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リオドル・デ・ガールの苦難①
しおりを挟む陛下と父に託されたブレスレットをイルディル殿から預かり左手にはめ学園に戻るもキル王子の寮部屋や教室、生徒会室どこを探してもブレスレットが光ることはなかった…
「一体どこにおられるのか……あとはキル王子が倒れた場所だけ…」
不安な気持ちを抱えたまま裏校舎にある噴水場所まで足を運ぶ………だが倒れた場所やベンチ、噴水周りを調べてもブレスレットが光ることはなかった……
「っくそ!どうして光らないんだ!」
(このままでは陛下や王妃様に顔向けできない)
ベンチに座り他にキル王子が好きな場所がないか考えるが何も思い浮かばないため、生徒会室に戻ることにした。
生徒会の業務が溜まってるため、キル王子がいない間は私が指示を出し書類整理をした…授業には出ずにキル王子の捜索に時間を費やしたがブレスレットが光ることはなく只々月日が過ぎていった…
父から手紙が届いた…内容は「一度、陛下に謁見するように」と記されていた
「青き太陽にご挨拶申し上げます」
「リオドルよ…さっそくで悪いんだが王子は見つかったか?」
「………申し訳ありません……学園の隅々まで探しているのですがブレスレットが光らず……誠に申し訳ありません!!」
「イルディル殿、本当にブレスレットが光るのか?リオドルに託してもう3ヶ月になるんだぞ?」
「一つの魂を探すのは容易ではないのです、キル王子が強く想ったことが何かわかれば手掛かりになるのですが…」
「………理由がわかってもここまでとは…」
「あの……生徒会メンバーにキル王子のことを伝えても宜しいでしょうか?生徒会メンバーに隠しながら探すには限界がありまして…」
「陛下、リオドルはキル王子の変わりに生徒会の仕事も引き受け授業を受けずに捜索もしており負担がかかっております」
「そうだな……生徒会メンバーなら信頼できる者達だ…話しても問題にはならないだろう」
「それにあの方もおりますので協力してもらえるかと思います」
「そうか!たしか学園に息子がいたんだったな!では手紙を書くとしよう」
「………陛下?あの方というのは?」
「あぁ、そうかまだ話してなかったな」
「リオドルも王家を支える者です、隠すことはないでしょう」
「そうだな、ではリオドルよ今から話すことは王家の機密が故に誰にも他言しないと誓えるか?」
「はい!青き太陽に誓います!」
「では、話そう…この国が150年程前に隣国と口論になり戦争になった話だ……まあ、リオドルも歴史の授業で知ってはいるだろう」
「はい、隣国と輸入の取引のことで口論になり戦争に至ったと聞きました」
「そうだ、そのときの我が国は武器も少なく怪我をした騎士たちが増えるばかりでいつ白旗を上げてもおかしくなかった……その危機的状況を勝利へと導いてくれたのが彼らだった」
「あの、おとぎ話のような話は本当だったのですか!?」
「あぁ、君達がおとぎ話だと思ってる彼らは実在するし今も陰ながらに助けてくれている」
「今もということは…まだ受け継がれているのですか?でも彼らを見たものはいませんよね?」
「彼らが150年前に力を貸す代わりに条件を出したのだ」
「条件?」
「戦争に勝っても負けても家紋の名前を公表しない、爵位を上げたりしない…この2つの条件を守ってくれるなら力を貸すとのことだった」
「そんな……なぜ彼らは出世することを拒んだのですか!?」
「彼らは…………目立ちたくないそうだ」
「……………………………………はっ?」
「………………欲がなく……面倒くさいが理由だったな」
「めっ…………めんどくさい?」
「ちょっと待って下さい、おとぎ話にも彼らとありますが正確には何人いらっしゃるんですか?」
「……彼らは5人だ」
「貴族の方ですか?」
「………昔も今も準貴族だ」
「準貴族…………もしや生徒会にいるセダ・ポロルグが彼らの子孫の1人なのでしょうか?」
「そうだ、君達が許可を出したジオラマサークルのメンバーのリナ・ポマード準男爵令嬢、コル・シャード騎士爵令息、モルダ・ジャンク騎士爵令息……そしてフィナ・ランペーン準男爵令嬢が彼らの子孫だ」
「そんな………ではもしやキル王子はそのことを知って」
「いや、まだあやつには話してはいない」
「ですが以前、キル王子がジオラマサークルのことを気にかけていたことがありました」
「それは本当か!?」
「はい、間違いありません」
「では、彼らの家紋には私から速達で手紙を出す、返事がくるまでリオドルは別室にて待機していてくれ」
「はい、では失礼致します」
リオドルは別室に行きソファーに座ると緊張や焦り疲れが押し寄せいつの間にか重い瞼を閉じていた…
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