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第68話 蟹と海老
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湯掻きおわった鮮やかな朱色に輝く蟹と海老を取り出して、湯気の立つ姿を見て、フォルテは顔のニヤケが止まらなかった。
「蟹だぁ、まず、俺が食べる所の見本を見せるからな。見てろよ」
フォルテは、嬉しそうに蟹の足を折って取ると、錬金術で作ったハサミで殻を切って、ブリンとした身を取り出した。
「そこを食べるのですね」
「そうだぞ。では、先にいただきます!」
先程作った蟹酢にちょんとつけて、蟹の身を口に含み、スッと引っ張ってスジの部分を口から出した。
甘めの出汁の効いたお酢が、蟹の旨味を引き立て、海の香りが鼻を抜ける。
これだ。年末、正月に家族が無言でほじくり出して必死に食べた記憶が蘇ってくる。
「次は海老だ!」
前世ならば高級品であった伊勢海老の頭を回して取ると、少し垂れたミソを慌てて吸うように舐める。
そして、身の部分の殻を器用に剥くと、マヨネーズをつけてかぶりついた。
蟹とは違う弾力のあるプリプリとした食感が素晴らしい。
伊勢海老をマヨネーズで食べるなんてと怒られそうだが、フォルテは前世でボイルエビにマヨネーズをたっぷり付けて食べるのが大好物であった。
伊勢海老ではした事がなかったが、今まで食べたどの海老よりも味が濃く、濃厚な味わいだ。
こんな風に大きな海老にかぶりつくのは、日本人でとある人気映画を見たことがある人ならば、一度は憧れた食べ方だろう。
「幸せだ……」
蟹と海老の余韻に浸るフォルテの肩を、ケミーニアはツンツンと突いた。
「フォルテ様、私達もいただいてよろしいですか?」
ケミーニアの言葉に我に戻ったフォルテは、ケミーニア達にも殻の剥き方を教えながらもう一度自分の分を用意した。
「「「いただきます!」」」
蟹酢に付けた後、ケミーニア達も一緒に一口で蟹の身を食べた。
「これは!」
「肉とは全然違いますが、私はこちらの方が好きです!」
「フォルテ様、そちらの海老? も食べましょう! どうやったらいいのですか?」
ゆっくりと味わうヤコブとレイアに対して、ケミーニアはもぐもぐと口を動かしながらも、次の海老にターゲットを移している。
海老も剥き終えて、マヨネーズをつけて、これまた全員でかぶりついた。
「こちらの方が歯応えがあって、身がしっかりとしているんですね」
「湯掻いただけでこんなに美味しいものを、見た目だけで捨てていたなんて、衝撃です……」
レイアとヤコブは海老を一口齧った後は、海老を見ながら感想を言い合っているが、ケミーニアは無言で二口目、三口目を齧り付いている。
その様子を見ていたトリントや組合長、漁師も、全員が美味そうに食べる姿を見て喉を鳴らした。
「本当に、そんなに美味しいのですか?」
「初めから言っているだろう? どうだ、お前らも食うか?」
結局、フォルテ達が食べる所を見たトリント達も蟹と海老を食べて、その美味しさに目を向いた。
「こんなに美味いものを捨てていたなんて。では、他の物も!」
トリントと組合長は、蟹と海老に衝撃を受けた後、顔を見合わせて、廃棄場所を見た。
2人の目にも、だんだんとフォルテのように、その山が宝の山に見えて来るのであった。
「蟹だぁ、まず、俺が食べる所の見本を見せるからな。見てろよ」
フォルテは、嬉しそうに蟹の足を折って取ると、錬金術で作ったハサミで殻を切って、ブリンとした身を取り出した。
「そこを食べるのですね」
「そうだぞ。では、先にいただきます!」
先程作った蟹酢にちょんとつけて、蟹の身を口に含み、スッと引っ張ってスジの部分を口から出した。
甘めの出汁の効いたお酢が、蟹の旨味を引き立て、海の香りが鼻を抜ける。
これだ。年末、正月に家族が無言でほじくり出して必死に食べた記憶が蘇ってくる。
「次は海老だ!」
前世ならば高級品であった伊勢海老の頭を回して取ると、少し垂れたミソを慌てて吸うように舐める。
そして、身の部分の殻を器用に剥くと、マヨネーズをつけてかぶりついた。
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伊勢海老をマヨネーズで食べるなんてと怒られそうだが、フォルテは前世でボイルエビにマヨネーズをたっぷり付けて食べるのが大好物であった。
伊勢海老ではした事がなかったが、今まで食べたどの海老よりも味が濃く、濃厚な味わいだ。
こんな風に大きな海老にかぶりつくのは、日本人でとある人気映画を見たことがある人ならば、一度は憧れた食べ方だろう。
「幸せだ……」
蟹と海老の余韻に浸るフォルテの肩を、ケミーニアはツンツンと突いた。
「フォルテ様、私達もいただいてよろしいですか?」
ケミーニアの言葉に我に戻ったフォルテは、ケミーニア達にも殻の剥き方を教えながらもう一度自分の分を用意した。
「「「いただきます!」」」
蟹酢に付けた後、ケミーニア達も一緒に一口で蟹の身を食べた。
「これは!」
「肉とは全然違いますが、私はこちらの方が好きです!」
「フォルテ様、そちらの海老? も食べましょう! どうやったらいいのですか?」
ゆっくりと味わうヤコブとレイアに対して、ケミーニアはもぐもぐと口を動かしながらも、次の海老にターゲットを移している。
海老も剥き終えて、マヨネーズをつけて、これまた全員でかぶりついた。
「こちらの方が歯応えがあって、身がしっかりとしているんですね」
「湯掻いただけでこんなに美味しいものを、見た目だけで捨てていたなんて、衝撃です……」
レイアとヤコブは海老を一口齧った後は、海老を見ながら感想を言い合っているが、ケミーニアは無言で二口目、三口目を齧り付いている。
その様子を見ていたトリントや組合長、漁師も、全員が美味そうに食べる姿を見て喉を鳴らした。
「本当に、そんなに美味しいのですか?」
「初めから言っているだろう? どうだ、お前らも食うか?」
結局、フォルテ達が食べる所を見たトリント達も蟹と海老を食べて、その美味しさに目を向いた。
「こんなに美味いものを捨てていたなんて。では、他の物も!」
トリントと組合長は、蟹と海老に衝撃を受けた後、顔を見合わせて、廃棄場所を見た。
2人の目にも、だんだんとフォルテのように、その山が宝の山に見えて来るのであった。
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