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キル・ロイド・ファルデリック③
しおりを挟む血を流し倒れているキル王子を見つけたあとすぐに医師を呼んだが意識は戻らなかった……国王陛下が王宮医師を派遣し王子を王宮まで運ぶも原因不明の昏睡状態に陥ってると言われ国王陛下は頭を抱え王妃は泣き崩れた。
リオドルは自分がキル王子の側を離れたことを悔いたが陛下や王妃は咎めることはなかった。
だが今回の原因である元婚約者候補の1人キャルドナ・フォン・ランケール令嬢は王族に危害を向けた罪で身分を剥奪され修道院送りとなりランケール家は貴族を剥奪され僻地へ飛ばされた。
「王子の意識はまだ戻らないのか?」
「最善を尽くしていますが…原因がわからず……誠に申し訳ございません」
「…………はぁ、もうよい下がれ」
王宮医は頭を下げ退室する。
「どうしたものか……」
「陛下、少し宜しいでしょうか?」
声をかけたのはリオドル・デ・ガールの父、ゲイル・デ・ガール宰相だった。
「何か良い案でもあるのか?」
「キル王子が意識不明になってからもう2ヶ月が経ちます」
「2ヶ月か……もうそんなに経ったのか」
「はい……この事実を知る者は一部とはいえ、王子の姿が見えないと怪しむ者も出てくるでしょう」
「わかっている……だが原因がわからない以上どうすることもできない」
「そこでなんですが魔塔主の力を借りてはどうでしょう?何か原因がわかるかもしれません」
「魔塔主……たしかに原因がわかるかもしれないすぐに取り繋いでくれ!」
「畏まりました」
後日、魔塔主イルディル・ラディーンが王宮に駆けつけた。
「青き太陽にご挨拶申し上げます」
「急な呼びかけにもかかわらずよく来てくれた」
「陛下の命令とあれば何時でも駆けつけます」
「感謝する」
「ところで手紙には会って話すとありましたが…」
「あぁ……実は…」
陛下は今までの経緯を話した
「キル王子が2ヶ月も昏睡状態!?それは本当なんですか!?」
「あぁ、事実だ……しかしこれはごく一部しか知らない…箝口令も出した…」
「そうでしたか……それにしてもランケール家は一体どういう教育をしてるんですか!!」
「イルディル殿、気持ちはわかりますが感情がダダ漏れです」
「わっ私としたことがすみません、陛下」
「いや、王子のことを思ってのことだ気にしなくていい」
「私は婚約者候補にランケール家が入っていたことが気にいらなかったんです、ですが王子が婚約者候補全員を白紙にしたと聞き安心していたのに……まさかこのようなことになっていたとは…」
「頼れるのはそなただけだ、引き受けてくれるか?」
「勿論です、原因を突き止めてみせます」
ゲイル宰相が口を開く
「王妃様は王子が倒れてから毎日、看病をされており食事や睡眠もろくに取っていないため、陛下が心配しております」
「わかりました、王妃様には何も言わずに安眠魔法をかけましょう」
「宜しくお願いします」
「着きました、こちらがキル王子の部屋です」
ゲイル宰相がドアをノックし、中にいた執事がドアを開ける。
「王妃様、魔塔主イルディル殿を連れて参りました」
「王妃様にご挨拶申し上げます」
「イルディル殿、よく来てくれました」
いつも若々しく清楚で綺麗な顔立ちをしている王妃が今はいつ倒れてもおかしくない程やつれていた。
魔塔主は挨拶を終えそっと王妃に近づき右手で王妃の目を塞ぎ安眠魔法をかけ倒れる王妃を執事とメイドが支え部屋へ連れて行く。
「王妃にはあとで謝ってて下さい」
「魔塔主を責める者は誰もいませんよ」
魔塔主はベッドに横になっているキルの近くに行きキルの手の上に自分の手を重ね呪文を唱える。
五分程経ったくらいに手を離し考え込む。
「イルディル殿何かわかりましたか?」
「………………はい、陛下のところに戻って話しますね」
「原因はわかったのか?」
「はい、わかりました」
「おぉ!それで王子は目を覚ますのか!?」
「順を追って説明いたします、まず王子が目を覚まさない理由からなんですが本人が身体にいないんです」
「「はっ……?」」
陛下と宰相は意味がわからないという顔をした
「えっとですね、人は身体と魂が合体して1人の人間となるんですが今の王子は身体だけであって魂が入っていないんです」
「つまり……魂が行方不明ということですか?」
「そういうことになります、ですがこういった事例はなかなかないんです」
「どういうことだ?」
「王子が頭を打つ前に何かを強く思われたことが原因ではないかと」
「それが分かれば魂の場所もわかるのか?」
「はい、そうですね」
「ですが…魂を見ることなんてできるんですか?」
「この魔晶石で作ったブレスレットをお使い下さい」
「これは?」
「王子の魂が近くにいたら光って反応するようにしてあります、光ったと同時にブレスレットの中に魂が入るようにしておりますので」
「なるほど!そうすればあとは魔塔主が王子の身体に魂を移してくれるのだな!」
「その通りです」
「だが魂を探すにはどこを探せば良いものか…」
「私が思うに…王子の魂は学園にいるのではないでしょうか?主に頭を打った場所だと思われます」
「では私の息子のリオドルに任せましょう」
「そうだな、リオドルなら学園にいても不思議ではないからな」
「魂を探す間はあの場所に生徒を近寄らせないようにしましょう」
「それではいつ皆にバレるかわからない」
「では、幽霊が出て呪われるという噂をたててみてはどうですか?」
「なるほど!それなら生徒は寄り付かなくなるな」
(ここは………なぜ私はここにいるんだ……思い出せない……何か大切なことを忘れている気がするのに…何も思い出せない……)
ガサッ
(………誰かいるのか?)
「あっ!やっぱりあったー!!綺麗などんぐり!」
(………………あっ……見つけた………やっと彼女に会えた………そうだ私は彼女に会う為にここにいたんだ…)
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