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「名前で呼んでほしいなあって……」
「太陽?」
「そっちじゃなくて、本名の方」
マネージャーなのでもちろん彼の本名は知っていますけれど、なぜそれにこだわるのかが不明でした。
気分でも変えたいのかと太陽を眺めると、彼は至って真剣な顔をしていました。
どうやら本名で呼ぶしかないようです。
「……あさひくん」
意を決して呼ぶと、彼はうん、と嬉しそうに表情を緩めて相づちを返してきます。
私はといえば、声に出したら案外羞恥が湧き上がってしまい、赤らんだ顔をこっそりと背けました。
「やっぱり、こういう時はそっちの名前で呼ばれた方が嬉しい」
「どうしてそうなるのか、よくわかりませんが……」
理解が追いつかずに戸惑いましたが、彼が話すならそうなのでしょう。
「もっと呼んで」
「あっ……!」
体を強く揺すぶられ、粘着質な音が鼓膜を汚していきます。
ぐっちょりと濡れた結合部はとても見られたものではありませんでした。
「あさひ、くん……っひ、ああっ」
眩暈がしそうなほどの快楽に、我を忘れて声を上げてしまいます。
「雪乃さんの声、可愛い……」
吐息混じりに指摘され、余計に顔が熱くなります。
自分の喘ぎを聞かれることがとても恥ずかしく、私は声を堪え、太陽の胸に顔を埋めました。
立ち込める性の匂いに混ざって、彼の体臭が漂ってきます。
彼から漂う香りは私にとって好ましく、安心するものでもありました。
「……っ、あさひくん……んっ……あっ……!」
肌を密着させているこの時間が長く続けばいいのに、と思ったのも束の間、先に果てたのは私でした。
ビクビクと足先を揺らすと、釣られたように太陽も腰の動きを止めます。
彼は避妊具の中に精を吐き出した後、何度かゆったりとした動作で私の中を穿ち、そして熱の落ち着いたものを抜きました。
暴れる鼓動を静めるべく深呼吸を繰り返していると、太陽は私の体を反転させました。
視界がぐるりと回り、頭を乗せていたはずの枕が眼前に迫ります。
背後からは、新しい避妊具を開封する音が聞こえました。
この後に何をしようとしているのかは、この目で確かめなくとも理解出来ました。
まだまだ若いからでしょうか、一度では満足しなかったようです。
「ごめん、今日はちょっと激しくしちゃうかも」
「ちょっと、待っ……あ、んんっ!」
早くも復活した塊が再び体の中に入ってきて、意図せず高い嬌声が漏れてしまいますが、これからまた気持ちの良いことが待っているのだと思うと抵抗する気は湧きません。
宣言の通り、私はその晩何度も抱かれ、快感の余韻をしっかりと味わうこともできませんでした。
太陽に抱きしめられて微睡んでいる最中、ぼんやりとした思考を働かせます。
時折、自分達の関係は一体何なのだろうと疑問に思うことがあります。
アイドルとマネージャー。
それ以外の繋がりはないはずなのに、こうして一晩を一緒に過ごし、肌を重ねている。
今の関係を変えたいのなら、告白でもすればいいのかもしれません。
ですが、私はそれを恐れていました。
気持ちを伝えたことによって関係が悪い方へ変わってしまったら、今までのように接してくれなくなるかもしれない。
それなら何も言わず、黙って抱かれていることが得策に思えていました。
例え将来、太陽に好きな人や恋人が出来たとしても、私はこの関係を口外しないつもりでいました。
「太陽?」
「そっちじゃなくて、本名の方」
マネージャーなのでもちろん彼の本名は知っていますけれど、なぜそれにこだわるのかが不明でした。
気分でも変えたいのかと太陽を眺めると、彼は至って真剣な顔をしていました。
どうやら本名で呼ぶしかないようです。
「……あさひくん」
意を決して呼ぶと、彼はうん、と嬉しそうに表情を緩めて相づちを返してきます。
私はといえば、声に出したら案外羞恥が湧き上がってしまい、赤らんだ顔をこっそりと背けました。
「やっぱり、こういう時はそっちの名前で呼ばれた方が嬉しい」
「どうしてそうなるのか、よくわかりませんが……」
理解が追いつかずに戸惑いましたが、彼が話すならそうなのでしょう。
「もっと呼んで」
「あっ……!」
体を強く揺すぶられ、粘着質な音が鼓膜を汚していきます。
ぐっちょりと濡れた結合部はとても見られたものではありませんでした。
「あさひ、くん……っひ、ああっ」
眩暈がしそうなほどの快楽に、我を忘れて声を上げてしまいます。
「雪乃さんの声、可愛い……」
吐息混じりに指摘され、余計に顔が熱くなります。
自分の喘ぎを聞かれることがとても恥ずかしく、私は声を堪え、太陽の胸に顔を埋めました。
立ち込める性の匂いに混ざって、彼の体臭が漂ってきます。
彼から漂う香りは私にとって好ましく、安心するものでもありました。
「……っ、あさひくん……んっ……あっ……!」
肌を密着させているこの時間が長く続けばいいのに、と思ったのも束の間、先に果てたのは私でした。
ビクビクと足先を揺らすと、釣られたように太陽も腰の動きを止めます。
彼は避妊具の中に精を吐き出した後、何度かゆったりとした動作で私の中を穿ち、そして熱の落ち着いたものを抜きました。
暴れる鼓動を静めるべく深呼吸を繰り返していると、太陽は私の体を反転させました。
視界がぐるりと回り、頭を乗せていたはずの枕が眼前に迫ります。
背後からは、新しい避妊具を開封する音が聞こえました。
この後に何をしようとしているのかは、この目で確かめなくとも理解出来ました。
まだまだ若いからでしょうか、一度では満足しなかったようです。
「ごめん、今日はちょっと激しくしちゃうかも」
「ちょっと、待っ……あ、んんっ!」
早くも復活した塊が再び体の中に入ってきて、意図せず高い嬌声が漏れてしまいますが、これからまた気持ちの良いことが待っているのだと思うと抵抗する気は湧きません。
宣言の通り、私はその晩何度も抱かれ、快感の余韻をしっかりと味わうこともできませんでした。
太陽に抱きしめられて微睡んでいる最中、ぼんやりとした思考を働かせます。
時折、自分達の関係は一体何なのだろうと疑問に思うことがあります。
アイドルとマネージャー。
それ以外の繋がりはないはずなのに、こうして一晩を一緒に過ごし、肌を重ねている。
今の関係を変えたいのなら、告白でもすればいいのかもしれません。
ですが、私はそれを恐れていました。
気持ちを伝えたことによって関係が悪い方へ変わってしまったら、今までのように接してくれなくなるかもしれない。
それなら何も言わず、黙って抱かれていることが得策に思えていました。
例え将来、太陽に好きな人や恋人が出来たとしても、私はこの関係を口外しないつもりでいました。
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