知らない世界に転生したと思ったら、すぐ側にガチ勢がいた件について

花宮

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三章 〜半年が経って〜

十三話 『ややこしい展開』

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――目をゆっくりと開ける。そこには見慣れない天井だ。一体何処にいるんだ?そう思っていると、


「きゃああ!誰よ!貴方!泥棒!」


不意にそんな声が聞こえてきたので、そちらを見る。そこには若い女性がいた。あれ?この人って……


「イザベラ?」


私が名前を呼ぶと、目の前の女性……いやイザベラは困惑した表情を浮かべながらこう言った。


「な、なんで私の名前を……!それにあんた……!」


私はイザベラが何か言う前に睨むように私を見ている。否、睨んでいるのは気のせいなどではなかった。その証拠に眉間にシワが寄っているのが見える。
 

「……あんた……!お姉ちゃんじゃない!一体……どうしてここにいるの!?」


………お姉ちゃん?え?ど、どういうこと!?イザベラは何言ってるの……? 私が困惑した表情を浮かべる中、


「何でお姉ちゃんがこんな所にいるの!!お姉ちゃん!説明してよ!」


イザベラにそう言って叫ばれる。……ちょっと待ってくれ。この子は一体何を言っているんだ?それに、この言い草がイザベラではなく、妹に見えてきて仕方がないのだ。これは一体……?


「田中奈緒でしょ!」


私の名前……それに〝お姉ちゃん〟と言った。ということはつまり……。もしかしてこの子って……。私は恐る恐る口を開く。


「あ、あんたもしかして……まい?」


「ええ。そうよ。田中妹たなかまいあんたの妹よっ!」


…マジで?本気で言ってるの?この妹。だってこれじゃ……


「あんたも転生しちゃったわけね……」


妹の呟きを聞いた瞬間、私は思わず叫びそうになるのをグッと堪えた。だってここはイザベラの家。周りから見たらこっちが不審者なのは確定。下手したら警察沙汰になりかねないからだ。


「本当なら今でも大声で言って追い出したいところだけど、今の状況じゃいろいろあれだからそれは後にするわ」


妹にしては冷静すぎると思いながらも内心ホッとする。今ここで声を上げられでもしたら確実に捕まるからね……


「お姉ちゃんの彼氏はクソだったわ!あいつのせいで私の人生メチャクチャになったのよ!」


いきなりの罵倒された。そんなこと急に言われても困るんだけど……とゆうか、知らねーよ。という感じである。お前が寝とったくせに何言ってんだよ、こいつ……と言いたかったけど我慢した。


そんなくだらないことなんかよりもっと大事なことがあるからだ。それは――。


「ねえ、あんたも……死んだの?」


「ええ。そうよ。あのグズ男のせいでね」


グズはお互い様だと思うんだけど…まあ今は言わないでおくとして。私は話を続ける。妹曰く、


「逆恨みよ。私が捨てただけで逆ギレして襲ってきたのよ。自分だってお姉ちゃんのこと捨てたくせによ!」


……とのこと。まあ確かに最低な男よね。逆ギレして襲いかかってくるなんて……至極最低だとは思う。思うけどね?お前が言うなと私は言いたい。


でも、妹は止まらない。本当に最低だったのよ!と文句を言っている。そんな妹に私は聞く。


「そして気付いたらここにいたということ?」


「そうよ!ここは何処なのか全く知らないところに来たのよ!」

そう言って喚く妹。でも……そんなことはどうでもいい。だって今は……

 
「(妹もこの世界に来るとか何!?ややこしくしすぎでしょ!)」


妹が転生してこの世界にいることが問題なのだ。これから一体どうなるのやら……。
と、私は心の中で呟きながら大きな溜息をつき、頭を抱えるのだった。
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