67 / 73
第67話 シンプル1
しおりを挟む
「まずはこの宝の山から食材を引っ張り出さないとな。とりあえず蟹と海老を取り出すぞ!」
「分かりました。フォルテ様、それで蟹と海老とはどれなのでしょうか?」
フォルテの指示に、ヤコブが疑問の声を上げたので、フォルテはニンマリと笑いながら蟹と伊勢海老を掴み取った。
「コイツらだ!」
蟹の蜘蛛を思わせる姿と、海老の虫のような足と触覚を見て、ヤコブやレイアは驚き、トリントと組合長達は顔を歪めた。
「あの、本当にそんな海に住む虫を食べるのか?」
組合長の質問に、フォルテが答えようとしたのを遮って、ケミーニアが答えた。
「当たり前だろう! フォルテ様が言うのだから、美味しいに違いない。毒のある食べ物を食せるようにして、体が弱かった国王を元気にしたその手腕。通常の考えで否定すれば損をするのはお前たちだぞ?」
ケミーニアの言葉に、組合長がたじろいだ。
ケミーニアは、食に目覚めてから、今まで否定した食事自体が素晴らしい物だと気付かされた為、語る言葉に力が入ってしまったのだ。
「まあ、別に自分達が食べなくても良いんだ。俺はこの食材達を美味いものとしてアルヴに広める。捨てる食材達が売れるだけでもトリトニアは別の食材を購入して豊かになるだろう? 捨てる物に価値を見出せば、十分な富を築くのは容易い」
フォルテの前世でも、フォルテが子供の頃よりもう少し昔には、ばんばん捨てられていた物がフォルテが成人する頃には逆に普通の物よりも価値を見出していた。
例えば牛肉。
一昔前にはホルモンは捨てる場所であった。
それがフォルテが糖尿病になる頃には、1番人気の肉と言えば王道はカルビかもしれない。
しかし、それと二分する程に人気のホルモンであるハラミがおり、ホルモン専門の店までも現れていた。
牛タンに関しても、昔は捨てる場所の一つで、捨て値に相応しい値段であったが、フォルテが死ぬ前には一端の値段が付く人気者であった。
他にも、軟骨の唐揚げなんかは、廃棄品が富を生み出す錬金術であったはずだ。
もちろん、居酒屋の定番となってからは仕入れ値もそれなりにかかるのだろうが。
だからこそ、フォルテがその美味さを価値を知っているこの目の前にある捨てられる海の幸は宝の山なのだ。
自分達が食べなくても、食材としての価値がつけばそれは商品なのだ。
日本以外で、タコを食べない国は多いが、冷凍たこ焼きを商品として日本に輸出している国はある。
日本でのほとんどの都市では虫は食べないが、海外では食べる国もあるし、近年ではそれをネタとして商品化され、日本の店舗でも置いていたりする。
否定しなければ、それでいいのだ。
「よし、まずは俺達だけで試食だ! ヤコブ、海水を沸かせ! まずはシンプルに塩茹ででたべるぞ! 俺はその間に蟹酢を作る」
「分かりました!」
「レイアはケミーニアと一緒に蟹と海老を集めておけ」
「「はい!」」
フォルテ達は、それぞれ行動に移す。
フォルテはヤコブに大鍋を渡し、自分は普通の鍋で蟹酢をつくる。
作り方は至って簡単。なのだが、この世界では米を見つけていない為、米酢がない。
しかし、酢は、酒の酢酸菌による発酵商品だ。
米からは無理だが、他の酒から代用的に作る事はできる。
そして、ワインビネガーなどの少し癖のある物よりは、今回はじゃがいも焼酎から作ったお酢で代用した方が良いだろう。
酢、醤油、みりんが無いので代わりにこれもじゃがいも焼酎と砂糖を多めに使って代用する。
出汁もまだ鰹節がないので魚粉で代用だ。
全て混ぜたら、アルコールが飛ぶ程度に煮立たせたら、それだけで完成だ。
ヤコブも大鍋で海水がぐつぐつと煮えており、レイアとケミーニアも、蟹と海老を大量に集めてくれている。
「それで、フォルテ様、今回はどのような調理を?」
「簡単だ。ヤコブが沸かした海水に、蟹と海老をぶちこむだけだ!」
「え! それだけですか?」
「それだけだ。もちろん手の込んだ料理も教えてやるがな、今回は塩茹での美味さを味わってみろ」
フォルテの自信満々の言葉に、ヤコブは生唾を飲んだ。
これまで、肉の焼き具合、魚の焼き方にさえこだわっていたフォルテが、ぶちこむだけと自信満々に言っているのだ。
それだけ美味い食べ物なのだろう。
まあ、打ち込む時に、蟹の向きや茹でる時間は指示が飛ぶ事になるのだが、とりあえず、蟹と海老は、フォルテの指示により湯掻かれていくのであった。
「分かりました。フォルテ様、それで蟹と海老とはどれなのでしょうか?」
フォルテの指示に、ヤコブが疑問の声を上げたので、フォルテはニンマリと笑いながら蟹と伊勢海老を掴み取った。
「コイツらだ!」
蟹の蜘蛛を思わせる姿と、海老の虫のような足と触覚を見て、ヤコブやレイアは驚き、トリントと組合長達は顔を歪めた。
「あの、本当にそんな海に住む虫を食べるのか?」
組合長の質問に、フォルテが答えようとしたのを遮って、ケミーニアが答えた。
「当たり前だろう! フォルテ様が言うのだから、美味しいに違いない。毒のある食べ物を食せるようにして、体が弱かった国王を元気にしたその手腕。通常の考えで否定すれば損をするのはお前たちだぞ?」
ケミーニアの言葉に、組合長がたじろいだ。
ケミーニアは、食に目覚めてから、今まで否定した食事自体が素晴らしい物だと気付かされた為、語る言葉に力が入ってしまったのだ。
「まあ、別に自分達が食べなくても良いんだ。俺はこの食材達を美味いものとしてアルヴに広める。捨てる食材達が売れるだけでもトリトニアは別の食材を購入して豊かになるだろう? 捨てる物に価値を見出せば、十分な富を築くのは容易い」
フォルテの前世でも、フォルテが子供の頃よりもう少し昔には、ばんばん捨てられていた物がフォルテが成人する頃には逆に普通の物よりも価値を見出していた。
例えば牛肉。
一昔前にはホルモンは捨てる場所であった。
それがフォルテが糖尿病になる頃には、1番人気の肉と言えば王道はカルビかもしれない。
しかし、それと二分する程に人気のホルモンであるハラミがおり、ホルモン専門の店までも現れていた。
牛タンに関しても、昔は捨てる場所の一つで、捨て値に相応しい値段であったが、フォルテが死ぬ前には一端の値段が付く人気者であった。
他にも、軟骨の唐揚げなんかは、廃棄品が富を生み出す錬金術であったはずだ。
もちろん、居酒屋の定番となってからは仕入れ値もそれなりにかかるのだろうが。
だからこそ、フォルテがその美味さを価値を知っているこの目の前にある捨てられる海の幸は宝の山なのだ。
自分達が食べなくても、食材としての価値がつけばそれは商品なのだ。
日本以外で、タコを食べない国は多いが、冷凍たこ焼きを商品として日本に輸出している国はある。
日本でのほとんどの都市では虫は食べないが、海外では食べる国もあるし、近年ではそれをネタとして商品化され、日本の店舗でも置いていたりする。
否定しなければ、それでいいのだ。
「よし、まずは俺達だけで試食だ! ヤコブ、海水を沸かせ! まずはシンプルに塩茹ででたべるぞ! 俺はその間に蟹酢を作る」
「分かりました!」
「レイアはケミーニアと一緒に蟹と海老を集めておけ」
「「はい!」」
フォルテ達は、それぞれ行動に移す。
フォルテはヤコブに大鍋を渡し、自分は普通の鍋で蟹酢をつくる。
作り方は至って簡単。なのだが、この世界では米を見つけていない為、米酢がない。
しかし、酢は、酒の酢酸菌による発酵商品だ。
米からは無理だが、他の酒から代用的に作る事はできる。
そして、ワインビネガーなどの少し癖のある物よりは、今回はじゃがいも焼酎から作ったお酢で代用した方が良いだろう。
酢、醤油、みりんが無いので代わりにこれもじゃがいも焼酎と砂糖を多めに使って代用する。
出汁もまだ鰹節がないので魚粉で代用だ。
全て混ぜたら、アルコールが飛ぶ程度に煮立たせたら、それだけで完成だ。
ヤコブも大鍋で海水がぐつぐつと煮えており、レイアとケミーニアも、蟹と海老を大量に集めてくれている。
「それで、フォルテ様、今回はどのような調理を?」
「簡単だ。ヤコブが沸かした海水に、蟹と海老をぶちこむだけだ!」
「え! それだけですか?」
「それだけだ。もちろん手の込んだ料理も教えてやるがな、今回は塩茹での美味さを味わってみろ」
フォルテの自信満々の言葉に、ヤコブは生唾を飲んだ。
これまで、肉の焼き具合、魚の焼き方にさえこだわっていたフォルテが、ぶちこむだけと自信満々に言っているのだ。
それだけ美味い食べ物なのだろう。
まあ、打ち込む時に、蟹の向きや茹でる時間は指示が飛ぶ事になるのだが、とりあえず、蟹と海老は、フォルテの指示により湯掻かれていくのであった。
0
あなたにおすすめの小説
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる