殺人鬼と綺麗な人形はやがて手を取り涙する

なつみかん

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不幸自慢編

人形は孤独から仲間を探した-8 ★◆

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【CASE2 KYOKA】

それは恭華が監禁され、数日後のお話。

「ふざけんなっ!!毎日毎日しつこいんだよ!こっちの体力も考えろ!」
その週、恭華は疲弊していた。疲弊からくる苛立ちを発散したかったのだ。毎日変わらずニヤニヤしている男に腹立ち、怒鳴り散らす。

監禁生活がスタートした直後ということもあり、恭華の精神は不安定だった。そんな中、毎日夜明けまでキツネにいいように抱かれ、心身共に衰弱していたのだ。

「恭華さん、貴方は僕の玩具ですから・・・」
キツネはそれ以上口にしなかったが、開かれた細い眼が、お前に拒否する権限はないとそう強く訴えていた。

そんなことは分かっている。だけれども、だ。
恭華は悔しさにギュッと唇を噛み締める。

「やってらんねー、俺帰る!」
既に逃げることは諦めている。だから一時的な帰宅を望んだだけだ。

監禁されてずっとキツネに大人しく・・・少し反抗しつつも付き合ってきたのだ。少しくらいの休暇は当然の権利だ。

だが立ちふさがったキツネがそれをさせない。

「行かせませんよ、恭華さん」
パシッと恭華の手首を捕まえ、今日も強引にベッドへと引きずっていこうとする。

「ヤメロッ!!!離せっ!!」
キツネの腕を振りほどこうと乱暴に腕を振り上げた。

振りほどけないのも分かっていた。力で敵うはずがないことも。ストレスばかりが溜まるこんな日がこの先いつまで続くのかと気も滅入っていたのだ。

「クソッ!離せよ!」
だからこそ、感情的になり、暴力という方向に向かってしまったのだ。空いている腕を振り上げ、キツネの顔を目掛けて拳を振るう。

「恭華さん、僕とヤル気ですか?」
もちろんあっさりと拳を横目で流しながら避け、恭華を牽制するようにその瞳が開かれた。

バーンッ

馬鹿デカい音を耳にした、次の瞬間には壁に縫い付けられていた。

「カハッ・・・」
背中を強打した恭華が苦しさに呻く。
恭華の両手首を一括りにし、壁に強く叩き付けられたのだ。

「恭華さん、貴方は玩具です。立場を弁えてください。今謝るならばお仕置きは軽くしますよ」
「謝るかよっ!離せ、帰せって言ってるだろ!?」
グッと腕に力をこめるが動かない。こっちは両手、相手は片手なのに圧倒的な力の差を見せつけられ、分かってはいたものの情けなさや憤りが込み上げる。

キッとキツネを睨み据えた恭華が自由の利かない手の代わりに膝を蹴り上げる。

ドカッとキツネの腹部に見事に命中したのを確認し、その足を伸ばしそのまま蹴り飛ばす。
が、足は伸びなかった。まったくキツネが動じなかったためだ。

「フフッ、恭華さん足癖が悪いですね」
鼻先がくっつきそうなほどに顔を近付けたキツネがニタァと口元を歪めていく。

「うるさいっ!・・・ペッ!!」
キツネの顔を押しやる術を持たない恭華が、唾をキツネの頬に吐き捨てる。

「おやおや、素行も悪いようで。ですが、僕を喜ばせるだけですねぇ❤」
頬についた恭華の唾に舌を伸ばし、ベロリと嬉しそうに舐め取っていく。

「キモっ・・・」
ゾワッと寒気を感じ身震いをさせた恭華が思わず呟いた。

「でもよく分かりました。恭華さんには自覚が足りないようですね。僕に対する恐怖心が不足しています・・・もう少し必要なようですね。それと、躾も。改めて貴方がどんな立場にあるのか教えて差し上げますよ」
キツネの細い眼が開かれ、一気にその雰囲気が凍り付く。

寒気すら感じる男の殺気にカタカタと身体を震わせ恭華の動きも凍り付いた。

「い、家に・・・」
家に少し帰りたい。どんな仕事にも休日くらいあるだろう?ただそれだけだと言いたいのに何故この男は分かってくれない。

だがパクパクと口を動かすだけでそれ以上の言葉は続けられなかった。全身の筋肉が動かす事を拒否しているように硬直し、動けない。
声帯を動かす僅かな筋肉でさえ例外ではなかった。

「貴方は僕の玩具です、貴方は僕からは逃れられないんですよ。いいですね?」
普段よりも声を低くして恭華の恐怖心を煽る。

目を伏せ、長い睫毛を震わせている恭華の顎を掴み、クイッと持ち上げる。

ただただ首を気持ち横に振ることしかできない。その恭華の顔の横まで自分の顔を近付け、耳元でボソッと囁く。

「ただ首を縦に振ればいい。貴方は僕の人形なんですから」
恭華の顎を離した男の手は、スーッと恭華の首へと運ばれた。

「うっ・・・ぐっ・・・」
徐々に締め上げられ、つま先が床に軽く触れる程度まで、持ち上げられる。

「く、苦っ・・・・」
首を絞めているキツネの腕を両手で掴み、引きはがそうとする。
苦しさから息ができずに顔を赤くしていく。

「はいはい、そうですね、少々静かにしていてくださいね」

ガッ

「っ!!」
突然顔を殴られ、痛みに顔を歪める。血の中に鉄の味を感じた後にツーっと口の端から生温かい液体が流れる。

ガンッ

「ゴフッ!!」
腹部に重い拳が打たれ、恭華の口から血液の混じった唾が飛散した。

ガンッ

「グッ!ガッ!ゲホッ!」
壁にめり込むように打たれるその打撃は、一打では終わらずに何度も何度も恭華の腹に見舞われる。

「大変ですよ、まったく。部屋の中を壊さないように力を抑えなければなりませんから・・・」

ガンッ

そうぼやきながらも壁がミシミシと音を立てる程の力で恭華の腹部を殴り続ける。

「ぁ・・・・ぅ・・・・」
開いた口からダラダラと唾液を流す。

頚動脈をしっかりと締め上げられ、腹部に打たれた拳の痛みが分からない程、意識が朦朧とする。視点が定まらず、目の前の男がぼやけて見える。

視界が暗転する、そう感じた瞬間にドサッと床に投げ捨てられた。

「ぅっ!・・・ゴホゴホッ、ゲホゲホッ・・・」
受け身さえ取れずに乱暴に落とされた恭華は、腰を殴打し痛みに呻く。

「恭華さん、貴方は僕の玩具、僕の言うことさえ聞いていればいいんです。分かりましたね?」
フローリングに這いつくばって、ハァハァと息を荒くする恭華を、キツネが冷たく見下ろす。

「ケホケホッ・・・ハァハァッ」
涙目になりながら、男を見上げ、小さく首を振る。

「そうですか・・・」

「ひっ・・・」
先程よりも遙に重々しくなった空気と声に、呼吸を整えていた恭華の喉が鳴る。

再び恭華の首を捕え、片手で軽々と持ち上げていく。

「や、やめ・・・くっ・・・かっ・・・」
壁に再び縫い付けられ、再現VTRを観ているかのように締め上げられる。

ガンッ

「ぐっ!・・・」
腹だけではなく、腕や肩なども容赦なく殴りつけられ、身体のいたる箇所から動きを封じられる。
痛みと苦しさから逃れるように壁に足の裏をつけ、カリカリと壁を足の爪で掻いていく。

ガンッ

「ガハッ!」
恭華の目の端から生理的な涙がポロリと零れ落ちる。

苦しい。酸素の通り道を塞がれているにもかかわらず、腹部に強い衝撃を与えられているため、呼吸の仕方が分からない。

カフカフと喘ぐように空気を吸い続ける。

吸っても吸っても脳に回る酸素が足りない。真っ暗になっていく視界と正常な思考を失っていく脳。

ドサッ

「ゴホッゴホッ・・・」
無造作に投げ捨てられ膝をついて床に崩れたものの、その姿勢さえ苦痛で、すぐに蹲るように転がる。

「恭華さん」
キツネが皆まで言わずとも恭華が小さく首を振る。

「ハァ・・・まったく貴方も強情ですねぇ。それとも本当は痛いのがお好きですか?苦しいのが気持ちいいですか?」
キツネの手が恭華の首へと伸びていく。

「ゃっ・・・」
魔の手から逃れるようにビクッと身を縮める。

無情にも男の手中に捕まった恭華は再び首を絞められ、殴り続けられた。同様のサイクルが何度も繰り返され、恭華が首すら振らず、痙攣するようになった頃、ようやくキツネの手が止まった。

「フフッ、恭華さん随分大人しくなりましたね」
大人しくなったのではなく、衰弱から言葉を発することすらできなくなった恭華を見下ろしながら、キツネが悠長に告げる。

そして何の抵抗もしなくなった恭華をベッドに引きずると、既に興奮し硬く熱くそそり立つそれを前戯なく背後から突然突っ込む。

「ぃっ!・・・ぅっ・・・」
悲鳴さえろくに上げることができない恭華が小さく呻く。
キツネに揺さぶられるままに腰を振り、パンパンと肉を打たせる。

「抵抗されると嗜虐心が湧くんですがねぇ・・・こうも何の反応もないとそれはそれで面白くないですね・・・」
背後から恭華の腕を取る。

無理な姿勢に腕を取られ、若干の痛みを感じるものの、既に抵抗する力のない恭華はハアハアと苦しそうな呼吸を繰り返すだけだった。

キツネの手が肩の根元に置かれ、徐々に力が加えられる。

ゴキンッ

「アアアアーーーッ!」
恭華の背中がのけ反り、腹部にキュウッと力が籠もる。
痛い、痛いと小さく呻くように泣き啜る恭華を見て、キツネの口角がニンマリと上がる。

「フフッ、やっぱり締まりますね❤大丈夫です、折れていませんから。関節を外しただけです。外す時もはめる時もやり方一つで激痛を与えられるんですよ?こんな風に」

バキッ

「アーッ!!・・・・くっ!」
ポロポロと涙をこぼし、力なくシーツに倒れ込んでいくが、キツネに引かれている腕がそれを許さない。

「うぅっ・・・」
「フフッ、泣いている貴方は大変魅力的です」
恭華の髪を鷲掴みにし、引き上げた頬に流れる涙をベロリと舐め上げる。
最奥を殴りつけるように激しく腰を打ち付け、キュウキュウと絡みつく肉壁を擦り上げていく。

その後も次々と関節を外し、恭華の悲鳴を聞いては興奮し、恭華の腹に熱い飛沫を放っていった。

やめて、と弱々しくうわごとを繰り返し囁く恭華を無視し、恭華への苛めは恭華の意識がなくなるまで続いた。
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