【完結】君に伝えたいこと

花宮

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〜青春編〜

二十八話 『誘い』

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あの日のことが頭から離れない。笹川さんのあの一言のせいでずっと考えてしまう。


「(あれって襲ってくれってことだよな?)」


それ以外、思いつかない。
だってあんなこと言われたら意識しないわけがない。だってそれって――。


「あれ?つとむ。あれってヨウスケじゃねーか?」


「あ!本当だ!」


そんな懐かしい声が耳に届いて俺は振り返ると、


「つとむに悟……久しぶりだなぁ!」


「そうだぞ!洋介!全然連絡寄越さねーし!退院してから一回も遊びに来なかっただろ!約束したのに!俺らもう退院しちゃったし!」


そう言って二人はプンプンと怒っている。そういえばうだった。受験とか色々あってすっかり忘れていた。


「みのりの姉ちゃんは時々LINEしてくれるんだけどよぉ……」


「そうそう!みのり姉ちゃんはな!」


こいつら、前までは『無口姉ちゃん』だったのに……今はもう名前呼びになっている。いつの間に……?


「ヨウスケは強くなったの?大富豪」


「大富豪?ああ……すまん。受験で忙しすぎてやってねぇんだわ」


大富豪をやっていないことを正直に伝えると悟とつとむは露骨に落ち込んでいた。俺、大富豪めちゃくちゃ弱いのに……そんなにやりたいのか……。


「そんなにやりたいなら大富豪してもいいけど……俺相変わらず弱いぞ?それでもいいならやるけど」


その言葉を聞いた瞬間、二人の目が輝いたように見えた。そして同時に手を差し出してきた。どうやらやる気満々と見た。


「やった~~!最近ヨウスケ以外とやると全然勝てなくて萎えてたんだよ~」 


「本当それ!だから嬉しいぜ!ありがとう!」


動機が『雑魚狩り』みたいな感じなんだけど……!まあいいか。久しぶりに会う友達だし。年は離れてるけど。
それから三人で近くの公園に移動して、早速大富豪を始めることにした。


久々の大富豪なのでルールを忘れている部分があったが、そこは悟とつとむが教えてくれたおかげで出来たが――、


「相変わらずヨウスケ弱ぇえ!!」


「何回負ければ気が済むんだよ!!お前は!」


二人からボロクソ言われた。酷い。これでも頑張ってる方なのに……それに俺にだって――


「俺だってブランクがあるんだよ!だから仕方ないだろ!?」


「いや……ブランクがあるとはいえこれは酷すぎると思うぞ?」


「そうそう!みのり姉ちゃんなんてさー、めっちゃ強いもんねー」


「…お前らっていつから笹川さんのこと下の名前で呼んでんの?」


今までは『無口姉ちゃん』だったのに今では普通に呼んでいる。一体いつからだ?少なくとも俺が退院した後ちょくちょく連絡は入れていたがそのときは『無口姉ちゃん』だったはずだし……。


「んー?結構前からだけど?なあ、悟?」


「うん。この前も会ったし。みのり姉ちゃん大富豪強すぎてマジでヤバかった」


…………そんな話を聞いた時モヤッとした感情が生まれた。………まさか嫉妬しているのか――?相手は小学生だというのに?…それに――、


「……来週も会う約束をしたしなー。ヨウスケも来る?」


悟がそう言って誘ってきた。本来なら絶対に首を縦に振りたくないことだ。だって大富豪が弱すぎて相手にすらならないだろうし……でも――


「(………笹川さんが行くのなら)」


受験勉強もあるのにこんなところで時間を割くのは俺の頭じゃ厳しいかもしれない。でも、最近は勉強尽くしだったので息抜きには丁度良いと思ったのだ。


「……分かった」


と、俺はつい了承した。
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