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第73話 恥ずかしさのあるパスタ
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「いただきます」と食事の挨拶をした後、フォルテはまずボンゴレから食べる為に皿に取り分けた。
トマトを使っていないシンプルな物からまずは食べようという考えからだ。
フォルテが取り分ける横で、ヤコブとレイアがマグカップに入ったビスクを一口飲んで目を見開いた。
2人はフォルテに向けて口をぱくぱくと動かすが、言葉が出てこない様だ。
「どうした? 落ち着いて話してみろ」
フォルテは取り分けたボンゴレをすすりながら2人の話を聞いた。
うん、貝の旨みとニンニクの香りでどれだけでも食べられるな。などと考えながら2人が話すのを待っていると、落ち着いたヤコブが先に話し始めた。
「フォルテ様、このスープは、海老の食べない部分だけしか使っていないのにとても濃厚な海老の味がします!」
「それに、先程の海水茹でも美味しかったですが、トマトを加える事で何倍にも美味しくなります!」
ヤコブの言葉に頷きながら、レイアは補足の質問を口にした。
「そうだろう? 甲殻類、海老や蟹は殻からもいい出汁が出ると言ったのはそういうことだ。 それと、レイアはいい所に気がついたな。海鮮はトマトととても相性がいいのは勿論、他にも野菜ととても会う。この国は雪の日が多く野菜が不足しているが海産物は豊富だ。対してアルヴはエルフ信仰のおかげで野菜の生産が豊富だろう? そして海産物を食べた感想はどうだ? アルヴに戻っても食べたいと思うほどに美味いだろ? 持ちつ持たれつ、お互い欲しい物、必要な物を売り買いする貿易相手にはピッタリだ」
フォルテの説明にヤコブとレイアが頷く中、1人夢中になってパスタを食べていたケミーニアはとてもいい笑顔でフォルテを見た。
「フォルテ様、どれもとても美味しいです! 先程食べたイカは焼くとまた歯応えも味も変わるのですね!」
感想をいいながら話すケミーニアの顔は、エルフ特有の綺麗な顔立ちでありながらも、口の周り、唇の色は血色が悪く見え、笑った時に見える歯は真っ黒である。
「クッ、なんですかそれは、ケミーニア様!」
笑いを堪える様にして質問したレイアの意図が分からずに、ケミーニアは首を傾げた。
「ケミーニア、イカ墨で口元と歯が黒く染まってるんだ。イカ墨パスタは美味しいが、それがちょっと難点だな」
フォルテは悪戯が成功した様な笑みで、鏡でケミーニアが自分の顔を見える様に見せた。
「おお、本当ですね! でも、とっても美味しいので問題ありません!」
ケミーニアは、恥ずかしさよりも食欲の方が勝っているようである。
しかし、それを見てレイアはやはり女性だからかして、イカ墨パスタを食べるのを躊躇っているようである。
ヤコブは慣れた仲間だけなので、進んで食べて「あの黒い墨がこの様な味わいとは」と言って驚いている。
フォルテは、ペスカトーレのトマトと魚介のハーモニーを味わい、幸せを噛み締める。
海産物をまたこれほど好き放題食べられる日が来るなんて死ぬ前は思っても見なかったからだ。
この幸せを、この国の民にも教えてあげたい。
フォルテは楽しそうに食事をする仲間達を見ながら、明日漁師達に提供する料理をお好み焼きの他にも沢山考えるのであった。
トマトを使っていないシンプルな物からまずは食べようという考えからだ。
フォルテが取り分ける横で、ヤコブとレイアがマグカップに入ったビスクを一口飲んで目を見開いた。
2人はフォルテに向けて口をぱくぱくと動かすが、言葉が出てこない様だ。
「どうした? 落ち着いて話してみろ」
フォルテは取り分けたボンゴレをすすりながら2人の話を聞いた。
うん、貝の旨みとニンニクの香りでどれだけでも食べられるな。などと考えながら2人が話すのを待っていると、落ち着いたヤコブが先に話し始めた。
「フォルテ様、このスープは、海老の食べない部分だけしか使っていないのにとても濃厚な海老の味がします!」
「それに、先程の海水茹でも美味しかったですが、トマトを加える事で何倍にも美味しくなります!」
ヤコブの言葉に頷きながら、レイアは補足の質問を口にした。
「そうだろう? 甲殻類、海老や蟹は殻からもいい出汁が出ると言ったのはそういうことだ。 それと、レイアはいい所に気がついたな。海鮮はトマトととても相性がいいのは勿論、他にも野菜ととても会う。この国は雪の日が多く野菜が不足しているが海産物は豊富だ。対してアルヴはエルフ信仰のおかげで野菜の生産が豊富だろう? そして海産物を食べた感想はどうだ? アルヴに戻っても食べたいと思うほどに美味いだろ? 持ちつ持たれつ、お互い欲しい物、必要な物を売り買いする貿易相手にはピッタリだ」
フォルテの説明にヤコブとレイアが頷く中、1人夢中になってパスタを食べていたケミーニアはとてもいい笑顔でフォルテを見た。
「フォルテ様、どれもとても美味しいです! 先程食べたイカは焼くとまた歯応えも味も変わるのですね!」
感想をいいながら話すケミーニアの顔は、エルフ特有の綺麗な顔立ちでありながらも、口の周り、唇の色は血色が悪く見え、笑った時に見える歯は真っ黒である。
「クッ、なんですかそれは、ケミーニア様!」
笑いを堪える様にして質問したレイアの意図が分からずに、ケミーニアは首を傾げた。
「ケミーニア、イカ墨で口元と歯が黒く染まってるんだ。イカ墨パスタは美味しいが、それがちょっと難点だな」
フォルテは悪戯が成功した様な笑みで、鏡でケミーニアが自分の顔を見える様に見せた。
「おお、本当ですね! でも、とっても美味しいので問題ありません!」
ケミーニアは、恥ずかしさよりも食欲の方が勝っているようである。
しかし、それを見てレイアはやはり女性だからかして、イカ墨パスタを食べるのを躊躇っているようである。
ヤコブは慣れた仲間だけなので、進んで食べて「あの黒い墨がこの様な味わいとは」と言って驚いている。
フォルテは、ペスカトーレのトマトと魚介のハーモニーを味わい、幸せを噛み締める。
海産物をまたこれほど好き放題食べられる日が来るなんて死ぬ前は思っても見なかったからだ。
この幸せを、この国の民にも教えてあげたい。
フォルテは楽しそうに食事をする仲間達を見ながら、明日漁師達に提供する料理をお好み焼きの他にも沢山考えるのであった。
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