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プロローグ「芽生え」
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この世界には全ての憎しみ、恨み、不幸を集めて煮詰めたような、神にすら忘れられた地が存在した。
荒れ狂う風はまるで踊るように姿形を変える。吹き荒れる風は大きく、小さな国一つを丸呑みにするような暴風は互いに消える事はないまま、何かの力が宿ったようにぶつかり合い、混じっては新たな暴風が踊り狂う。荒れ狂う暴風によって巻き上げられた岩は砕かれ、研磨し、小さな石礫となって弾き飛ばさる。
遮るモノのない空はカラカラに乾き、水を運ぶ雲のない空は暴風によって濁った青空が広がる。生物を跡形もなく消し去ってしまうような強烈な陽の光が大地に降り注ぎ、ベールのような意志無き影が揺らめく。
水を奪われ続けた大地は何かが這いずったように切り裂かれ、抉り取ったような跡がそこら中にあり、今もなお新しく刻まれ続ける。
鈍色混じりの茶色の大地を破り鬱蒼と生い茂るような葉はなく、枯れ朽ちた葉さえも陽の光に焼き尽くされてしまう。
生物が生きるのに必要な水は無く、濃淡の差が現れる大地に生物が存在する事を許さないような平穏とは程遠い死と不毛の大地。
生きとし生けるものを拒んだ大地は常に変化を刻み続けるだけで根本的な部分では何も変わりはしなかった——
〔※※自我の芽生えが検出されました…、……15%の自我を確認…、………29%の自我を確認…………50%の自我を確認……——〕
「……………。」
〔———……89%の自我を確認………、……99%の自我を確認——〕
「…………?」
——その日、変化が起きた。
生物の影すらなかった大地に突如として意志を持った生き物が目覚めた
〔——確認しました。称号〈覚醒者〉を獲得しました。※※〕
〔条件を満たしました。称号〈覚醒者〉により___による枷が消滅しました———〕
「……っ…ぁっ………っ?!」
イタッ……いたい?…あつい、あついアツイ……ネムッ…
………うるさい…チクチクする…いたい……ねむい、ネムイからネカセ……
「ヤッ!!」
いたく、ない……あつい…コノ、まま寝た……ぃ…。
〔固有スキル【溜める】、【吸収】のLvが10になりました。〕
〔固有スキル【溜める】に派生スキル【保管庫】が追加されました。〕
「…んぅ……?」
暑くない…ん?熱くない?…違うの?
「あ、うごく……?ん…?あー、あー……。ボク?そっか…ぼくの声か…うぅ、凍えるぅ?毛皮がないから?」
ぼくの体、変。毛が頭しかない。それにお肌がぽかぽかして土より柔らかい…。
「うぶぁっ?!」
うわーうわーど、どうしよぉ…頭がない、どうしようか、どうする?どうすれば…あ、戻った。
「び、びっくりした……ふはは、あははは!今の、今のおもしろかった!もう一回!」
僕の座っていた場所の近くに僕の掌ぐらいの石礫が落ちていた。唐突に吹き飛ばされる感じにドキドキする。体がキュッと縮こまる感じが可笑しくて、それから何度も何度も、趣向を変えては僕が飽きるまで遊んだ。その間も吸収は続け、気づけば固有スキルのレベルが50を超えて80に近づいていた。
その間に新しく追加された派生スキルは四つ。固有スキル【溜める】からはレベル20まで上げた時に派生したスキル【精製】、更にレベル40まで上げた時に派生したスキル【分類】。
固有スキル【吸収】からは【溜める】とは違ってレベル20まで上げた時に初めて派生したスキル【吸引】、更にレベル40まで上げた時に派生したスキル【支配】だ。
派生スキル【精製】は保管庫に入れてる石礫を2つから5つ用意して精製すると見た事ない透き通る黒に色んな色を閉じ込めた丸い石に変わる。最近は吸収した魔力も精製出来るって知って常に魔力の精製してる。
派生スキル【分類】は保管庫のモノが分かりやすくなった。精製した石礫や精製した魔力を間違える事が無くなった。最近だと石礫の精製に必要な石礫の数が保有している魔力量に関係していると気づき、今まで5つ用意していた石礫を2つまで減らす事に成功した。
派生スキル【吸引】は吸収より早く一定範囲のモノを一度に吸収出来る。ただ吸収と同じように常に吸引すると少し疲れる。最近は範囲を広げる事で目で見える範囲の風を吸引したり、範囲を狭める代わりに風と一緒に大地を削り取れるようになった。
派生スキル【支配】はより強く吸収したモノを思い通りに出来る。溜め込むだけだった魔力を思い通り動かせる様になってからは細かい微調整が出来るようになった。最近では魂も支配出来る事を知って支配している。
吹き飛ばされる遊びも飽きた僕は最近までスキルのレベル上げと副産物として得られる知識を求めて彷徨い続けた。
魂を支配した事で吸収していた時よりも格段に増えた知識によって知ったが、スキルとは不思議だ。スキルの本当の効果はステータスを見るまでは分からない。しかしスキルの使い方は魂に刻まれると言う。実際、分からなくてもスキルは使えた。
僕は固有スキルを持っているけど知識では固有スキルを持つ生き物は少ない。固有スキルそのものが強力な力であって、レベルを上げるのも困難だと言う。僕の派生スキルに関しては今のところ知識がない。
殆どが『二つに分かれた青白い光のいちごは精霊の好物だ』や『海に住む人魚にとって山菜が高級食材だ』等、断片的な知識が増えるばかりだった。
更に吸収しても最近は新しい魂がなかなか見つからなくて、僕は考えた。随分前に吹き飛ばされる遊びは飽きてしまった。固有スキルのレベル上げは常にしている事で、これ以上彷徨っていても新しい知識が得られる事がないように思える。
でももっと知りたい。僕が知らない事、スキルや知識だけじゃ物足りない。知識だけじゃない事を見てみたい。まだ知らないこの世界の事を想像すると、初めて石礫に吹き飛ばされた時とは違う胸の高まりを感じていつもと変わらない景色が少し輝いて見えた。
「ああ、楽しみだ!」
荒れ狂う風はまるで踊るように姿形を変える。吹き荒れる風は大きく、小さな国一つを丸呑みにするような暴風は互いに消える事はないまま、何かの力が宿ったようにぶつかり合い、混じっては新たな暴風が踊り狂う。荒れ狂う暴風によって巻き上げられた岩は砕かれ、研磨し、小さな石礫となって弾き飛ばさる。
遮るモノのない空はカラカラに乾き、水を運ぶ雲のない空は暴風によって濁った青空が広がる。生物を跡形もなく消し去ってしまうような強烈な陽の光が大地に降り注ぎ、ベールのような意志無き影が揺らめく。
水を奪われ続けた大地は何かが這いずったように切り裂かれ、抉り取ったような跡がそこら中にあり、今もなお新しく刻まれ続ける。
鈍色混じりの茶色の大地を破り鬱蒼と生い茂るような葉はなく、枯れ朽ちた葉さえも陽の光に焼き尽くされてしまう。
生物が生きるのに必要な水は無く、濃淡の差が現れる大地に生物が存在する事を許さないような平穏とは程遠い死と不毛の大地。
生きとし生けるものを拒んだ大地は常に変化を刻み続けるだけで根本的な部分では何も変わりはしなかった——
〔※※自我の芽生えが検出されました…、……15%の自我を確認…、………29%の自我を確認…………50%の自我を確認……——〕
「……………。」
〔———……89%の自我を確認………、……99%の自我を確認——〕
「…………?」
——その日、変化が起きた。
生物の影すらなかった大地に突如として意志を持った生き物が目覚めた
〔——確認しました。称号〈覚醒者〉を獲得しました。※※〕
〔条件を満たしました。称号〈覚醒者〉により___による枷が消滅しました———〕
「……っ…ぁっ………っ?!」
イタッ……いたい?…あつい、あついアツイ……ネムッ…
………うるさい…チクチクする…いたい……ねむい、ネムイからネカセ……
「ヤッ!!」
いたく、ない……あつい…コノ、まま寝た……ぃ…。
〔固有スキル【溜める】、【吸収】のLvが10になりました。〕
〔固有スキル【溜める】に派生スキル【保管庫】が追加されました。〕
「…んぅ……?」
暑くない…ん?熱くない?…違うの?
「あ、うごく……?ん…?あー、あー……。ボク?そっか…ぼくの声か…うぅ、凍えるぅ?毛皮がないから?」
ぼくの体、変。毛が頭しかない。それにお肌がぽかぽかして土より柔らかい…。
「うぶぁっ?!」
うわーうわーど、どうしよぉ…頭がない、どうしようか、どうする?どうすれば…あ、戻った。
「び、びっくりした……ふはは、あははは!今の、今のおもしろかった!もう一回!」
僕の座っていた場所の近くに僕の掌ぐらいの石礫が落ちていた。唐突に吹き飛ばされる感じにドキドキする。体がキュッと縮こまる感じが可笑しくて、それから何度も何度も、趣向を変えては僕が飽きるまで遊んだ。その間も吸収は続け、気づけば固有スキルのレベルが50を超えて80に近づいていた。
その間に新しく追加された派生スキルは四つ。固有スキル【溜める】からはレベル20まで上げた時に派生したスキル【精製】、更にレベル40まで上げた時に派生したスキル【分類】。
固有スキル【吸収】からは【溜める】とは違ってレベル20まで上げた時に初めて派生したスキル【吸引】、更にレベル40まで上げた時に派生したスキル【支配】だ。
派生スキル【精製】は保管庫に入れてる石礫を2つから5つ用意して精製すると見た事ない透き通る黒に色んな色を閉じ込めた丸い石に変わる。最近は吸収した魔力も精製出来るって知って常に魔力の精製してる。
派生スキル【分類】は保管庫のモノが分かりやすくなった。精製した石礫や精製した魔力を間違える事が無くなった。最近だと石礫の精製に必要な石礫の数が保有している魔力量に関係していると気づき、今まで5つ用意していた石礫を2つまで減らす事に成功した。
派生スキル【吸引】は吸収より早く一定範囲のモノを一度に吸収出来る。ただ吸収と同じように常に吸引すると少し疲れる。最近は範囲を広げる事で目で見える範囲の風を吸引したり、範囲を狭める代わりに風と一緒に大地を削り取れるようになった。
派生スキル【支配】はより強く吸収したモノを思い通りに出来る。溜め込むだけだった魔力を思い通り動かせる様になってからは細かい微調整が出来るようになった。最近では魂も支配出来る事を知って支配している。
吹き飛ばされる遊びも飽きた僕は最近までスキルのレベル上げと副産物として得られる知識を求めて彷徨い続けた。
魂を支配した事で吸収していた時よりも格段に増えた知識によって知ったが、スキルとは不思議だ。スキルの本当の効果はステータスを見るまでは分からない。しかしスキルの使い方は魂に刻まれると言う。実際、分からなくてもスキルは使えた。
僕は固有スキルを持っているけど知識では固有スキルを持つ生き物は少ない。固有スキルそのものが強力な力であって、レベルを上げるのも困難だと言う。僕の派生スキルに関しては今のところ知識がない。
殆どが『二つに分かれた青白い光のいちごは精霊の好物だ』や『海に住む人魚にとって山菜が高級食材だ』等、断片的な知識が増えるばかりだった。
更に吸収しても最近は新しい魂がなかなか見つからなくて、僕は考えた。随分前に吹き飛ばされる遊びは飽きてしまった。固有スキルのレベル上げは常にしている事で、これ以上彷徨っていても新しい知識が得られる事がないように思える。
でももっと知りたい。僕が知らない事、スキルや知識だけじゃ物足りない。知識だけじゃない事を見てみたい。まだ知らないこの世界の事を想像すると、初めて石礫に吹き飛ばされた時とは違う胸の高まりを感じていつもと変わらない景色が少し輝いて見えた。
「ああ、楽しみだ!」
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