『10年隠した執着愛。元婚約者に捨てられた私は、ハイスペ同級生の甘い檻で二度と逃げられないほど塗り潰される』

小木楓

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第6話-2 ♥【決壊】「……明日、後悔しても遅いからな」

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「おい萌、さっきは悪かっ……って、おい」

心配して部屋から出てきた蒼の声が、リビングの入り口で止まった。

「……んぅ? あ、あおい~……?」

私はとろんとした目で彼を見上げた。

 視界がぐにゃりと歪む。

 目の前にいる蒼が、なんだか二重にも三重にも見えて、すごくキラキラして見える。

「お前、それ……!」

蒼が私の手元のグラスと、半分ほど減ったボトルを見て絶句した。

「それ、度数40度あるんだぞ!? お前どんだけ飲んだんだよ!」 

「えへへ……なんかねぇ、お水みたいで美味しかったのぉ……」

ふら、と立ち上がろうとして、足がもつれた。 重力に逆らえず、身体が前のめりに倒れ込む。

「っと! 危ねぇな!」

ふわり。 硬い床の代わりに私を受け止めたのは、蒼の温かい胸だった。

 鼻先をくすぐる、彼の匂い。それがたまらなく愛おしくて、私は猫のように彼の胸板に頬をすり寄せた。

「あおいぃ……あったかい……」 「っ、おま……!」

私の動きに合わせて、緩んでいたバスローブの襟元が、さらに大きくはだけた。

 湯上がりのピンク色に染まったデコルテ。

 アルコールで熱を帯びた、しっとりとした肌。 そして、無防備に見え隠れする胸の膨らみ。

蒼の腕が、ビクンと強張ったのが分かった。

「……萌」

頭上から降ってきた声は、今まで聞いたことがないほど低く、震えていた。

「これ以上、俺を試すな。……今離れないと、もう止まれねぇぞ」

警告。 

でも、酔いに支配された私の頭には、その言葉の危険さが届かない。 

むしろ、その熱い瞳に見つめられるだけで、身体の奥が甘く疼いてしまう。

「……とまんなくて、いいよぉ」

私は無意識に、彼の方へと腕を伸ばし、その首筋に手を回していた。

「あおい、して……?」

その一言が、最後の一押しだった。

「――――ッ、くそ!」

蒼の理性が、音を立てて弾け飛んだ。 

ガシッ! と強い力で抱きしめられ、そのまま私はソファへと押し倒された。

「んぁっ……!」

覆いかぶさる彼の影。

 眼鏡を投げ捨てたその瞳は、獲物を前にした獣のようにギラギラと燃えているけれど、どこか泣きたくなるほど愛しさに満ちていた。

「もう逃がさねぇ」

蒼の手が、私の頬を包み込む。

 その手は熱く、震えていて、私を壊さないように、それでいて二度と離さないという執着が滲んでいた。

「よくしてやるから……全部、俺に預けろ」

甘く、掠れた囁きと共に、唇が重なった。

「んんっ……、ぁ……っ」

それは、今までのような威嚇や焦らしのキスじゃなかった。 

互いの呼吸を奪い合い、魂ごと溶け合わせるような、深く、濃厚な口づけ。 アルコールの香りと、彼自身のムスクの香りが混じり合い、私の思考を完全にシャットダウンさせる。

「はぁっ、あお……っ、あつ……い……」 

「俺もだ……。おかしくなりそうなんだよ、お前のせいで」

バスローブの紐が解かれ、彼の熱い掌が、露わになった素肌を滑っていく。 

首筋、鎖骨、そしてその下へ。 彼が触れる場所から、花が咲くように快感が弾けた。

「かわいい……。全部、桜色になってる」 

「んぅ……っ、はずかし……っ」 

「隠すな。……ちゃんと見せて」

窓の外の月明かりだけが、絡み合う二人の影を照らしている。

 抵抗なんてできない。 だって、こんなに熱くて、こんなに愛されていると感じるのは、生まれて初めてだったから。

「萌……」 

「あお、い……すき……」

その言葉を合図に、蒼は私をさらに深く抱きしめた。 夜はまだ、始まったばかりだった――。

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チュン、チュン……。

爽やかな朝の光が、散乱した衣服と、ベッドの上で絡まり合う二人を照らし出していた。
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