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友達はともだち②
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キルと別れ黒曜石で作られた渡り廊下を歩いてると左腕を急に掴まれそうになり左腕を背中にまわし右手で相手の手を掴み相手の首に右肘突き壁に叩きつける。
「誰!?」
そう言って見上げるとそこには宰相の嫡男リオドルだった…
慌てて手を離し離れるとリオドルはやっと呼吸をしゲホゲホしている。
少し涙目になりながらフィナに話しかける。
「はぁはぁ…まさかこんな手荒な歓迎を受けるとは思いませんでした」
「急に掴まれそうになったら誰だって身構えますよ」
「……普通の貴族令嬢は身構えたりしませんよ」
「すみませんね~貴族でも準貴族なのもので己の身は己で守れがうちの家訓なものですから」
リオドルはハンカチを取り出しモノクルを磨きかけ直す
「そんな家訓聞いたことないですよ」
「とにかくこれは不可抗力なので罰はなしにしてください!」
「はぁ~、言いませんよ…私も女子生徒に手を出した等と噂を広めれても困りますから」
「それよりいきなりこんなことをした理由はなんですか?」
「………単刀直入に聞きますが第一王子と会ったのは貴女ですか?」
「………なぜそう思うのですか?」
「先程、噴水に足を運んだときにあなたの声と微かに第一王子の声が聞こえたもので」
(それはもう現場を見ましたって遠回しに言ってるのと同じじゃないか……もう隠すのは止めよう………ん?……もっもしかして私が泣いたりずっと友達宣言したのも全部見られてる……?)
恥ずかしさに顔が真っ赤になり両手で顔を隠す。
「どうして何も言わないのですか?というより顔が真っ赤ですよ?」
「私達の会話どこまで聞いてたんですか!?」
「えっ?どこまでと言われましても…あなたが何かを」
「あぁぁぁーーー!言わなくていいです!」
「なっなんですか?!急に大きな声を出して」
「もうわかりましたから私はこれで失礼します!」
「えっ?はっ?いや私の質問に答えてくぅ」
フィナは黒曜石の廊下を全速力で走り出して見えなくなっていた。
「………足早いな」
(彼女のさっきの行動が気になる…フィナ・ランペーン…もう一度調べてみるか)
(あぁ~……やってしまったぁ~まさか聞かれてたなんて…しかも条件反射とはいえ手を上げてしまった……罪は問わないって言われたけど顔合せづらい…出会さないように気をつけなきゃ……)
部屋に戻りベッドに横になってキルに言われたことを思い出していた…キルの指が頬に触れたところに手をあてていると急にドアが開きリナが押しかけてくる。
「フィナ!!あの噂は本当なの!?」
いきなり入ってきたリナにびっくりして起き上がると肩を掴まれぐわんぐわんと揺らされる。
「ちょっ……リナ落ち着いて…噂ってなに!?」
リナはハッとし肩から手を離し自分の胸に手をあてて深呼吸をする。
「落ち着いた?」
「うん……」
「とりあえず、私もさっき帰ってきて喉が乾いたからお茶を淹れるね」
お茶はいつでも飲めるようにちょっと大きめのガラスの水差しに水が入っている。
ガラスポットが置ける陶器型のアロマポットを代用して作った湯沸かしでお茶を作る。
いつでも温かいお茶が飲みたくて顔なじみの陶芸の先生と試行錯誤しながら作ったのだ。
キャンドルと見た目は似てるがこの世界のキャンドルは溶けにくくお茶を沸かす温度まで上げられるので便利だ。
小さい丸いテーブルにお茶を運び椅子に腰を掛けカップを手に取る。
リナがお茶を一口飲み「ふぅ」と落ち着いたのを見て自分もお茶を飲む。
「ねぇ、フィナ……貴族の方と密会してるって本当?」
「ぐぅほっ!」
(やばい…変な咳込み方したせいで喉が痛い!!)
「フィナ…本当なの!?」
「ちょっ……ゴホゴホッ…まっ…」
「どうして…答えてくれないの!?」
(むせてるのが見えんのか!!鬼か!!)
「やっぱり…この間の手作りの小物入れは好きな人へのプレゼントだったのね」
(やっと…落ち着いてきた…むせてるときって話せないから孤独になった気分だな…)
そんなことを考えてるとリナが私の方を見てきた。
「それで?どうなの?」
(あれ?自分で自己完結したんじゃなかったんだ)
「………その密会とかじゃなくて友達になってほしいって言われて…」
「えっ!?あの鉄の仮面と言われてる人が!?」
「!?」
(たしかに最初会ったときはあまり表情を出してはなかったけど…鉄の仮面って言われるほどではないような…強いて言うならクールかな?)
「えっ?フィナが会ってる人って貴族の方よね?」
「うん…貴族の人だね」
(貴族というか王族…)
「じゃあ、やっぱり噂は本当だったんだね」
「……今まで黙っててごめんね」
「ううん、フィナのことだから巻き込まないようにって思ってのことでしょ?」
「リナぁ~…ありがとう!」
わかってくれたことが嬉しくて思わずリナに抱きついた。
「フィナ……その人のこと好きなの?」
「……………うん」
「そっか……好きならしょうがないね」
「…………うん」
「辛いときは私がいることを思い出してね……絶対に1人で考えないでね…私達はいつでもフィナの味方だから」
「………ありがとう」
リナの温かい気持ちが嬉しくて涙がこぼれた。
リナはそれを見てポケットからハンカチを出し涙を拭いてくれた。
「誰!?」
そう言って見上げるとそこには宰相の嫡男リオドルだった…
慌てて手を離し離れるとリオドルはやっと呼吸をしゲホゲホしている。
少し涙目になりながらフィナに話しかける。
「はぁはぁ…まさかこんな手荒な歓迎を受けるとは思いませんでした」
「急に掴まれそうになったら誰だって身構えますよ」
「……普通の貴族令嬢は身構えたりしませんよ」
「すみませんね~貴族でも準貴族なのもので己の身は己で守れがうちの家訓なものですから」
リオドルはハンカチを取り出しモノクルを磨きかけ直す
「そんな家訓聞いたことないですよ」
「とにかくこれは不可抗力なので罰はなしにしてください!」
「はぁ~、言いませんよ…私も女子生徒に手を出した等と噂を広めれても困りますから」
「それよりいきなりこんなことをした理由はなんですか?」
「………単刀直入に聞きますが第一王子と会ったのは貴女ですか?」
「………なぜそう思うのですか?」
「先程、噴水に足を運んだときにあなたの声と微かに第一王子の声が聞こえたもので」
(それはもう現場を見ましたって遠回しに言ってるのと同じじゃないか……もう隠すのは止めよう………ん?……もっもしかして私が泣いたりずっと友達宣言したのも全部見られてる……?)
恥ずかしさに顔が真っ赤になり両手で顔を隠す。
「どうして何も言わないのですか?というより顔が真っ赤ですよ?」
「私達の会話どこまで聞いてたんですか!?」
「えっ?どこまでと言われましても…あなたが何かを」
「あぁぁぁーーー!言わなくていいです!」
「なっなんですか?!急に大きな声を出して」
「もうわかりましたから私はこれで失礼します!」
「えっ?はっ?いや私の質問に答えてくぅ」
フィナは黒曜石の廊下を全速力で走り出して見えなくなっていた。
「………足早いな」
(彼女のさっきの行動が気になる…フィナ・ランペーン…もう一度調べてみるか)
(あぁ~……やってしまったぁ~まさか聞かれてたなんて…しかも条件反射とはいえ手を上げてしまった……罪は問わないって言われたけど顔合せづらい…出会さないように気をつけなきゃ……)
部屋に戻りベッドに横になってキルに言われたことを思い出していた…キルの指が頬に触れたところに手をあてていると急にドアが開きリナが押しかけてくる。
「フィナ!!あの噂は本当なの!?」
いきなり入ってきたリナにびっくりして起き上がると肩を掴まれぐわんぐわんと揺らされる。
「ちょっ……リナ落ち着いて…噂ってなに!?」
リナはハッとし肩から手を離し自分の胸に手をあてて深呼吸をする。
「落ち着いた?」
「うん……」
「とりあえず、私もさっき帰ってきて喉が乾いたからお茶を淹れるね」
お茶はいつでも飲めるようにちょっと大きめのガラスの水差しに水が入っている。
ガラスポットが置ける陶器型のアロマポットを代用して作った湯沸かしでお茶を作る。
いつでも温かいお茶が飲みたくて顔なじみの陶芸の先生と試行錯誤しながら作ったのだ。
キャンドルと見た目は似てるがこの世界のキャンドルは溶けにくくお茶を沸かす温度まで上げられるので便利だ。
小さい丸いテーブルにお茶を運び椅子に腰を掛けカップを手に取る。
リナがお茶を一口飲み「ふぅ」と落ち着いたのを見て自分もお茶を飲む。
「ねぇ、フィナ……貴族の方と密会してるって本当?」
「ぐぅほっ!」
(やばい…変な咳込み方したせいで喉が痛い!!)
「フィナ…本当なの!?」
「ちょっ……ゴホゴホッ…まっ…」
「どうして…答えてくれないの!?」
(むせてるのが見えんのか!!鬼か!!)
「やっぱり…この間の手作りの小物入れは好きな人へのプレゼントだったのね」
(やっと…落ち着いてきた…むせてるときって話せないから孤独になった気分だな…)
そんなことを考えてるとリナが私の方を見てきた。
「それで?どうなの?」
(あれ?自分で自己完結したんじゃなかったんだ)
「………その密会とかじゃなくて友達になってほしいって言われて…」
「えっ!?あの鉄の仮面と言われてる人が!?」
「!?」
(たしかに最初会ったときはあまり表情を出してはなかったけど…鉄の仮面って言われるほどではないような…強いて言うならクールかな?)
「えっ?フィナが会ってる人って貴族の方よね?」
「うん…貴族の人だね」
(貴族というか王族…)
「じゃあ、やっぱり噂は本当だったんだね」
「……今まで黙っててごめんね」
「ううん、フィナのことだから巻き込まないようにって思ってのことでしょ?」
「リナぁ~…ありがとう!」
わかってくれたことが嬉しくて思わずリナに抱きついた。
「フィナ……その人のこと好きなの?」
「……………うん」
「そっか……好きならしょうがないね」
「…………うん」
「辛いときは私がいることを思い出してね……絶対に1人で考えないでね…私達はいつでもフィナの味方だから」
「………ありがとう」
リナの温かい気持ちが嬉しくて涙がこぼれた。
リナはそれを見てポケットからハンカチを出し涙を拭いてくれた。
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