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一章 〜始まり〜
六話 『ヒロインの可愛さに浸っていたら王子が全部台無しにした』
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『お嬢様はここで待っていてください』と言われた場所は、中庭だった。しかも何故かお茶会セットまで用意してあるし。ローラとお茶会をしろということなんだろうが――。
「(……緊張するわ)」
私は今、とても緊張している。というのも、ローラとの約束の時間が迫ってきているからだ。ローラ、来てくれるかしら?そもそも、こういうのって、何を話せばいいのかしら……私から誘ったんだから私が話題を振らないとダメだろうし。
「あ、あの……」
不意に、声をかけられた。鈴の鳴るような綺麗で可愛らしい声で、一瞬誰の声か分からなかった。
振り返るとそこには、天使がいた。
透き通るように白い肌。ふわりとした柔らかそうな髪。ぱっちり二重の大きな瞳。ぷっくりとして艶のある唇。
どこをとっても美少女である。
「……あら。来たのね。ローラ・クレーヴさん」
私の言葉を聞いた途端、彼女はビクッと肩を震わせた。
……しまった。緊張してつい冷たい言い方になってしまった…!これでは本当に悪役令嬢じゃないか……仲良くなりたいと思っている相手になんてことを……!
「ご、ごめんなさい。べ、別に怖がらせるつもりはなかったのだけれど……」
「い、いえ……こちらこそ……すみません……!」
謝ってくる彼女を見て、ますます罪悪感が募る。こんなにも可愛い子を怯えさせてしまうなんて……!なんとか信用を回復しないと……!
「……あの、とりあえず座って?」
「……はい」
彼女が椅子に腰かけた。ビクビクしているところさえ、可愛いのだから美少女はずるいと思う。……いや、今の私も美少女なんだけれどもね……? そんなことを考えながら紅茶を飲む。うん。美味しい。さすがリリィだわ。
ちらりと彼女を見れば、カップを両手に持ちちびちび飲んでいた。その姿もまた愛くるしい。
男どもが放っておかないのも納得できるなぁ……
「美味しい……」
そう言って微笑むローラ。そうでしょう。そうでしょう。うちのリリィの紅茶は最高なんだから!
「それは良かったですわ」
「そ、それであの……私何でここに呼ばれたんでしょう……?」
不安げに聞いてきたローラ。え?リリィから聞いていないのだろうか?
「え?リリィから話を聞いていないの?」
「は、はい……そのリリィさんはここに来るようにしか聞かされてなくて……」
リリィ……!任せとけ!とか言っていたくせに何も説明していないじゃない!! まあでもあれか……推しを目の前にして緊張してテンパってしまったのかしら……?気持ちはよく分かるけど……!
「そ、それで私にどんな用事ですか……?」
再び聞かれてハッとする。いけないいけない。まずは本題に入らないと。
私は覚悟を決めて口を開いた。
「私、貴方と友達になりたいと思っていますの!!」
こういうのは勢いよく言うのに限る。というわけで思い切って言ったのだが……
反応がない。不思議に思って彼女の方を向けば、ぽかんとしていた。
「え……?な、ナタリー様が私に……!?」
信じられないと言わんばかりの表情を浮かべている彼女。やっぱり信じてもらえないかしら……?
「……駄目かしら?」
恐る恐る聞けばブンブンと首を横に振る彼女。そして少し考えるような素振りを見せてこう答えた。
「嬉しいんですけど……どうして私なんかと……?私は平民でナタリー様とは身分が違いますし……」
「あら。そんなくだらないもの私気にしないわよ」
「……っ!」
私がバッサリ切り捨てれば彼女は驚いた顔をした。それから――。
「ぐす……うぅ……ひっく……」
泣き出した。えぇ!?ど、どうしよう!泣かせる気は全くなかったんだけど!むしろ笑わせようと思っていたくらいなのに! オロオロしながらハンカチを差し出すと彼女はそれを受け取り涙を拭った。だがそれでも嗚咽が止まらず、ついには声を上げて本格的に泣いてしまった。
これはもう抱きしめて慰めるべきか?
「ローラ?」
そんなことを思っていると、後ろから声をかけられた。振り返るとそこには――、
「れ、レオン様……!」
レオン・メルヴィル様が立っていた。彼は私を見ると、目を丸くして驚いている様子だった。や、やばい……!これ側から見たら、私がローラを泣かせてるみたいじゃん!
「おい。お前。何ローラをいじめているんだ?」
ジロリと私を睨みつけ、責めるような口調で言うレオン様。ひぃいい!誤解ですー!
「ち、違うのです!これには訳が……!」
「黙れ。言い訳など聞きたくない」
こいつ――!話ぐらい聞けや!漫画の中の『ナタリー・アルディ』ならともかく、今の私にはちゃんとした理由もあるのに!とゆうか、今の世界線だと話すらしていないのに!
「れ、レオン様!ナタリー様は悪くないです!悪いのは全部……!」
「ローラ。大丈夫だ。俺が守ってやるからな……」
話を聞けや!王子!!人の話は最後まで聞くもんだよ!そんなんだからローラに相手にされてないんですよ!
「お前の処分は後ほど決める。今日はとりあえず帰れ」
そう言ってローラの肩を抱き歩き出そうとする彼。いやいやいや!待って?そこのバカ王子ちょっと待ちなさい?ローラの言い分も聞かないで勝手に話を進めるんじゃありません!!……と、思っても、ローラとレオン様はどんどん遠ざかっていくし………
「どうしよ……」
なんて、私は一人、絶望していた。
「(……緊張するわ)」
私は今、とても緊張している。というのも、ローラとの約束の時間が迫ってきているからだ。ローラ、来てくれるかしら?そもそも、こういうのって、何を話せばいいのかしら……私から誘ったんだから私が話題を振らないとダメだろうし。
「あ、あの……」
不意に、声をかけられた。鈴の鳴るような綺麗で可愛らしい声で、一瞬誰の声か分からなかった。
振り返るとそこには、天使がいた。
透き通るように白い肌。ふわりとした柔らかそうな髪。ぱっちり二重の大きな瞳。ぷっくりとして艶のある唇。
どこをとっても美少女である。
「……あら。来たのね。ローラ・クレーヴさん」
私の言葉を聞いた途端、彼女はビクッと肩を震わせた。
……しまった。緊張してつい冷たい言い方になってしまった…!これでは本当に悪役令嬢じゃないか……仲良くなりたいと思っている相手になんてことを……!
「ご、ごめんなさい。べ、別に怖がらせるつもりはなかったのだけれど……」
「い、いえ……こちらこそ……すみません……!」
謝ってくる彼女を見て、ますます罪悪感が募る。こんなにも可愛い子を怯えさせてしまうなんて……!なんとか信用を回復しないと……!
「……あの、とりあえず座って?」
「……はい」
彼女が椅子に腰かけた。ビクビクしているところさえ、可愛いのだから美少女はずるいと思う。……いや、今の私も美少女なんだけれどもね……? そんなことを考えながら紅茶を飲む。うん。美味しい。さすがリリィだわ。
ちらりと彼女を見れば、カップを両手に持ちちびちび飲んでいた。その姿もまた愛くるしい。
男どもが放っておかないのも納得できるなぁ……
「美味しい……」
そう言って微笑むローラ。そうでしょう。そうでしょう。うちのリリィの紅茶は最高なんだから!
「それは良かったですわ」
「そ、それであの……私何でここに呼ばれたんでしょう……?」
不安げに聞いてきたローラ。え?リリィから聞いていないのだろうか?
「え?リリィから話を聞いていないの?」
「は、はい……そのリリィさんはここに来るようにしか聞かされてなくて……」
リリィ……!任せとけ!とか言っていたくせに何も説明していないじゃない!! まあでもあれか……推しを目の前にして緊張してテンパってしまったのかしら……?気持ちはよく分かるけど……!
「そ、それで私にどんな用事ですか……?」
再び聞かれてハッとする。いけないいけない。まずは本題に入らないと。
私は覚悟を決めて口を開いた。
「私、貴方と友達になりたいと思っていますの!!」
こういうのは勢いよく言うのに限る。というわけで思い切って言ったのだが……
反応がない。不思議に思って彼女の方を向けば、ぽかんとしていた。
「え……?な、ナタリー様が私に……!?」
信じられないと言わんばかりの表情を浮かべている彼女。やっぱり信じてもらえないかしら……?
「……駄目かしら?」
恐る恐る聞けばブンブンと首を横に振る彼女。そして少し考えるような素振りを見せてこう答えた。
「嬉しいんですけど……どうして私なんかと……?私は平民でナタリー様とは身分が違いますし……」
「あら。そんなくだらないもの私気にしないわよ」
「……っ!」
私がバッサリ切り捨てれば彼女は驚いた顔をした。それから――。
「ぐす……うぅ……ひっく……」
泣き出した。えぇ!?ど、どうしよう!泣かせる気は全くなかったんだけど!むしろ笑わせようと思っていたくらいなのに! オロオロしながらハンカチを差し出すと彼女はそれを受け取り涙を拭った。だがそれでも嗚咽が止まらず、ついには声を上げて本格的に泣いてしまった。
これはもう抱きしめて慰めるべきか?
「ローラ?」
そんなことを思っていると、後ろから声をかけられた。振り返るとそこには――、
「れ、レオン様……!」
レオン・メルヴィル様が立っていた。彼は私を見ると、目を丸くして驚いている様子だった。や、やばい……!これ側から見たら、私がローラを泣かせてるみたいじゃん!
「おい。お前。何ローラをいじめているんだ?」
ジロリと私を睨みつけ、責めるような口調で言うレオン様。ひぃいい!誤解ですー!
「ち、違うのです!これには訳が……!」
「黙れ。言い訳など聞きたくない」
こいつ――!話ぐらい聞けや!漫画の中の『ナタリー・アルディ』ならともかく、今の私にはちゃんとした理由もあるのに!とゆうか、今の世界線だと話すらしていないのに!
「れ、レオン様!ナタリー様は悪くないです!悪いのは全部……!」
「ローラ。大丈夫だ。俺が守ってやるからな……」
話を聞けや!王子!!人の話は最後まで聞くもんだよ!そんなんだからローラに相手にされてないんですよ!
「お前の処分は後ほど決める。今日はとりあえず帰れ」
そう言ってローラの肩を抱き歩き出そうとする彼。いやいやいや!待って?そこのバカ王子ちょっと待ちなさい?ローラの言い分も聞かないで勝手に話を進めるんじゃありません!!……と、思っても、ローラとレオン様はどんどん遠ざかっていくし………
「どうしよ……」
なんて、私は一人、絶望していた。
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