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眠るまえに
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事は突然だった。
自室のベッドの上で目を覚ました僕は、それまでのあらゆる記憶を探っていた。
いつものように鐘がなり
それがいざ進撃の合図と言わんばかりに睡魔に襲われる。
ひとつあくびをつき
退屈な講義をただ拝聴するだけの作業が始まるのを待っていた。
それまでは、いつも通りだった。
いつも通り授業を受け、母の作る弁当を食べ、また授業を受ける
そのはずだった。
だが、今どうだろう
気づいたら終わっていた。
終わっていたどころではない。
ふと目を覚ました場所は自室のベッドである。
それまでの一切の記憶がないのだ。
心なしか体が重い。
普段の疲れなのか…
外は暗く
いくら初夏と言えど風が冷たくなる時間だ。
さて風呂にでも入るか、と重い体をおこし
風呂へ向かう。
何故だろう誰かが我が家を、走り回っている?
どうやら母のようだ。
母のことだ、あの黒光りするG様でもみつけたのだろう。
そんなことを思いながら風呂への扉へ手を伸ばす。
突然リビングのドアが勢いよく開き母が飛び出てきた。
やはりこれはG様だな。
「母さんまたでたの?僕が
言い終わる前に肩を掴まれ
「どこに行ってたの!!!警察も呼んだのよ!!!」
突然母はヒステリックに、かつ涙を流しながら怒鳴った。
どこに行ってた????
警察????
一体何のことだ。
「本当に心配したんだから…あんたが突然いなくなったって学校から連絡がきて…」
突然いなくなった…??
「先生方もいくら探してもいない、警察にも協力してもらって……本当にもう……無事でよかったわ…」
どういうことか、さっぱりだ。
確かにベッドの上で目を覚ますまでの記憶がないとは言え、突然いなくなるとはあり得るのか。
学校には確実に登校していたし、授業の鐘を聞いている。
…一度だけだが。
「…あんたその顔どうしたの?泥?一体本当に何してたのよ…」
泥?何故泥が顔についているのだろう。
顔を拭った手を見ると
確かに黒っぽい土が手についた
汚れているようだ。
「まぁいいわ、顔洗ってきなさい。学校や警察には私が電話しておくわ…明日は学校休みなさい…もうこんなことしないでね。」
どうやら僕の思う以上に大事になっていたようだ。
母は一安心したようにリビングに戻ったが
僕の中では全く解決していない。
むしろ何一つ状況が飲み込めていないのだ。
聞きたいことが山ほどあれば理解できないことばかりで僕は固まった
何も言葉が出ないまま、放心したように風呂にむかう。
体を洗い湯に浸かると
一気に疲労が体を襲う。
同時に睡魔にも襲われる。
それほど運動した覚えもないのに…
風呂に浸かり
うとうとしている中、声を聞いた。
(…る……やく…………こっち……)
誰かが呼んでいる…?
母な訳がない
風呂場を見渡す、が
当然ながら僕以外居るはずがない。
(…うつる……早く……こっちへ…)
早くこっちへ?
こっちといわれても僕は湯船の中だ、どこにも行きようがない。
呼ばれてもどうしようもないのに…
呼ぶにしても風呂上がりか入る前にしていただきたいものだ。
ふと気づけば声は聞こえてこない。
「…はぁ……」
ため息が出る。
やはり疲れているのか、幻聴かもしれない。早く休もう
そう思いながら風呂を上がり着替え
髪を乾かし、ベッドへと向かう。
やっと退屈な一日が終わる
一日の終わりの夜に見る夢が
僕をつまらない日常から連れ出してくれる。
夢が唯一の楽しみと言っても過言ではない程だ。
退屈な現実に、いつも通りの日々に
少しの刺激を与えてくれる
そんな夢に、僕は期待する。
夢と現実が入れ替わらないものか、
などと荒唐無稽な或いは滑稽な願いを抱きながら。
いつものようにベッドに横たわり窓を少し開け、優しく耳を撫でる風に初夏の香りを感じながら目を閉じる。
外では虫が、蛙が鳴いている。
その声に耳を澄ませ
深く、ゆっくり呼吸して
夢に落ちていく。
自室のベッドの上で目を覚ました僕は、それまでのあらゆる記憶を探っていた。
いつものように鐘がなり
それがいざ進撃の合図と言わんばかりに睡魔に襲われる。
ひとつあくびをつき
退屈な講義をただ拝聴するだけの作業が始まるのを待っていた。
それまでは、いつも通りだった。
いつも通り授業を受け、母の作る弁当を食べ、また授業を受ける
そのはずだった。
だが、今どうだろう
気づいたら終わっていた。
終わっていたどころではない。
ふと目を覚ました場所は自室のベッドである。
それまでの一切の記憶がないのだ。
心なしか体が重い。
普段の疲れなのか…
外は暗く
いくら初夏と言えど風が冷たくなる時間だ。
さて風呂にでも入るか、と重い体をおこし
風呂へ向かう。
何故だろう誰かが我が家を、走り回っている?
どうやら母のようだ。
母のことだ、あの黒光りするG様でもみつけたのだろう。
そんなことを思いながら風呂への扉へ手を伸ばす。
突然リビングのドアが勢いよく開き母が飛び出てきた。
やはりこれはG様だな。
「母さんまたでたの?僕が
言い終わる前に肩を掴まれ
「どこに行ってたの!!!警察も呼んだのよ!!!」
突然母はヒステリックに、かつ涙を流しながら怒鳴った。
どこに行ってた????
警察????
一体何のことだ。
「本当に心配したんだから…あんたが突然いなくなったって学校から連絡がきて…」
突然いなくなった…??
「先生方もいくら探してもいない、警察にも協力してもらって……本当にもう……無事でよかったわ…」
どういうことか、さっぱりだ。
確かにベッドの上で目を覚ますまでの記憶がないとは言え、突然いなくなるとはあり得るのか。
学校には確実に登校していたし、授業の鐘を聞いている。
…一度だけだが。
「…あんたその顔どうしたの?泥?一体本当に何してたのよ…」
泥?何故泥が顔についているのだろう。
顔を拭った手を見ると
確かに黒っぽい土が手についた
汚れているようだ。
「まぁいいわ、顔洗ってきなさい。学校や警察には私が電話しておくわ…明日は学校休みなさい…もうこんなことしないでね。」
どうやら僕の思う以上に大事になっていたようだ。
母は一安心したようにリビングに戻ったが
僕の中では全く解決していない。
むしろ何一つ状況が飲み込めていないのだ。
聞きたいことが山ほどあれば理解できないことばかりで僕は固まった
何も言葉が出ないまま、放心したように風呂にむかう。
体を洗い湯に浸かると
一気に疲労が体を襲う。
同時に睡魔にも襲われる。
それほど運動した覚えもないのに…
風呂に浸かり
うとうとしている中、声を聞いた。
(…る……やく…………こっち……)
誰かが呼んでいる…?
母な訳がない
風呂場を見渡す、が
当然ながら僕以外居るはずがない。
(…うつる……早く……こっちへ…)
早くこっちへ?
こっちといわれても僕は湯船の中だ、どこにも行きようがない。
呼ばれてもどうしようもないのに…
呼ぶにしても風呂上がりか入る前にしていただきたいものだ。
ふと気づけば声は聞こえてこない。
「…はぁ……」
ため息が出る。
やはり疲れているのか、幻聴かもしれない。早く休もう
そう思いながら風呂を上がり着替え
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やっと退屈な一日が終わる
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少しの刺激を与えてくれる
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などと荒唐無稽な或いは滑稽な願いを抱きながら。
いつものようにベッドに横たわり窓を少し開け、優しく耳を撫でる風に初夏の香りを感じながら目を閉じる。
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