知らない世界に転生したと思ったら、すぐ側にガチ勢がいた件について

花宮

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三章 〜半年が経って〜

三話 『ローラとの関係』

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「ごめんなさい……ごめんなさい…」


私は涙を流しながら、何度も謝る。するとローラはそんな私を優しく抱きしめてくれた。


その温もりに……私は更に涙が止まらなくなる。
ずっと、ローラは苦しんでいたんだろう。私を傷つけたことを後悔していたんだ。
なのに私は……自分のことばかり考えていて、彼女を苦しめていたんだ。
本当にバカだ……私は……。


「(ニコラス様にお礼言わないといけないわね……)」


私はそう思いながら、しばらくローラに抱きしめられながら涙を流し続けた。


あの後。全部話した。私が半年間ローラを忘れていたことも。全て……そして、私は改めてローラに謝罪した。


「自分勝手にローラのこと避けてて、本当にごめんなさい……」


謝罪する私にローラは首を振り、微笑む。


「いいんですよ。私も……ナタリー様に酷いことをしましたからね。お互い様です」


優しい彼女の言葉に、私は再び涙が出そうになったし、更に涙が溢れてしまった。


「……ええ。そうね。じゃあ……お互い様ということで……」


「はい」


私とローラは顔を見合わせ、クスクスと笑った。ローラへの恋心はまだあるけれど、これからは友達として彼女の隣にいたい……と思うのは、都合が良すぎるのかもしれないけれど……。


「許せ、なんて言わない……都合が良すぎるのも分かっているわ……。でも、もし許してもらえるなら……友達として側にいさせてほしい……」


私がそう言うと、ローラは驚いていた。そりゃ、そうだよね。許してもらえるかも分からないのに、友達としていてほしいだなんて……都合良すぎだよね……。


「……ナタリー様……私ナタリー様と友達辞めたつもりありませんけど……?」


キョトン、としながらローラがそう言う。それは『何当たり前のこと言ってるの?』と言わんばかりの表情だ。


「私は、ナタリー様の気持ちには答えられないけれど、でも……これからも友達でいたいと思っていますし」


気持ちは受け入れられない……それは辛いけど、でも彼女はこれからも私と友達でいたいと言ってくれた。


「……それに私こそ申し訳なくて……ナタリー様が苦しんでいるのに、何も出来なくて……」


「ローラは悪くないわ!私が全部悪いのよ!」


「いいえ、悪いのは私です」


なんだか、お互いに自分が悪いと言っていて、会話が平行線になってしまっている。でも仕方ないわ。どちらも自分が悪いと思っているのだから……。


「では……おあいこということで良いのではないですか?」


私が困っていると、ローラがそんな提案をしてきた。
お互い様で良いんじゃないか、って……どっからどう考えても私が悪いのに……


「ローラは優しすぎるわ……」


私がそう言うと、ローラは首を振る。
そして、優しく微笑んだ。とても綺麗な笑顔で……
その笑顔にドキッとする。胸が締め付けられる感じがした。まだローラのことが好きなんだとそう実感した。


「そんなことありませんよ。私は優しくありません」


ローラはそう言いながら、私の手を握る。……優しくないの?嘘でしょ?優しいわよ、凄く。


「だって、私……この半年間ナタリー様に近づく努力も何もしていませんもの」


この半年間……ローラがそんなことを考えていたなんて思いもよらなかった。でも、それは私も同じ。私もローラに近づかないようにしていたし、彼女に話しかけようともしなかった。


「私も……ローラに近づかないようにしていたわ……あの時は心の余裕がなくて、そんな自分が凄く嫌で……ローラを無視するようなことしてごめんなさい……」


「いえ、大丈夫です」


ローラは優しく微笑んでくれる。その笑顔を見ると、やっぱり好きだなぁ……って思った。
でも、この思いは胸に秘めておこう。いや、気持ちは半年前のままだけれど……!これからは友達として、ローラと接していこう。
私が彼女に恋心を抱くのは……もう辞めよう。だって、この半年間で彼女への思いを断ち切ったんだから。


だが――。


「(レオン様には腹が立つのでレオン様には八つ当たりしようと)」


なんてそう思った。
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