てにおいて、私に不都合がないように立ち回って
くれるレオンくんに改めて感謝だよね。

って、私、完全にレオンくんに甘えちゃってるね(汗)
でも、私って人に甘えるのが苦手だったはず。私が変わったのが、
スゴイのか、レオンくんがスゴイのか・・・どっちなんだろう?
ま、どっちでもいっか(笑)

今日も何事もなく、順調に進んで、あと少しで今日も終わる。
イベントまで残すところ、あと2週間。そろそろプロダクションも
含めて、最終確認をした方が良いかもしれないね。来週あたり、
みんなで集まる時間を作ろうと思う。そんなことを考えてたら、
終業のチャイムが鳴った。

「みんな、今日も帰れそうかな?」

「は~い、今日もこれで帰ります。あとは、また明日ってことで、お先っす」

「お疲れさま!」

「他のみんなも大丈夫そう?」

「はい!私たちも帰ります。お疲れさまでした!」

「お疲れさま!」

「レオンくんも大丈夫だよね?」

「なんで、僕だけ<大丈夫だよね?>なんですか?」

「だって、レオンくんは優秀だもの。残業なんてしないだろうな
っていう前提があるからね」

「そうだよ!レオンくんは、私たちとは違うじゃない。私たちが
帰れるのにレオンくんが残業なんてあり得ないって、誰でも思うよ」

「理沙ちゃん、ナイスフォロー!(笑)」

あまり良いことではないかもしれないけど、こうした軽口を叩きながらも
五十嵐智美が気になって、さりげなく表情を見てしまう。
彼女は、中川理沙子みたいに、あまりハッキリ言わないけど、その分、
心の中に色々と抱え持ってしまうタイプだと思うんだよね。

あっ、これが乙女座の分析好きなところなのかもしれない。
ホント、無意識にしちゃってるところが、星の影響って感じで面白いよね。
星の勉強をしてから、自分のことを客観的に見るクセもついてきたし、
良い感じだと思ってるんだけどね。

五十嵐智美とは、この間のランチで、随分と距離が縮まったような気が
したんだけど、あの一瞬だけだったのかもしれない。まだ、私に対して、
何かしらのわだかまりみたいなものを持っているような気がする。

レオンくんも冗談を言いつつ、彼女を伺ってるみたいだね(苦笑)
ま、でも、直接的に何かを言ってくるワケでもないんだし、ここは静観して
おけば良いんじゃないかなって思う。

たぶん、レオンくんも同意見じゃないかな。以前の私だったら、
白黒つけないと気持ちが悪かったと思うんだけど、今は、スルー出来る
ようになっただけ、これもまた成長したって言えるのかもしれないね。

今日は、レオンくんとランチに行ったこと、アトランティーナに
報告しよう。それで、レオンくんと話したことも伝えよう。

そうだ!明日は、藤崎さんと食事に行くから、今夜は食後のデザートでも
買って帰ろうかな。そうすれば、食後のコーヒーブレイクもいつも以上に
楽しめるもんね。

会社を出てからデパ地下に寄って、大好きなチーズケーキを買った。
アトランティーナも喜んでくれると良いな。足取りも軽く、家の近くまで
くるとアトランティーナとバッタリ出くわした。

「アトランティーナ、どうしたの?」

「あっ、ミウ、おかえり。ちょっと買い忘れてたものがあったから、
買って来たところよ」

「そうなんだ。なんか、外で会うと新鮮だね(笑)」

「そうかもしれないわね。あら、ケーキ買ってきたの?」

「うん。いつもチーズケーキだけどね」

「私もあそこのチーズケーキ好きよ。じゃ、食後にコーヒー飲みながら、
頂きましょうね」

手までは繋がないけど、こうしてアトランティーナと一緒に歩いて、
家まで帰るのって、なんか楽しい。

「ミウ、さっきからずっとニヤニヤしているけど、何か良いことでも
あったの?」

「えっ?あ~。なんかさ、こうしてアトランティーナと一緒に家まで
帰るのって楽しいなと思って。そう思ってたら、自然と顔が緩んで
きちゃった(笑)」

「そう?いつもとは違うことだし、予期していないことだったから、
余計かもしれないわね」

「そうだね。あっ、そういえば、今日ね、レオンくんをランチに誘ったの」

「えっ、そうなの?なんで?」

「よく分かんないんだけど、なんとなく(笑)レオンくんに避けられてる
ような気がするって言ってたでしょ?だから、思い切って、レオンくんに
避けてるの?って聞いてみたの。その流れで、ランチ行こうって誘ってみた」

「それで?レオンは何て言ってた?」

「前に、しつこいとかって言われたから近寄らない方が良いのかなと思って
って言ってた。あとね、藤崎さんと個人的に連絡先を交換してるんだって。
それで、五十嵐智美から食事に誘われたことも知ってたよ」

「そう。それで?」

「五十嵐智美と私のこと、藤崎さんも気にしてるみたいで、レオンくんに
探りを入れて欲しいって言ってきてたみたい」

「へぇ~、そうだったの」

「うん。それで、彼女からランチに誘われて、二人でランチに行ったことも
気になってて、ランチから帰って来た時の様子も見てたみたい。
それで大丈夫そうだなと思って、その旨、藤崎さんにも伝えたらしいよ。

あとね、レオンくんが藤崎さんのことを過保護だって言ってた。
だから、レオンくんも過保護だと思うよって言ったの。そしたらね、全然、
自覚がないみたいで、<僕も過保護ですか?>って言ってた。

だから、レオンくんが傍に居てくれると守られてる感がハンパなくてホッとする
って言ったら、<あまりにも守られて来なかっただけだと思いますよ>だって、
失礼しちゃうと思わない?」

「レオンとのランチ、楽しかったみたいね」

「うん。レオンくんにも言ったんだけど、レオンくんって、お母さんとか、
お父さんとか、お兄ちゃんみたいだよね」

「レオンは、何て言っていた?」

「僕は、ミウさんにとって、身内ですかって言ってた。
だから、アトランティーナとレオンくんは家族みたいな存在だって言ったの。
ダメだったかな?」

「ダメではないけど、レオンとしては、ちょっと寂しかったかもしれないわね。
ミウからランチに誘ったのなんて、初めてだったんじゃない?
おそらく、顔に出さなかったかもしれないけど、レオンは嬉しかったと思うの。
それなのに、身内って言われちゃったらねぇ・・・。レオンとしても
立場ないわね(苦笑)」

「でも、藤崎さんと食事に行くことは伝えたよ」

「レオンは、知らなかったの?」

「どうなんだろう?でも、藤崎さんとつきあうんですかって聞かれたから、
まだ分からないけど、食事に誘われてるから、食事には行こうと思ってるって
話はした」

「なるほどね」

「あとね、レオンくんが、藤崎さんと個人的にやり取りしてることと食事に
行くこと、行ったことはメンバーに知られない方が良いって言ってた。

少なくとも五十嵐智美は、藤崎さんに恋心を抱いているワケで、その相手と
私が食事に行ったとなったら、雰囲気がギクシャクしちゃう可能性も
あるでしょ?イベント開催を控えた今、メンバーの足並みが揃わなくなる
ことは避けたいからって。だから、私も知られないようにするつもりだって
言ったの」

「そう。本当にレオンとは、腹を割って話が出来るのね」

「うん。そうだね。あとね、可笑しな話だねって話もしたの」

「何が可笑しな話なの?」

「自分に好きな人がいる。その好きな人を食事に誘ったけど、
断られてしまった。それで、その好きな人が別の人を誘って食事に行った。
それだけのことでなのに、それで人間関係がギクシャクするとかって
変な話だよねって」

「それに対してレオンは何て言ったの?」

「私は、アトランティーナと一緒に様々なことを学んで、経験してきて
いるし、目指すところがあるから、そう思うのかもしれないって。
レオンくんも私が言った通りだと思うって。

でも、多くの人はエゴをコントロールすることを知らないし、話しても
理解するまでには時間がかかるだろうから、エゴに振り回されてしまう
場合が多いんだって。だから、エゴのメカニズムを知っている側が上手く
コントロールしてあげないと、上手く進むものも進まなくなってしまう
って言ってた。

それは私も分かってるし、だから、周りには知られないようにしたいから
藤崎さんにもその話はしたって言ったの。そしたら、レオンくんからも
藤崎さんに話すって言ってた。

それで、だから、やっぱりレオンくんは頼りになるんだよって言ったら、
<お父さんとか、お母さんみたいですか?>っていうから、
それプラスお兄ちゃんもあるって言ったの。そしたら、ちょっと複雑そうな
顔してたかも(汗)」

「でしょうね(苦笑)だって、レオンもミウの恋人候補の一人として、
生まれてきたんだから、それをお母さん、お父さん、お兄ちゃんって
言われてしまったら、複雑でしょうね。なんか、レオンに同情したく
なってきたわ(笑)

ただね、弦夜も上手くレオンを使っているみたいだけど、どうなの
かしらね。あの子たちも見えない火花を散らし合ってるんじゃない
かしらね(笑)

でも、レオンはまだ諦めたわけではないと思うわよ。レオンは蠍座が
多いっていう話はしたでしょ?」

「うん、それは覚えてる。蠍座は、簡単には諦めないの?」

「ええ。思い込んだら命懸けというくらい、しつこいわね(笑)
しかも、事を荒立てることは好まないから、静かに進行して行くのよ。
だから、周りもつい油断してしまうのね。その隙を突いて攻めてくるのが
蠍座。だから、ミウがっていうよりは、弦夜は注意していた方が良いわね。
ミウという獲物をあっという間に攫われてしまうかもしれないから」

「なんか・・・。今、ちょっとだけロマンティックな気分かも」

「えっ、なんで!?怖がるところなんじゃないの!?(笑)」

「だって、なんか攫われるって、ファンタジーの世界みたいじゃん!
王子様に攫われる姫みたいな感じ?なんか、ワクワクしちゃう(笑)」

「そうだった。ミウも月が蠍座だった(苦笑)それにしても、ミウの発想、
相変わらず面白いわね(笑)」

「えっ、そうかな?」

「ええ、とっても面白いと思うし、チャーミングだし、
私は、嫌いじゃないわよ」

「アトランティーナが嫌いじゃないんだったら、いっかな(笑)」

「お喋りしながら歩いてたら、時間かかっちゃったわね。早く帰って、
ご飯食べて、それから、ミウが買って来てくれたケーキを頂きながら、
コーヒー飲んで、ゆっくりしましょ。でも明日は、弦夜と食事に行く日
でしょ?じゃ、早めに切り上げて、お風呂でキレイに仕上げて、
ゆっくり休まないとね。お肌も睡眠で変わるからね」

「そんなに気合入れなくても良くない(苦笑)」

「何事も後悔のないようにすること!それが成功への近道よ。
どんなに些細なことでも今できる精一杯で臨むというクセをつけると
良いわね。でも、ミウは、そういうところあるじゃない?恋愛も同じよ。
他のことと同じ。手を抜かないでね」

「は~い」

「じゃ、ほら、帰るわよ」

「うん!」


<次回へ続く>
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