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一章 〜始まり〜
五話 『魔力測定』
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ローラ・クレーヴと友達になる!と決めたはいいものの――。
「(……どうやって話しかければいいのかしら……?)」
私は今、絶賛困っている。
というのも、私はまだ一度もローラと話したことがないのだ。ローラは入学してからずっと人気者だし。……嫌がらせもされているみたいだし。
そのときは私がこっそり助けていたりするんだけど。……何で表立ってしないんだって?それは……
「あの令嬢ら、いつもこそこそと陰湿なことをしていますのよ?ローラ様の足元にも及ばないというのに」
リリィが暴走するし、私自身が目立つのは嫌だし、それに、恩を着せたくないからだ。『私が貴方を助けました』なんてローラに言いたくはないし。
「ローラ様は平民ではありますが、とても優秀で努力家な方なんですよ!それなのに、あんな 令嬢達のせいでローラ様の評価が下がるようなことがあってはならないのです!」
「それは何度も聞いたわよ……」
リリィは本当にローラ信者なのだから……。
でも、ローラが何もしてないのに嫌がらせを受けているのは事実だし。どうにかしたいのは確かだけど。
「……お嬢様。授業が始まります」
「ええ。そうね」
今日の授業は魔法学の授業で、しかも実技もある。つまり、魔力測定がある。
ちなみに、私の属性は水でリリィは火だ。そしてローラは希少な光属性だと、リリィに教えられた。
そこは主人公補正というものなのだろう。勿論、ずるいとは一ミリも思わないわけだが。
「はい。皆さん席についてください」
そんなことを思っていると先生が教室に入って来た。私は慌てて席につく。
「今日は皆さんの実力を測るために、まず初めに魔力量を測定してもらいます」
魔力テスト。その言葉に生徒たちの顔つきが変わる。
それもそうだ。なんせ、自分の将来に大きく関わることなんだから。ここで良い成績を残せば、宮廷魔術師になれるかもしれないし、王宮で働けるようになる可能性が高くなる。
「では、早速測りましょうか。名前を呼ばれた人から前に出てきて下さいね」
そう言って、名前を呼び始める先生。そして、次々と名前が呼ばれていく。リリィ曰く、魔力量は100を越えれば天才で、50で平均。70越えると秀才らしい。
正直、この漫画を読んでいない私にはよく分からないのだが、まあ、大体合ってると思う。
それからしばらく経って、遂に私の番になった。
緊張しながら前に出ると、水晶玉のようなものの前に立たさられる。
これは魔道具の一種で、これに手を置くことで自動的に魔力量を計測してくれる優れものだ。
「では、ナタリー・アルディさん、水晶玉に手を置いてください」
「はい」
言われた通りにすると、水晶玉が光った。それと同時に数字が表示される。……85。それが今の私の魔力だった。微妙すぎないか……?
「ナタリーさんが、最高記録ですわ!流石は公爵家のご息女ですね!」
先生が褒めてくれているが、私は知っている。これが前座であることを。だって、この後すぐにローラの出番が来るもの。
「じゃ、次はリリィさん。お願いします」
「うわー。ナタリー様の次とかプレッシャー半端じゃないんですけどぉ~」
めっちゃくちゃ棒読みで言うリリィ。明らかにバカにしているようにしか見えない。
しかし、リリィは気にした様子もなく、水晶玉に手を置いた。……結果は58。平均だが、リリィは特に気にした様子もなく、戻っていった。そしてとうとう――。
「次。ローラ・クレーヴさん」
ついに、ローラの順番が来たのだ。ローラはゆっくりと歩いていく。その間に令嬢達はヒソヒソと話していた。
「特例で来たんですもの。きっとすごいんでしょうね?」
「ええ。そうでしょうとも。平民の分際で、このマグノリア学園に入学できるなんて、普通なら有り得ませんから。きっとナタリー様以上の数値を出してくれるんでしょうねー」
性格が悪いわ……リリィも先生の前だから平常心を保っているけども、内心ブチ切れてるわよあれ……証拠に眉がピクッて動いてるもの……。
そんなことを考えている間にローラは水晶玉に手をかざしていた。……その瞬間、眩い光が放たれた。思わず目を瞑ってしまうほどの光に、皆が目を覆う中、私は見てしまった。……ローラの魔力量が、250だということを。
「原作通りだわ」
リリィがそう呟くが、周りはざわざわとしている。そりゃそうだろう。何せ、今までにない数値なのだから。
先生も驚いているようで、口を開けながら固まってしまっている。……まあ、気持ちは分かるわよ……
だって今までのこのクラスの最高記録は私の85なのに、それを遥かに上回る250なのだから。
「ナタリー様より遥かに多いなんて……!」
「平民が!?」
肝心の本人は固まってしまってるみたいだけどね……まぁ、そりゃあ、驚くよね……!
「ナタリー様。これはチャンスですよ」
リリィが耳打ちしてくる。チャンス?どういうことだろうか……?と私が疑問に思っているのに気付いたのか、説明してくれた。
「ローラ様とナタリー様はクラスのワンツーなんですよ?差は圧倒的にローラ様の方が大きいとはいえ、ワンツーなのは変わりありません。ローラ様と接触してライバル兼親友になればいいのです。ついでに、ローラ様に嫌がらせをしている令嬢達も一掃できます」
……成程。確かに、それは名案だ。ローラとも仲良くなれるかもしれないし、ローラの嫌がらせも減る。一石二鳥だ。
「でも、どうやって接触すれば……」
そう。問題はそこだ。私はローラと接点がない。話しかける理由もない。どうしたものかと悩んでいると、
「そこは私に任せてください。いい案がありますから!」
と、リリィが自信満々に言う。…リリィは仕事は完璧だし、使用人の信頼も厚いし、とても頼りになるのだが、如何せん、暴走癖があるのだけが難点だ。しかも、ローラ関連だと尚更である。ローラに対しても冷静沈黙でいられるか心配でならないのだが――。
「(……信じてみるか?)」
私はリリィを信じることにした。
「(……どうやって話しかければいいのかしら……?)」
私は今、絶賛困っている。
というのも、私はまだ一度もローラと話したことがないのだ。ローラは入学してからずっと人気者だし。……嫌がらせもされているみたいだし。
そのときは私がこっそり助けていたりするんだけど。……何で表立ってしないんだって?それは……
「あの令嬢ら、いつもこそこそと陰湿なことをしていますのよ?ローラ様の足元にも及ばないというのに」
リリィが暴走するし、私自身が目立つのは嫌だし、それに、恩を着せたくないからだ。『私が貴方を助けました』なんてローラに言いたくはないし。
「ローラ様は平民ではありますが、とても優秀で努力家な方なんですよ!それなのに、あんな 令嬢達のせいでローラ様の評価が下がるようなことがあってはならないのです!」
「それは何度も聞いたわよ……」
リリィは本当にローラ信者なのだから……。
でも、ローラが何もしてないのに嫌がらせを受けているのは事実だし。どうにかしたいのは確かだけど。
「……お嬢様。授業が始まります」
「ええ。そうね」
今日の授業は魔法学の授業で、しかも実技もある。つまり、魔力測定がある。
ちなみに、私の属性は水でリリィは火だ。そしてローラは希少な光属性だと、リリィに教えられた。
そこは主人公補正というものなのだろう。勿論、ずるいとは一ミリも思わないわけだが。
「はい。皆さん席についてください」
そんなことを思っていると先生が教室に入って来た。私は慌てて席につく。
「今日は皆さんの実力を測るために、まず初めに魔力量を測定してもらいます」
魔力テスト。その言葉に生徒たちの顔つきが変わる。
それもそうだ。なんせ、自分の将来に大きく関わることなんだから。ここで良い成績を残せば、宮廷魔術師になれるかもしれないし、王宮で働けるようになる可能性が高くなる。
「では、早速測りましょうか。名前を呼ばれた人から前に出てきて下さいね」
そう言って、名前を呼び始める先生。そして、次々と名前が呼ばれていく。リリィ曰く、魔力量は100を越えれば天才で、50で平均。70越えると秀才らしい。
正直、この漫画を読んでいない私にはよく分からないのだが、まあ、大体合ってると思う。
それからしばらく経って、遂に私の番になった。
緊張しながら前に出ると、水晶玉のようなものの前に立たさられる。
これは魔道具の一種で、これに手を置くことで自動的に魔力量を計測してくれる優れものだ。
「では、ナタリー・アルディさん、水晶玉に手を置いてください」
「はい」
言われた通りにすると、水晶玉が光った。それと同時に数字が表示される。……85。それが今の私の魔力だった。微妙すぎないか……?
「ナタリーさんが、最高記録ですわ!流石は公爵家のご息女ですね!」
先生が褒めてくれているが、私は知っている。これが前座であることを。だって、この後すぐにローラの出番が来るもの。
「じゃ、次はリリィさん。お願いします」
「うわー。ナタリー様の次とかプレッシャー半端じゃないんですけどぉ~」
めっちゃくちゃ棒読みで言うリリィ。明らかにバカにしているようにしか見えない。
しかし、リリィは気にした様子もなく、水晶玉に手を置いた。……結果は58。平均だが、リリィは特に気にした様子もなく、戻っていった。そしてとうとう――。
「次。ローラ・クレーヴさん」
ついに、ローラの順番が来たのだ。ローラはゆっくりと歩いていく。その間に令嬢達はヒソヒソと話していた。
「特例で来たんですもの。きっとすごいんでしょうね?」
「ええ。そうでしょうとも。平民の分際で、このマグノリア学園に入学できるなんて、普通なら有り得ませんから。きっとナタリー様以上の数値を出してくれるんでしょうねー」
性格が悪いわ……リリィも先生の前だから平常心を保っているけども、内心ブチ切れてるわよあれ……証拠に眉がピクッて動いてるもの……。
そんなことを考えている間にローラは水晶玉に手をかざしていた。……その瞬間、眩い光が放たれた。思わず目を瞑ってしまうほどの光に、皆が目を覆う中、私は見てしまった。……ローラの魔力量が、250だということを。
「原作通りだわ」
リリィがそう呟くが、周りはざわざわとしている。そりゃそうだろう。何せ、今までにない数値なのだから。
先生も驚いているようで、口を開けながら固まってしまっている。……まあ、気持ちは分かるわよ……
だって今までのこのクラスの最高記録は私の85なのに、それを遥かに上回る250なのだから。
「ナタリー様より遥かに多いなんて……!」
「平民が!?」
肝心の本人は固まってしまってるみたいだけどね……まぁ、そりゃあ、驚くよね……!
「ナタリー様。これはチャンスですよ」
リリィが耳打ちしてくる。チャンス?どういうことだろうか……?と私が疑問に思っているのに気付いたのか、説明してくれた。
「ローラ様とナタリー様はクラスのワンツーなんですよ?差は圧倒的にローラ様の方が大きいとはいえ、ワンツーなのは変わりありません。ローラ様と接触してライバル兼親友になればいいのです。ついでに、ローラ様に嫌がらせをしている令嬢達も一掃できます」
……成程。確かに、それは名案だ。ローラとも仲良くなれるかもしれないし、ローラの嫌がらせも減る。一石二鳥だ。
「でも、どうやって接触すれば……」
そう。問題はそこだ。私はローラと接点がない。話しかける理由もない。どうしたものかと悩んでいると、
「そこは私に任せてください。いい案がありますから!」
と、リリィが自信満々に言う。…リリィは仕事は完璧だし、使用人の信頼も厚いし、とても頼りになるのだが、如何せん、暴走癖があるのだけが難点だ。しかも、ローラ関連だと尚更である。ローラに対しても冷静沈黙でいられるか心配でならないのだが――。
「(……信じてみるか?)」
私はリリィを信じることにした。
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