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〜青春編〜
三十五話 『恋人の定義』
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全て話した。松岡のことを。告白されたこと、そしてそれを断ったこと……。
一通り話し終わると、笹川さんは口を開いた。
「そっか……告白されたんだ。……何かごめんね。無理矢理聞いちゃったみたいで」
申し訳なさそうに謝る彼女に俺は慌てて言った。
「いや、笹川さんは何も悪くないよ。…それに…俺が好きなのは……笹川さんだよ……」
最後の方は恥ずかしくて、声が小さくなってしまった。でも、ちゃんと言えたと思う。すると彼女は驚いた顔をして固まっていた。しばらく沈黙が続き、気まずくなったところで彼女が口を開く。
『私も好き』
スマホのアプリに打ち込んで見せてくれた文字を見て俺は言葉を紡ごうとすると、
「おい。みのり」
後ろからそんな声が聞こえてきた。……声色で怒っていることが分かる。恐る恐る振り返るとそこには怒った顔をしている雄太さん……笹川さんのお兄さんが立っていた。
「みのり!またこんな男と一緒にいて……!」
怒りながら近づいてくる彼に笹川さんは怯えている様子だった。お兄さんの迫力に押されてか、震えているように見える。
いつもなら強気な態度をとる彼女だが今日ばかりは違ったようだ。……いつもと違う雰囲気を察し、俺は思わず立ち上がっていた。
彼女の前に立ち塞がり、彼女を庇うように両手を広げる。
お兄さんは鋭い目つきでこちらを見つめてくる。その威圧感に押し潰されそうになるが必死に耐えた。
「辞めてください。笹川さん……いや、みのりさんが嫌がってるじゃないですか」
どっちとも笹川さんなので言い直す。しかし、それが良くなかったようだ。彼はさらに眉間にシワを寄せ、睨みつけて、
「誰の許可を得て自分の妹を名前呼びにしてるんだ?」
誰の許可?そんなもの知るわけがない。とゆうか、恋人同士なのに許可が必要なのか? 俺は少しイラッとした気持ちになりながらも冷静に対応することにした。
これ以上刺激するのは良くないと思ったからだ。
とりあえずこの場を収めようと言葉を選んでいると、
「ん~~?洋介~?」
姉の声が聞こえてきた。……今、こんな場所で会いたくない人が来てしまった……しかも修羅場っぽいタイミングで……
「あら。よく見たら雄太君じゃない」
「げ……!まさか中村洋介。あれがお前の姉か!?」
……どうやら知り合いらしい。雄太さんめちゃくちゃ嫌そうな顔をしているな……
「ますます認めないぞ!こんな奴が彼氏なんて!ましてや、中村優子の弟とか絶対に許さないからな!!」
姉が変な奴と認識しているのか……ヤベェ。これについては反論出来ない……姉ちゃんが変な奴なのは事実だからだし……
「ちょっと!何で洋介否定しないのよ!雄太くんも雄太くんよ!!私のこと変な奴扱いするんじゃないわよ!!」
あれ……これ今のうちに逃げられるんじゃないか?
「笹川さん!行くよ!」
なんて言って、俺は彼女の手を掴み、走り出した。
とにかく今は逃げるしかない。そう思ったのだ。
一通り話し終わると、笹川さんは口を開いた。
「そっか……告白されたんだ。……何かごめんね。無理矢理聞いちゃったみたいで」
申し訳なさそうに謝る彼女に俺は慌てて言った。
「いや、笹川さんは何も悪くないよ。…それに…俺が好きなのは……笹川さんだよ……」
最後の方は恥ずかしくて、声が小さくなってしまった。でも、ちゃんと言えたと思う。すると彼女は驚いた顔をして固まっていた。しばらく沈黙が続き、気まずくなったところで彼女が口を開く。
『私も好き』
スマホのアプリに打ち込んで見せてくれた文字を見て俺は言葉を紡ごうとすると、
「おい。みのり」
後ろからそんな声が聞こえてきた。……声色で怒っていることが分かる。恐る恐る振り返るとそこには怒った顔をしている雄太さん……笹川さんのお兄さんが立っていた。
「みのり!またこんな男と一緒にいて……!」
怒りながら近づいてくる彼に笹川さんは怯えている様子だった。お兄さんの迫力に押されてか、震えているように見える。
いつもなら強気な態度をとる彼女だが今日ばかりは違ったようだ。……いつもと違う雰囲気を察し、俺は思わず立ち上がっていた。
彼女の前に立ち塞がり、彼女を庇うように両手を広げる。
お兄さんは鋭い目つきでこちらを見つめてくる。その威圧感に押し潰されそうになるが必死に耐えた。
「辞めてください。笹川さん……いや、みのりさんが嫌がってるじゃないですか」
どっちとも笹川さんなので言い直す。しかし、それが良くなかったようだ。彼はさらに眉間にシワを寄せ、睨みつけて、
「誰の許可を得て自分の妹を名前呼びにしてるんだ?」
誰の許可?そんなもの知るわけがない。とゆうか、恋人同士なのに許可が必要なのか? 俺は少しイラッとした気持ちになりながらも冷静に対応することにした。
これ以上刺激するのは良くないと思ったからだ。
とりあえずこの場を収めようと言葉を選んでいると、
「ん~~?洋介~?」
姉の声が聞こえてきた。……今、こんな場所で会いたくない人が来てしまった……しかも修羅場っぽいタイミングで……
「あら。よく見たら雄太君じゃない」
「げ……!まさか中村洋介。あれがお前の姉か!?」
……どうやら知り合いらしい。雄太さんめちゃくちゃ嫌そうな顔をしているな……
「ますます認めないぞ!こんな奴が彼氏なんて!ましてや、中村優子の弟とか絶対に許さないからな!!」
姉が変な奴と認識しているのか……ヤベェ。これについては反論出来ない……姉ちゃんが変な奴なのは事実だからだし……
「ちょっと!何で洋介否定しないのよ!雄太くんも雄太くんよ!!私のこと変な奴扱いするんじゃないわよ!!」
あれ……これ今のうちに逃げられるんじゃないか?
「笹川さん!行くよ!」
なんて言って、俺は彼女の手を掴み、走り出した。
とにかく今は逃げるしかない。そう思ったのだ。
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