ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

文字の大きさ
262 / 297

人間関係は掛け算?

しおりを挟む
朝ご飯の支度に取り掛かる前に、話が始まってしまった(汗)
アトランティーナと二人の時は、そのまま話を続けちゃうんだけど、
今日は、とりあえず、お客様が居るワケで、ここらで切り上げないと
マズイんじゃないかなって思い始めた。

「ね、話が止まらなくなっちゃうから、とりあえず、この辺で切り上げて、
ご飯の支度をしようよ」

「ミウの言う通りね。ここで一旦、話はお終い。弦夜、良いわよね?」

「もちろんです!」

「それにしても、ミウから言い出すなんて珍しいこともあるものね」

「うん。アトランティーナと二人の時だったら、そのまま話を進めちゃう
ところなんだけど、一応、今日はお客様が居るからね(汗)」

「えっ、僕はお客様なの?」

「うん。違うの?」

「なんか、僕の中では、もうこの家の一員みたいな気分でいたんだ。
だから、<お客様>って言われると、ちょっと寂しいかな」

「でも、弦夜は、今はお客様で間違っていないでしょ?それとも、
ここに引っ越して来る?」

「ちょっと、アトランティーナ、何言ってるの!部屋だって無いし、
ダメに決まってるじゃん、そんなの」

「そんなに激しく否定しなくても・・・。なんか僕、寂しいです。
アトランティーナ」

「あ~あ、ミウ。弦夜が拗ねちゃったわよ。どうするの?(笑)」

「どうするのって言いながら、笑ってるし・・・。だって、無理なものは
無理なんだから、拗ねられても困ります!そんなことより、ご飯の支度が先。
ご飯食べてから、ゆっくり話せば良いでしょ!ほら、弦ちゃんも
分かんないこと言ってないで、手伝ってね!」

「は~い・・・」

「うふふ。すっかりミウのペースね。でも弦夜、こういう感じが
良いんでしょ?弦夜は、引っ張って行くっていうよりも引っ張られて
ついていくってタイプだものね(笑)」

「バレてました?(笑)そうなんですよ。でも、仕事をしている時は、
しっかりしているように見えるらしくって、意外だって言われてきました」

「それで、フラれてきたの?」

「いつもフラれたみたいに言わないでくださいよ。でも、そういうことも
ありました。今までは、自分から告白したことがなかったんですよ。
つきあって欲しいって言われて、つきあってたって感じなので・・・。
だから、自分から好きになって、自分から告白したのは、ミウさんが
初めてなんです」

「ということは、今までおつきあいした女性たちのことは、本当は好きでは
なかったということ?」

「昨日も少し話しましたけど、好きではなかったというわけではありません。
でも、どうしても、何があっても、この人と一緒に居たいというほどでは
なかったのかなぁ・・・。だから、別れを切り出されても、引き留め
なかったし」

「弦ちゃん、引き留めないことで、更に揉めたりはしなかったの?」

「えっ、なんで分かるの?そうなんだよね。<なんで、引き留めないのよ!>
って、怒られたこともあった。でも、それが不思議でね。だって、<別れたい>
って言うから、<そうなの、じゃ仕方がないね。今までありがとう。さようなら>
って言って、何が悪いんだって思うじゃない。引き留めなくて怒るくらい
だったら、<別れたい>なんて言わなければ良いのに。そう思わない?」

「ま、確かにそうなんだけど、引き留めて欲しいっていう気持ちが
あるんだよ(苦笑)」

「ミウさんもそう?」

「うーん、私の場合は・・・どうだろう?<別れたい>って言う時には、
色々なことを考えた上で、『もう無理!』って思った時だから、引き留めて
欲しくないかもしれない(苦笑)もう関わりたくないって思った時に
<別れよう>って言うからね」

「そこが違うんじゃない?<なんで、引き留めないのよ!>って怒る女性は、
<別れたい>って言うんでしょ?でも、ミウの場合は、<別れたい>では
なくて、<別れよう>なのよね?この違い、弦夜には分かるかしら?」

「えっ、どういうことですか?」

「<別れたい>って言うのは、そこから話し合って、別れないように説得して
欲しいっていう気持ちが込められているんじゃないかしら?

一方、ミウみたいに<別れよう>って言うのは、もう気持ちが固まっているから、
話し合う余地が残されていないということなのよ。

だから、<別れたい>って言ったのに引き留めてくれないって怒りが湧いて
くるのね。でも、<別れよう>の方は、気持ちが固まってしまっているから、
引き留められても困るだけってことよ」

「だったら、最初から<別れたい>じゃなくて、<話し合いたい>って
言えば良いだけのことなんじゃないですか?<別れたい>って言われたら、
『別れたい人を引き留めても逆に申し訳ないな』って思うから、
引き留めないんですよ。なんか僕、変なこと、言ってます?」

「ううん。全然、変じゃないと思う。だから、女って面倒臭いんだよね。
って、私も女だけど(笑)たぶんだけど、自分が愛されている、求められて
いるっていう実感が欲しいんじゃないかな?だから、本当は別れる気なんて
ないのに、愛されていること、求められていることを試したくて、
<別れたい>って言うんだと思う。

私はね、相手を試すようなことはしたくないんだよね。もし、相手の気持ちを
試したいって思ったとしたら、そう思った時点で終わってると思うの。
だって、相手の愛情を感じられないから、『試したい』って思うワケでしょ?

弦ちゃんは、試されてるってことが分からないから、言葉通りに受け取って、
受け容れちゃうけど、試されてるってことに気づく人で、世間体とかを
気にする人だったら、引き留めると思うんだよね。でも、そんな関係は、
1秒でも早く終わらせた方が良いと思う。だって、一緒に居ても、
どちらも幸せじゃないでしょ?別れて、きちんと向き合って、思い合える
相手と新しく関係を築いた方が絶対、良いもん!」

「そうだよね!僕もそう思う。じゃ、怒られたことを気にする必要は
ないってことだ!良かった」

「弦夜、それはちょっと違うかな(苦笑)」

「えっ、何が違うんですか?」

「そもそもの話よ。本気で好きでもない人とつきあった弦夜に問題が
あるってこと。相手から告白されて、相手のことが、それほど好き
じゃなくてもつきあったんでしょ?そこがダメ。もし、そんなに好きじゃ
なくても、つきあうって決めたのなら、相手を本気で愛する努力を
しないとね。それが出来ないんだったら、断るのも礼儀なのよ」

「でも、断ったら悪いっていうか、悲しい思いをさせてしまうじゃない
ですか・・・。だったら、嫌いな相手でもないし、どちらかというと
好きに傾く相手だったら、受け容れた方が良いんじゃないかなって
思うんですよね」

「ミウは、どう思う?」

「私もアトランティーナの意見に賛成!でもね、相手も分かってるんだと
思うんだよね。『この人、そんなに私のこと、好きじゃないんだろうな』
って、分かってて告白してるんだと思う。だから、断られること覚悟の
告白をしてるから、OKされた時、めっちゃ嬉しかったんだと思う。

でも、いざつきあってみたら、やっぱり愛されてないことに寂しさを
感じちゃうんだと思うよ。最初から分かってたことでもね。それで、
『なんで、好きじゃないのにOKしたのよ!』って、逆ギレみたいな
感じになっちゃうんじゃないかなぁ(苦笑)」

「なるほどね。ま、どっちもどっちってことなのかな?(苦笑)
でも、そういう女性が弦夜に近づいたってことは・・・?」

「弦ちゃんも彼女たちと同じようなエネルギーを放ってたってこと
だよね?だから、やっぱり、どっちもどっちなんだね(笑)」

「そういうこと(笑)じゃ、食事にしましょうか」

「えっ、ちょっと待って、それ、どういう意味ですか?」

「つまり、弦ちゃんも愛に対して、誠実に向き合って来なかったって
ことだよ。だから、誠実に愛に向き合わない、ただ寂しさを埋める
ためだけの相手を求めるような人を引き寄せちゃったってこと」

「えっ、それって、今までつきあった女性たちは、ただ寂しさを
埋めるためだけに僕を求めたってこと?」

「そういうことになるんじゃない?<別れたい>って言うってことは、
<そんなこと言わないでよ>、<なんで別れたいの?>って言って
欲しかったのよ。そこで、慰められたい、寂しい気持ちを分かって
欲しいって訴えているの。

でもね、寂しいから誰かとつきあいたいって思うことが根本的に
違うのよ。人間関係は、掛け算なの。だから、寂しさを埋めて欲しいと
思って、誰かとつきあうと、その寂しさが倍になる。掛け算だからね。
逆に、独りで過ごす時間を楽しめる人は、誰かとつきあうと、
その楽しさが倍になるの。

よく、自分に足りないところを相手に補ってもらうなんていう話を聞く
けど、あれは違うのよ。どちらも100%だという意識を持って、
相手と向き合わないと上手くいかないのよ。大事なことだから、もう一度
言うけど、人間関係は掛け算なの。よ~く覚えておきなさい」

「なるほどね。確かに僕も相手のことが好きとかっていうよりも
独りで過ごす時間が寂しいから、誰かを求めていて、そこに来て
くれた人だから、つきあおうって思ったような気がします。
そっか、スタートからして、違っていたんですね。今、やっと
理解しました」

「そ。それは、良かったわ。じゃ、スッキリしたところで、
朝ご飯にしましょうね」


<次回へ続く>
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

迎えに行ったら、すでに君は行方知れずになっていた

月山 歩
恋愛
孤児院で育った二人は彼が貴族の息子であることから、引き取られ離れ離れになる。好きだから、一緒に住むために準備を整え、迎えに行くと、少女はもういなくなっていた。事故に合い、行方知れずに。そして、時をかけて二人は再び巡り会う。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語

紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。 しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。 郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。  そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。 そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。 アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。 そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。

処理中です...