ユウカ

雑草

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好きです!結婚してください!

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「以上で、入学式を閉幕致します。」

桜舞う4月7日、私、神城裕香は咲ヶ原高等学校に入学した。

だるい。

気持ち悪い。

帰りたい。

晴れ晴れとした顔の学生で賑わう学校の中、私の頭の中はその3つの言葉が占めていた。

私は潔癖症だ。それも重度の。

電車のつり革は勿論触れないし、バスの座席も座れないから私はいつも歩いて登校している。
他人が触った物も、他人が触っていそうな物も触れないし触りたくもない。

何故なら、人間は汚く醜いから。

私も含めてね。

そう思っていた私の前に突如として天使が現れた。

名前は日々野優花。

私と同じ"ユウカ"という名前だ。

背は低く、お世辞にもスタイルは良いとは言えない。

だが、真っ黒な短めの髪に真っ黒な大きい瞳、赤く染まった頰と赤い眼鏡。

私は思った。

可愛い。

人間は皆汚く醜いと思っていた私が初めて可愛いと思った人間。

いや、相も変わらず人間は汚く醜いから日々野優花という少女は天使だ。

私の天使。

I LOVE 日々野優花

そんな可愛い優花と醜い私の出逢いを説明しよう。

入学式が閉幕し、私は帰りたいとごねる身体を頑張って動かし教室に向かった。

私が備品と自分の身体と服諸々を洗浄している間に順調にHRは過ぎていった。

4月は皆この学校に慣れてないから静かだよね。

あと、頑張って私の事を気にしないように、邪魔しないようにしてくれたクラスメイトの皆には凄く感謝を述べたい。

ありがと。

HRも終盤に差し掛かり、係決めが始まった。

私は綺麗好きだから保健係で良いかなと言われた。

断るのが面倒くさかった当時の私は2つ返事で承諾したのだが、ナイス!!!!あの時の私!!!!ナイス!!!!

なんとその保健係には日々野優花が係長として所属していたのだ。

あの声の大きい学級委員長と面倒くさがりの私のお陰で私は優花と出逢えたのだ…。

ナイス…。

保健係に決定した私は、気弱そうな男と共に保健室へ資料を貰いに向かった。

気弱そうな男へ私はプリントに触れない事を伝えると成る可く話したくないというオーラを出しながら機械のように高速で首を縦に振っていた。

そんなに私が気味悪いか。

そうか、私も私の事気味悪いと思ってるよ。

気があうな、気弱そうな男。

気弱そうな男にドアを開けてもらい、薬臭い空気の漂う保健室に足を踏み入れた途端、プリントを持った日々野優花が迎えてくれたのだ。

目があった途端、優花は恥ずかしそうに目を伏せたあと目を細めにっこりと微笑みながら首を傾げたのだ。

その様子に私は間違いなく心を射抜かれた。

恋のキューピッドって本当に居るんだなって確信したよ。

ぐさっと、本当に、ぐさっと矢が心臓を射抜いたんだ。

つまり、私は優花に一目惚れした。

私は早歩きで優花に歩み寄り、手を取ってこう叫んだ。

「好きです!結婚してください!」

馬鹿だ。

私は本当に馬鹿な女だ。

結婚するにはちゃんと段階が必要だろう。

まずは親に会って挨拶を済ませなければなるまい。

案の定優花は、驚きと困惑が混じった顔をしていた。

可愛い。

「失礼しました、私、1年の神城裕香です。貴方は?」

まずは名前を知らないとどっちの苗字にするか困るかと思った私は名前を聞き出すために自己紹介をした。

「へ?あっ、私は、2年の日々野優花だよっ!名前一緒なんだ!凄いね!へへっ…あっ!そうじゃなくて!私は保健係の係長なの!だから、プリントを渡す役を頼まれてて…!」

自己紹介をした後、任務を果たさなければと慌てる優花。

可愛い。

「プリント…1枚だけだから持っていくのは大変じゃないと思う…!教室にプリント綴る所があると思うから、保健だよりの所に綴ってね!」

優花は早口で言い切った後、両手で大事そうにプリントを渡してきた。

これがラブレターだったら良いのになと思いながら私はそのプリントを受け取った。

後ろの気弱そうな男はプリント触れないんじゃなかったの!?と小さく呟いたが、煩い。

優花が触った物は全て綺麗になるんだ。

満足そうにしている優花にお昼ご飯を一緒に食べようと誘った後、スキップで保健室から出た。

先程まで重かった身体も今は宙を浮いている。

少し長くなってしまったが、これが優花との出逢いだ。

どうだい?優花、可愛いだろう?

あげないよ。私の天使さんだもの。

あげないけど、沢山沢山優花との話を聞かせたいからまた聞きに来てね。

またね。
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