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友達はともだち③

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チュンチュンチュン…
カーテンの隙間から陽の光が入る……フィナはゆっくりと目を開け身体を起こし軽く伸びをしてからベッドの梯子を下りる。
準貴族が利用する部屋はベッドの下が机や制服をかけられる場所になっている。
貴族の方は1人一部屋のここよりも部屋が広くお風呂やトイレもついておりバルコニーも付いている。
フィナは小さな洗面台で顔を洗って制服に着替えているとリナが寝ぼけながらベッドから身を乗り出し声をかける。
「うぅ~ん、あれぇ?今日は学校休みだけどフィナどこかに行くの?」
「うん、サークルに顔を出そうと思って」
「まだ早いから誰もいないかもよ?」
「でも今作ってる作業の続きをしたいからそれをしながら誰か来るの待つよ」
「そっか、私はあともう一眠りしたら行くね」
「ゆっくりで大丈夫だよ、行ってきます」
「いってらっしゃ~い」
バタン……
(フィナなんか吹っ切れた顔してるなぁ~フィナの恋が叶いますように……)



サークル部屋に着きドアを開けると中にモルの姿があった。
「おはよう~モル早いね?」
「おはよう、そういうフィナも早いですね」
「うん…なんか目が覚めてしまって」
「……また1人で考え事ですか?」
「えっ?ううん!今回はリナが話を聞いてくれたから違うよ!」
「リナがですか?」
「うん、話を聞いてもらって気持ちの整理ができたから目覚めもよくて」
「そうですか、それなら良かったです……あの噂がまさか本当だったとは…」
「えっ…まさかモルも知ってるの!?……もしかして私以外の全生徒が知ってるってことは……」

「それはさすがにないから大丈夫だよ~知ってるのは僕達サークルメンバーと生徒会メンバーくらいだから~」
「……………………………えっ?セーちゃんいたの?」

ソファーで寝てたセダ・ポロルグが話しに参加してきた。

「ひどいなぁ~最初からいたよ~ねぇ?モルいたよね?」
「……………………………はい、いましたよ」
「ほらぁ~」

(いやいや!!完全に気配消してたよね!?ってか絶対にモル気付いてなかったでしょ!?)

(…………いたのわからなかった)

「……セーちゃん度々、気配消すのやめて…心臓に悪いから」
「ごめんごめん、だって寝てたら楽しそうな話をしてたから……それで?あの鉄仮面の宰相閣下の嫡男リオドル・デ・ガールが好きなの?」



「……………………………………はっ?今誰って言ったの?」
「えっ、だからリオドル・デ・ガール………えっ?違うの?」
「違うから!!ってかなんでそんな噂が!?」
(あれ………そういえば……リナも鉄仮面とか言ってたような…………やばい完全に詰んだ……なんか所々話が噛み合わないなって思ってたらこういうことだったんだ…)

「ちょっと待ってください、そうなるとフィナの片想いの貴族というのは誰なんですか!?」
「そうだよね…他にフィナと接点がある貴族なんかいたかな?」

2人が顔を合わせるなりこっちを見てきた…


「えっ…あの…その……私が好きな人は…」

「「……好きな人は?」」

「………………第一王子キル・ロイド・ファルデリック……です……」

「「えっ……」」
「いや!!言わなくてもわかってるよ!そもそも貴族というより王族の方なのもわかってるし!私なんかが好きになっていいわけでもないし!向こうは友達としか思ってないこともわかっ…」
「フィナ!!ちょっと待って!もう一度確認させてほしいんだけど…本当に第一王子キル・ロイド・ファルデリックが好きなの?」

「………えっ、そうだけど…なに?」

セダとモルは顔を合わせるなり頷きフィナの方を見る

「なっなに?もしかして王族を好きになったら国外追放とかになるの!?」

「………フィナ……落ち着いて聞いてください……第一王子キル・ロイド・ファルデリック殿下は半年前から原因不明の昏睡状態なんです…………」

「………………はっ?なにそれ?半年前って…そんな話を私が信じるとでも?あっ、そう言ったら私がキル王子を好きなのを諦めるって思って嘘を…」
「嘘じゃないよ……学園に通ってるほぼ全員が知ってる話だよ」
「でも私は聞いたこともないよ!?」
「フィナは殿下のことで騒動があったとき体調崩して実家に帰ってたからだと思います……すみません、普段から貴族の方の話とか興味ないって言ってたので話してませんでした…」

(違う……モル達のせいじゃない……前世の記憶から貴族と関わらないようにしてきた私のせいだ……でも私は確かにキル王子と会って話してプレゼントまでして……)

感情がぐちゃぐちゃになりながらも確かめたくて気がつけばサークル部屋から出て走り出していた。
セダとモルが叫んで呼び止めてもわからないくらいにただひたすら走り続けいつの間にか噴水まできていた。
周りを見渡しキル王子を探す。


「キル王子!……キル王子!どこですか!?」
目から涙が溢れこぼれ出し制服の袖で涙を拭うもまた涙がこぼれ出し視界がぼやけまた袖で涙を拭こうとしたときに後ろから優しく手を掴まれずっと聞きたかった声が聞こえた。


「そんなに袖で拭いたら目が痛くなるだろ?」
「…………キル王子?」
「どうした?」
(あぁ、私の好きな人の声だ…姿を見なくてもこの優しい声は間違いなくキル王子だ)
「………キル王子」
「………なんだ?」
「……手を離して姿を見せて下さい」
「それは友達としてのお願いか?」
「………はい」
「じゃあ、ダメだな」
「どうしてですか?」
「……君が……フィナが嘘を言ったから…」
「……なんですかそれ…」

下を向いていた顔を上に向け涙が頬をつたうときフィナはキルに囁いた。




「……………好きです…キル…」




「…………私もフィナが好きだ……愛してる…」




掴んだままの手にキルは口付けをし……身体が徐々に透き通っていき消えていった





フィナは振り返らずに佇んでいると茂みの向こうからリオドルが出できた。


「これは一体……どういうことですか!?」







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